デジタル遺品とは?パソコンやスマホに残るデータの遺品整理・生前整理

投稿者: One's Ending編集部 | 2017年7月7日

近年では、「デジタル遺品」という言葉を耳にするようになりました。文字通り、死後にパソコンやスマートフォンなどの「デジタル機器に残された情報(遺品)」を意味します。これらには個人情報が満載されており、IDやパスワードが分からないと読み取ることができないサイトも多いため、非常に厄介な問題を抱えています。今後急増するデジタル遺品をどのように整理し、対応するべきなのか?しっかりと考えてみましょう。

今回の記事では、「デジタル遺品」を中心にご紹介いたします。パソコンやスマホに残るデータの遺品整理・生前整理について深く解説しますので、これからのためにも知識をつけておきましょう。

デジタル遺品とは

通常「デジタル遺品」とは、パソコン・スマートフォンのデータ、SNSのアカウント、電子口座などのことです。

 

現代社会ではインターネットの利便性により、様々な情報をパソコンやスマートフォンで管理する人が増えてきました。かつては、店舗に出向かなければいけなかった引き落としや支払いなども、ネットバンキングで行えるようになりました。株やFXなどの資産運用においても、パソコンは欠かせない重要ツールです。

 

その一方で、セキュリティの問題から、本人以外が操作することが難しく、IDやパスワードが分からなければ、資産(遺産)を確認することができない状況になる可能性がある問題もあります。また、家族には見られたくない情報を保存している人もいるでしょう。そのような理由から、生前のうちにこれらの問題を解決しておく必要があります。

 

デジタル遺品の問題と事前の対応

人生はいつ何が起こるかわからないものです。いざというときに家族や周囲の方が困らないためにも、個人ができることをまとめてみました。

パソコン、スマートフォンのデータ

パソコンとスマートフォン

パソコンやスマートフォン等の電子機器には、家族の写真・動画や趣味で集めたものなど、さまざまなデータが収められています。もし遺品整理の際に、人には知られたくない趣味や異性との交際の形跡などが見つかったとしたら、家族を大きく落胆させることでしょう。

 

このような状況を防ぐのに便利な道具があります。それは一定期間更新などがない場合に、自動的にファイルを削除する「死亡時自動削除ソフト」です。基準となる日を設定し、その日より何日後に実行するかを設定できます。毎日基準日を変更し、削除される日を翌日にしておけば、自分が見られたくないデータを家族の目に触れさせることは一切ありません。

 

また、デスクトップ上に遺言が現れ、それを開くとデータが削除されるソフトもあります。無駄な恥をかかないためにも、設定しておくと良いでしょう。ただし、スマートフォンに対応したツールはまだ少ないのが現状です。写真やデータはパソコンに移しておくか、こまめに削除しておきましょう。

SNS

SNS

在は、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)、ブログやインスタグラムなど、数々のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)があります。複数のSNSを利用している方も少なくないのではないでしょうか。Twitterのプライバシーフォームには、アカウント所有者が亡くなった場合のアカウント削除に関する案内が掲載されており、Facebookは追悼アカウントの申請ができるので故人を偲んで追悼画面にすることが可能です。

 

インスタグラムは、追悼アカウントに変更することで、アカウントを凍結するか、アカウントを削除する方法を選べます。ただしブログ系は自分で削除する方法が一般的です。いずれにしても操作は家族に委ねなくてはなりません。あらかじめ家族に自分が亡くなった後のSNSの扱いについて希望を伝えたり、 IDやパスワードをエンディングノートに記載したり、通帳などの大切な物と一緒に保管しておくことをオススメします。

 

電子口座など

パソコンとお金のイメージ

デジタル絡みのトラブルで特に多いのが、「故人が開設したネット銀行やネット証券の口座がわからなくなった」というものです。IDやパスワードが分からないため資産の確認ができないという状況のみならず、どの金融機関の口座か、そもそも口座があることさえ知らないこともあります。

 

銀行・証券

預金は相続人の権利が侵害されるのを防ぐため、亡くなった時点から「相続財産(遺産)」となり凍結されます。しかし「葬式代が出せない」、「支払いができない」など、金銭の出し入れができない状況になって困るケースもあります。凍結は死亡届が提出された時点で開始されますが、行政機関から銀行に連絡がいくことはなく、家族からの連絡により行われます。

 

豚の貯金箱 凍結

家族が連絡をせず凍結されていない口座もありますが、IDやパスワードが分からなければ銀行に尋ねるしかないため、結果的には死亡したことを伝えなくてはなりません。相続がはっきりすれば凍結が解除されますが、すぐにお金が必要なときにロスタイムが生じるのは大変ですよね。また、分配が終わった後に遺産が見つかった場合、争い事の原因にもなることもあります。

 

その対策として、遺族のためにエンディングノートなどの1ページに、「デジタル遺品」となるべきリストを作成してはいかがでしょうか。口座を開設している金融機関とIDとパスワードが、パソコン上のどこに表示されるのかも分かるようにして下さい。

 

株式

現物保有の株式は、株式を家族に移管して相続することができますが、信用取引の株式は建玉(未決済になっている契約総数)の移管はできません。決済して残った現金のみが移管されます。いずれにしても株券があれば遺族も気づくと思いますので、通帳など有形の貴重品と一緒に保管すると良いでしょう。

 

FX

仕組みは信用取引と同じで、証拠金取引です。そのため、FXでも名義人が死亡した場合、その口座のポジションはすべて決済され、残った現金が相続人の口座に移管されます。ただし、FXや株取引は資産価値がマイナスの場合もありますので、負債額が大きい場合には遺産放棄することもご検討ください。

 

