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2018.08.04 (2024.03.28 One's Ending編集部 加筆)

孤独死を発見した時の対応を解説

総務省統計局の調査によると、賃貸用等空き家の数は全国で446万戸に上っています。
2017年、政府は空き家対策の一環として、入居を断られやすい単身の高齢者向けに、空き家や空き部屋活用の新たな制度を導入しました。
この制度は、大家さんと単身高齢者の双方にメリットがありますが、大家さん目線で考えると、単身高齢者を受け入れることは孤独死などのリスクを抱えることにもなります。
では、実際に孤独死が疑われる状況で亡くなった方を発見した場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
この記事では、所有する賃貸物件で孤独死が起こってしまった場合に必要となる知識をご紹介します。


孤独死が増える社会背景

一人暮らしの高齢者は年々増えています。 
それと共に、孤独死される方も増加傾向にあり、今後ますます増えていくことが予想されます。
孤独死が増える背景には様々な要因がありますが、主な理由は、以下の3つです。

 

新型コロナウイルス感染拡大による外出機会の影響

2024年現在 、新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にあります。

 

新型コロナウイルスの感染が拡大していた当時は、人々の生活が大きく変わり、老若男女を問わず、人とのかかわりは減少せざるを得ませんでした。
高齢者は重症化リスクが高いことから、地域の催しやサークル活動の自粛、民生委員による見守り支援の活動制限、通院自粛など、感染を避けるための行動が求められました。

 

特に、単身世帯の高齢者はさまざまな要因で普段よりも孤立しやすい状況になっており、孤独死が増加しかねない状況といえたでしょう。

 

感染者数が減少した現在でも、感染リスクはあるため、油断は禁物です。
自粛が緩和されましたが、感染症対策はしっかり行う必要があります。

 

また、孤独死は、現役世代にとっても無関係ではありません。
厚生労働省の発表によると、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇や雇い止めが増加しました。
感染者数の減少と共に、解雇や雇止めも減少してきましたが、その時の影響は現在も残っています。
今後は、その影響で引きこもりになる人が増える可能性も指摘されています。
このことから、大きなくくりで孤独死予備軍といえる人も増加する恐れがあります。

 

※参考:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について

 

地域社会とのかかわりの減少

 

高齢者は足腰が弱ってくることから部屋でのんびり過ごすことも多く、外出する機会が次第に減少していきます。
加えて現代社会においては、近隣とのコミュニケーションが希薄になってきており、自分ひとりで孤独に暮らしている方が増えているのです。

 

また、家に居ながらでも簡単に買い物ができるネットショッピングが急速に普及していることも、孤独死が増えている原因のひとつといえます。

 

近年の高齢者は、若い頃からインターネットを利用している傾向にあり、ネット通販を難なく使いこなす方も少なくありません。
世帯主が65歳以上である二人以上の世帯(高齢者世帯)について、ネットショッピングを利用した世帯割合をみると、平成18年が4.9%、平成28年が14.3%と、わずか10年間で2.9倍となっています。

 

若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、高齢者でも明らかに利用が増えている状況だといえるでしょう。
そのため、日々の買い物等で出歩くことや、近所の方と交流する機会が以前よりも減少してきているのです。

 

※参考:総務省統計局

 

未婚率の上昇による単身世帯の増加

近年の日本では、価値観の多様化や経済問題などから、結婚せずに生涯を独身で終えるという方も多くなり、その影響で単身世帯が増加しています。
生涯独身の場合、親・兄弟といった近親者が亡くなると、親戚とも疎遠になりやすく、その結果、孤独死の危険性が高くなってしまうのです。

 

加えて、知人や友人も少ない人は、亡くなってからの発見が遅れてしまう傾向にあります。
孤独死が増える背景や防止するための自治体の取り組みについては、ワンズライフのこちらの記事でも詳しく解説しています。

 

【関連記事】孤独死とは-原因と対策 防止するためにできること-

 

孤独死が疑われる状況とは?

