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2017.09.15 (2022.08.03 One's Ending編集部 加筆)

相続人(法定相続人)とは?誰がどのくらい相続できるのか知っておこう

あなたの親族が亡くなったとき、あなたに相続権が発生するかもしれません。
また、相続権があったとしても、相続権を持った方が全員一律の割合で相続を受けるわけではありません。
それでは、おじ・おば、きょうだいの場合はいかがでしょうか?

相続というと財産をもらえるというイメージかもしれませんが、故人が負債を抱えていたときは、借金を引き継ぐ可能性もあります。
このため、誰が相続人で、どの程度の財産を引き継ぐことになるのかを事前に知っておく必要があります。
未婚、もしくは子どものいないおじ・おば・きょうだいがいる方は、とくに相続問題が舞い込んでくる可能性があるので、この記事を読んで相続に関する知識を身に付けておきましょう。

民法で定義されている相続人(法定相続人)

相続人とは、被相続人(故人)の権利と義務のすべてを受け継ぐ人のこと。
「誰が相続人なのか」ということを定めているのは民法です。法律で決められているため、相続人のことを「法定相続人」とも呼びます。

 

民法では、相続人は被相続人から見て、配偶者もしくは血のつながっている人というのが大原則です。

 

知っておきたい相続人の順位と法定相続分

相続人は、故人の家族構成によって変わります。
また、相続できる財産の割合も、相続人の構成によって変動します。
相続人が誰になるのかについての順位付けや法定相続分を具体的に見ていきましょう。

配偶者は常に相続人

配偶者は常に相続人となります。
どのような相続形態においても、故人に配偶者がいれば、常に相続人です。このため、配偶者は相続人の順位付けの対象外になっています。

 

ただし、この場合の配偶者とは、被相続人が亡くなった時点で婚姻関係にあった人物のこと。
生前に離婚していた場合や、内縁関係の場合には相続権は発生しません。

 

また、配偶者の法定相続分は、ほかの相続人が誰なのかによって変動します。

 

相続人は「第1順位=子」「第2順位=親」「第3順位=きょうだい」の順番

相続順位は、配偶者の次に相続人になるのが誰なのかを表している優先順位のことです。
第1順位者がいない場合、第2順位者に相続権が移ります。
第2順位者もいない場合には、第3順位者になります。

 

反対に、第1順位の「子」がいる場合には、第2順位の「親」は相続人になりません。

 

では次に、具体的な例を見ながら、誰がどのような条件で相続人となるのかを見ていきましょう。

 

第1順位者=子(直系卑属)
配偶者を除いて第1順位者になるのは、被相続人の子どもです。
この場合の子どもとは、戸籍上子になっている方のこと。実子でも養子でも同じ扱いになります。

 

ただし、養子縁組をしたタイミングによっては、代襲相続ができません。
代襲相続とは、子どもがすでに亡くなっていた場合は孫が、孫も亡くなっていた場合はひ孫が相続するという仕組みのこと。
養子縁組をする前に生まれていた孫には代襲相続権がないので、注意が必要です。

 

配偶者と子がいる場合の相続割合は、配偶者が1/2で、残り1/2が子どもの分です。
1/2を子どもの人数で均等に分けることになるので、子どもが1人なら1/2、2人ならそれぞれ1/4ずつ、子どもが3人なら1人1/6ずつ、ということになります。

 

第2順位=親(直系尊属)
夫婦の間に子どもがいなかった場合、相続権は直系の父母に移ります。
直系ということは、夫が亡くなった場合は夫の父母が受け継ぐということです。
たとえ妻の両親との関係性が深かったとしても、妻の父母は相続人にはなりません。

 

また、もし夫の父母がすでに亡くなっていた場合には、祖父母が相続権を得ることになります。

 

この場合の相続割合は、配偶者が2/3、父母が1/3(2人いるなら1/6ずつ)です。

 

第3順位=きょうだい(直系尊属)
子どももなく、父母、祖父母も亡くなっていた場合、次に相続権を得るのは亡くなった方の兄弟姉妹になります。

 

兄弟姉妹のうち亡くなった方がいる場合は、その子ども(被相続人からみて甥・姪)に代襲相続します。
兄弟姉妹の子どもが亡くなっていた場合は、孫に相続権が移ることはありません。

 

配偶者ときょうだいがいる場合の相続割合は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が残り1/4を均等に分けることになります。

 

相続における気になるポイントをQ&Aで解説

法定相続人について理解をしていても、実際にはよくわからないことが出てくる可能性があります。
よく出てくる質問事項について解説しましょう。

Q1:配偶者がいない場合は?

配偶者がいない方が亡くなった場合、子ども(第1順位)がいれば、子どもがすべてを相続します。子どももいなければ父母(第2順位)、父母もいなければ祖父母が受け継ぎます。直系尊属がいなければ、兄弟姉妹(第3順位)が相続人です。兄弟姉妹もお亡くなりなら、甥や姪が受け継ぎます。

 

Q2:内縁の夫や妻に相続権はある?

内縁の夫や妻とは婚姻届けを出してはいないが、事実上婚姻関係にある男女のことをいいます。
結論から言いますと、内縁の夫や妻が相続人になることはありません。
しかし、2つの法的保護を受けられる可能性があります。 

 

1つは、「遺族年金を受けられるかもしれない」ということ。遺族年金の受給権は、遺族の生活保護の観点から法律によって定められているため、事実上の婚姻関係にあった内縁の夫や妻にも認められることがあります。
気になる方は年金事務所で相談してみましょう。 

 

2つ目は、被相続人と生活していた住居について。
判例においては、被相続人が契約していた賃貸に内縁の夫や妻が同居していた場合、契約者が亡くなったあともすぐに立ち退く必要はないとしています。
賃借権は相続人に継承されるので、賃貸料の支払い義務を負うのは相続人です。
しかし、故人と同居していた内縁関係の夫や妻は住み続けられます。

 

 

Q3:非嫡出子の相続はどうなる?