デジタル遺品にまつわるトラブル事例やエピソード

実際に起こったトラブルなどのエピソードをご紹介します。

母のパソコンに見覚えのないフォルダー

母が亡くなってしばらくして、デジタル遺品の整理をしようとPCを開いた時の話です。デジタル系にはウトい人だったので、私が母に代わりちょっとした設定などをしていたため、携帯もPCのパスワードの解除も簡単でした。一通り画像などを確認した後、メールにも目を通すと覚えのない個人フォルダーが作られていました。そして何気なく開くとなんと母と男性とのやり取りしていた文が残っていました。内容から察すると昔の彼氏のようでした。母は地味で外見もパッとしなく、父意外とは付き合ったこともないと言っていたので本当に驚きました。そして他の家族にも伝えることなくそのメールは削除しました。(神奈川県在住・30代女性)

兄のネットバンクの口座がわからずに苦労

兄が亡くなり、離婚をしていたので、遺品整理のほとんどを私と母で行いました。衣服や家財道具などは、母が専門の業者に依頼して処分することが出来ましたが、PCやスマホなどのデジタル遺品は、私が担当したので対処が大変でした。 ネットバンクに預金があったのは、生前聞いていたのですが、どこのネットバンクに幾ら預金があるのかすらわからず、PCを見てもそれらしき物は見つけられないで困りました。 スマホならアプリなどを落としてあると思い、ロックがかかっていなかったので確認したのですが、結局わからないまま終わりました。 しばらくしたら兄の書類ケースからネットバンクのカードが見つかり、手続きを行えることができました。(埼玉県在住・40代男性)

友人が祖父から譲り受けたスマートフォン

友人の祖父が亡くなった際に残したスマートフォンを、友人が譲り受けることになりました。その際にデータの初期化を行わずに使用していたらしいのですが、友人の祖父はスマートフォンのSNSアプリに登録して使いこなしていたらしく、様々な女性の方から毎日のようにメッセージが届いたそうです。友人は祖父が遊んでいたのかと最初はがっかりしていたそうですが、亡くなった旨をメッセージで送ると実際にお線香をあげに来られた方もいたそうで、とても社交的で人望のある方だったそうです。友人は少し疑ってしまった自分を申し訳なく思ったそうです。(神奈川県在住・20代男性)

夫のSNSをどうするか

亡くなった夫のSNSをどうしようか悩みました。いくつかのSNSを使用していましたが、ほとんどのパスワードが分からない為削除が難しく、各運営に問い合わせました。その際、大体のサイトがアカウントを削除する為には夫が亡くなったことを示す死亡診断書などの書類、妻である私の身分を証明する運転免許証などが必要でした。ただ、スマホで写真を撮って運営会社に送信するだけなので簡単ではありました。私の場合は夫がどんなSNSやサイトを利用しているか把握していたのですぐに対応が可能でしたが、もし身内に誰も対応出来る人がいなければ、故人のアカウントってそのままネット上に残るのかなと思いました。(神奈川県在住・20代女性)

知り得なかった事実

従兄弟が亡くなり、親戚の中でパソコンを起動できるのが自分しかいなくパスワードも設定されていなかったので、死と何かヒントがないかと検索を頼まれました。パソコンのメールのやりとりで、不倫していた事がわかりそれで従兄弟は相手の家庭から毎日のように呪われるようなメールを受けていたようで、精神的に参ったのでしょう。メールの内容を見なければ知り得ない事実だったようで、周りのみんなが傷つきました。(北海道在住・女性)

 

遺族の方ができることは?

 

パソコンのパスワードを解除する

パソコンのセキュリティイメージ

近年の電子化を反映して、デジタル遺品を扱う会社があります。そこではパスワードの解除からパソコンに保存されているデータの移行、インターネット上で使用しているIDやパスワードの解除を行っています。パスワードが解除できない場合は無料の業者もあるので、試してみる価値はあるでしょう。

スマホのセキュリティイメージ

なお、ドコモ・au・ソフトバンクなどの携帯電話3社に確認したところ、「スマホについては遺族の頼みでも解除できない」という返答でした。たしかに、簡単に解除されてはセキュリティの意味がありませんよね。スマホについては推測できるパスワードを試しても対処できなかった場合、諦めるしかないでしょう。なお、解約については死亡証明や代理人の身分証明書が必要となります。

 

ネットで引き落としされているサービスを解約する

月々に支払うサービスもネットで引き落とされていることがあります。記帳したり、ネットバンキングを利用していたりする場合は、その金融機関に確認してチェックする等、引き落としがないか確認してください。解約時に、どれくらいの料金がかかるのかも聞いておきましょう。

 

まとめ:パソコンの便利さだけでなくリスクも知っておこう

パソコンは仕事にも遊びにも対応できる便利な道具です。そのため企業秘密のようなオフィシャルなデータから、資産・嗜好、性癖や異性との関係といったパーソナルなデータまで保存されています。多くのあらゆる情報が一つにまとまっているため、存在は非常にリスキーです。資産など遺族にとって必要な情報はすぐに取り出せるように、目に触れてはいけないものは墓場まで持って行けるよう、日頃より整理整頓しておくことをおすすめします。
また、ご両親や配偶者にデジタル遺品のことを考えてもらいたいと思っても、なかなか言いづらいかもしれません。その場合は、まず自分が整理し、ご家族の皆さまに伝えてみてはいかがでしょうか。いつその時が訪れるかわからないことなので、家族が集まる機会に話し合うのもおすすめです。安心して「デジタル遺品」を行うためにも、ここでご紹介してきたポイントを参考にしてみてくださいね。

 

この記事を書いた人ライタープロフィール
One's Ending編集部 関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、特殊清掃に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。

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