孤独死が疑われる状況には、どのようなものがあるのかを解説いたします。

・数日間姿を見ておらず、連絡もつかない
・ポストが郵便物で溢れた状態になっている
・かすかながらでも異臭がする
・ハエなどの害虫が多く発生している
・電灯が昼夜を問わずついたままになっている
・同じ洗濯物が何日も干されたままになっている

 

以上のような状況が当てはまる場合は、住民の孤独死の可能性が考えられます。

 

異変に気付いたときは、まずは近隣の方に話を聞き、自治会長や民生委員にも連絡を入れましょう。
様子を確認しても本人からの応答がないときは、そのまま110番や119番通報します。
自宅を訪問する際は、ひとりで行かず、なるべく複数人で対応することが大切です。

 

孤独死は、たとえ2人以上がお住まいの住居であっても起きることがあります。

 

高齢者同士でお互いの生活を支え合う「老々介護」の世帯だと、介護する側が突然死した場合、要介護者の方も一緒に亡くなってしまうケースもあるので注意が必要です。
孤独死が疑われる状況に遭遇したときの対応については、以下の記事でも解説しています。

 

【関連記事】遺品整理の現場から~孤独死の第一発見者になったら

 

孤独死の現場を発見した時の対応と一連の流れ

スマホとパトカー

孤独死の現場に遭遇すると、突然のことに動揺してしまうでしょう。

 

どうしたらよいのか分からず誤った対応を行い、後にトラブルに巻き込まれるようなことがないように、孤独死の現場を発見したときの対応や、一連の流れについて、正しい知識を持っておきましょう。

 

まずは警察に通報

孤独死の現場を発見したら、まずは慌てず警察に電話で連絡しましょう。
身体があたたかい、外見に損傷がないなど、死亡しているかどうか見た目で判断できないときは、すぐに救急車を呼びます。
その際に注意するのは、むやみに現場を動かさない、あちこち触らないことです。

もしかすると事件性があるかもしれないので、変に現場を触るとあらぬ疑いをかけられる可能性がないとも限りません。

 

窓は開けない・換気扇はつけない

孤独死が起こったときは、窓を開けたり換気扇をつけたりしてはいけません。
発見までどのくらいの時間が経っているかにもよりますが、死後は臭いや虫が発生します。
きつい臭いやハエなどに驚いて窓を開けてしまうと、部屋の中の強烈な臭いや害虫が周辺の住宅に漏れてしまいます。

 

その結果、気分が悪くなって救急搬送されてしまう方が出るなどの、2次被害が起きる可能性があるからです。

 

さらに、事故物件になったことを広く周囲に印象付けることにもつながります。
あっという間に噂も広まってしまうので気を付けましょう。

 

現場検証~親族に連絡

ここからは警察の判断になりますので、必ずしもすべての現場で同じ流れになるとは限りません。
あくまで参考事例としてご覧ください。

警察が到着すると、すぐに現場検証が始まります。この間は、警察以外の人が部屋の中に入ることはできません。

事件性が考えられるときは、家宅捜索をして、警察が必要な物を回収します。
また、遺体の状況から本人と判断がつかない時は、DNA検査で身元確認を行うこともあります。

現場検証で身元が確認できて血縁関係が判明したら、家族や近い親族に対して警察から連絡が入ります。
そして説明を受けた遺族に遺体の確認をしてもらうのが一般的です。

警察の到着後は、事件性の有無を確認するために、大家さんや友人などの発見者が事情聴取を受けることもあります。

事情聴取は、状況によっては近所の方にまで及ぶことも少なくありません。

 

火葬~葬儀

遺体の検視や身元確認が終わって、事件性がないと判断されれば、警察が預かっていた貴重品や本人のものが遺族に返還されます。

孤独死された方に親族がいれば、拒否しない限りは、保管されていた遺体を遺族が引き取るのが一般的です。

なお、遺体の安置保管料は、遺族に対して請求されます。

 

その後、遺族は葬儀の準備を行います。

インターネット等で葬儀会社に関する情報を調べ、信頼できると思う会社に連絡を取り、親族が葬儀をとり行うことになるでしょう。

 

 

故人に身寄りがない場合は

あなたが賃貸物件のオーナーで、貸し出していた部屋にお住まいの方が孤独死してしまったと仮定しましょう。

もしもその方が天涯孤独で身寄りがなかった場合、お葬式は行政が行ってくれます。

市役所の案内窓口にいって担当部署を聞き、指示を仰ぎましょう。

遺骨は、一定期間保存されたあと、無縁塚に埋葬されます。

 

孤独死された方が長期間入居されていたり、顔見知りであったりすると「行政任せの葬式では寂しいので、こちらで葬儀を行ってあげたい」と考える大家さんもいるでしょう。
その場合、大家さんが出した葬儀費用は、故人の相続財産から出してもらえます。

 

ただし、いくら費用をかけても大丈夫というわけではないため、事前に故人の相続財産管理人に確認しておくのがおすすめです。
あらかじめ相続財産管理人と話し合いをしておくことにより、遺族との金銭トラブルを防げます。

 

孤独死現場はリフォームが必要になること

警察による現場検証や検死が終わり、孤独死された方の遺体の引き取り、葬儀が済んだあとは、部屋の原状回復をします。
遺体がすぐに発見され、臭いもなく、体液・血液の漏出も起こっていないときは、遺品整理とハウスクリーニングで原状回復が完了することもあるでしょう。

 

ただし、孤独死がおこって、部屋が体液等で汚染されている場合、修繕やリフォームを行わないと原状回復できないケースもあります。

 

孤独死された方の発見が遅れると、遺体の腐敗が進み、現場に血液や体液が残るだけでなく、害虫被害、ウイルス感染、異臭が発生するといった事態が起こってしまいます。
こういった事故現場は、個人で片付けをすることは困難です。

 

原状回復費用の相場に関しては、遺体が発見されるまでの時間や季節などにもよります。
日本少額短期保険協会によると、孤独死発生に伴う原状回復費用の平均は38万円ほどです。 
だいたい数十万円から多いと数百万円になることもあります。

 

一般的には敷金を原状回復費用に充てますが、それでも足りない場合は、相続人や連帯保証人が費用を負担することになります。
しかし、相続人や連帯保証人がいない場合は、家主が負担しなければなりません。 

 

家主のリスク対策として「孤独死保険」という保険も販売されています。
借主に一人暮らしの高齢者が多くて心配なら検討してみてもよいでしょう。

 

孤独死だからといって必ずしもリフォームが必要なわけではないため、大家さんは、まず現場の状態をきちんと把握することが大切です。
そのうえで「原状回復を行う親族や保証人はいるのか」を確認し、落ち着いて対応していきましょう。

 

原状回復について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
誰が負担するのかということや、判例などについても解説した内容となっております。

 

【関連記事】賃貸物件で孤独死が発生した場合 原状回復の考え方と相続人の費用負担について

 

孤独死現場は遺品整理や現地供養も必要

孤独死された方の部屋には、生前使用していた家具や家電、生活用品がそのまま残されていることも珍しくありません。
そのため、遺品整理や現地供養なども必要です。

 

では、その費用はどうすればよいのでしょうか。
敷金で対応しても足りなかった費用については、保証人が払うことになるとされています。

なお、保証人が原状回復費用を全額支払った場合は、故人に関する全ての権利義務を承継する相続人に求償することが可能です。

 

まとめ

孤独死は、ご本人にとっても周囲にとっても辛いものです。

一人暮らしの高齢者には、周囲が「積極的に連絡を取る」「目を配る」「見守りサービスを利用する」など、事前に対策を取っていくことが何よりも大切になります。

 

 

孤独死現場を発見した場合、ショックからパニックになることもあるかもしれませんが、まずは冷静に警察に連絡するようにしてください。
また、生死の判断がつかない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

孤独死された方がすぐに発見された場合でも、遺品整理や現地供養は必要です。
亡くなった方に身寄りがなく、保証人にも連絡がつかないときは、大家さんが遺品整理や清掃を行うケースも珍しくありません。

当社、遺品整理ワンズライフは、ご遺族の方だけでなく、大家様からも多数のご依頼をいただいています。
豊富な経験と知識を活かし、孤独死現場の遺品整理や、大家さんが必要な手続きのサポートをしっかりと行います。

遺品整理に始まり現地の供養まで、安心しておまかせください。

終活に関する負担を少しでも減らすことが可能です。
何か質問等ある方も、気軽にご相談をお願いいたします。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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