まず、嫡出子と非嫡出子について説明します。
嫡出子とは、法律上婚姻関係にある男女の子どもとして生まれた者のこと。
一方の非嫡出子とは、法律上婚姻関係にない男女の間に生まれ、認知を受けた者を指します。

 

 結論から言うと、非嫡出子と嫡出子は相続分割に差はなく、同等に相続できます。
実は、かつて非嫡出子は嫡出子の1/2しか相続権がありませんでした。
しかし、平成25年12月に民法の一部が改正され、現在に至ります。 

 

平成13年7月1日から平成25年9月5日より前に相続分割を開始した相続についても、遺産分割が確定していなければ、現行の法律と同様の対応になります。
しかし、すでに遺産分割協議が完了している相続の結果は覆りません。 

 

Q4:相続人が亡くなっていたらどうなる?

本来相続を受ける方が亡くなっていた場合、その子どもが相続を引き継ぐことになります。
これを代襲相続と呼びます。

 

 亡くなった方の直接の子孫であれば、子から孫、ひ孫と、永久に再代襲が続いていきます。
しかし、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人のときは、甥や姪までしか相続人の範囲は及びません。

 

Q5:相続人と連絡がとれないときはどうする?

法定相続人と疎遠で、連絡がとれないというケースもよく見聞きします。
もし、相続人が行方不明だったとしても、その方が不在の状態で遺産分割協議を行うことはできません。
基本的には法定相続人を探し出す必要があります。

 

まずは、戸籍附票などをもとに、相続人の住所を調べてみましょう。
この際に、相続人が未婚だったり自分のきょうだいだったりすれば、戸籍を取り寄せて現住所を調べられます。
しかし、相手が独立して戸籍を作っている場合には、役所に戸籍謄本を発行してもらえないため、住所を調べる手段がありません。

 

どうしても相続人と連絡がとれない場合には、「不在者財産管理人」を指定したり「失踪届」を出したりして対処しましょう。

 

法定相続人が相続できないケース

一般的には法定相続人が故人の遺産を引き継ぎますが、例外もあります。
法定相続人が相続できないケースをご紹介します。

 

法定相続人がいないとき

法定相続人がいない場合や亡くなっている場合には、法定相続人は相続できません。

 

相続人不存在が確定し3ヶ月以内でしたら、特別に縁故を持った方(特別縁故者)が家庭裁判所に財産を請求する権利があります。

 

事実婚の方や、介護や生活の世話をしていたなど、故人と関連がある方が、裁判所の判断によって財産の全部または一部を相続することができた例が過去にあります。

 

被相続人が生前に遺言書を作成したとき

故人が生前に遺言書を作成していて、法定相続人以外の人物や機関に財産を引き継ぎたい旨の記載があった場合には、遺言書通りに相続されます。

 

遺言書は簡単に分けられない事業や不動産の継承には役立つものです。
しかし、法定相続人に何も知らされていないまま、遺言書が見つかった場合には、遺族は大変な混乱状態になるはずです。
日頃からコミュニケーションをしっかりとって、遺言書を残す側が家族に伝えておくことが理想ですね。

 

相続人が認知症のとき

最近増えているのが、相続人が認知症というケースです。
認知症は判断能力がない状態ですので、遺産分割協議に参加できません。
相続人全員の同意がなければ遺産分割はできないうえ、家族が勝手に書類を書いたり押印したりすることは、法律違反になってしまいます。

 

もし、配偶者が認知症の場合などは、被相続人が生きているうちに遺言書を作成し、ほかの相続人が相続できるようにしておくのがよいでしょう。

 

【図解】具体例で相続分を理解しよう

わかりにくい法定相続人による相続分割。
ここではいくつかの実例を図解で見ていくことにしましょう。

 

配偶者あり、子供なしの場合

法定相続人

夫が亡くなり夫婦に子どもがおらず、かつ父母が健在であった場合の相続関係になります。
配偶者は2/3、父母は残り1/3を等分にするので、この場合は1/6ずつとなります。

 

配偶者あり、子供2人の場合

法定相続人

夫が亡くなって、夫婦に子どもが2人いた場合のケースです。

 

この場合は、配偶者が1/2、残りの1/2を子どもたち2人で等分にするので、子どもはそれぞれ1/4相続することになります。

 

配偶者あり、子供、親なし、兄弟姉妹2人の場合

法定相続人

このケースでは配偶者が100%相続できないため、老後の資金が足りなくなる可能性があります。
子どもがいない方の場合、生前に遺言書を作成するメリットは大きいのです。

 

法定相続ではこの場合、配偶者は3/4、残りの1/4を兄弟姉妹で等分します。
このケースでは兄弟姉妹が2人なので1/8ずつということになります。

 

配偶者なし、子供3人の場合

法定相続人

配偶者がすでにお亡くなりになっていて、残っていた夫もしくは妻がお亡くなりになった場合。
もしくは、夫婦がすでに離婚していたケースです。

 

この場合、子どもにしか相続権は発生しません。
つまり、子ども3人の場合は1/3ずつ、2人の場合は1/2ずつと相続するということです。

 

 

まとめ

今回は相続人が誰になるのかについて解説しました。
法定相続人は民法で決まっていますが、正しく理解するのはかなり難しいものです。
しかし、遺産相続に関連するトラブルを防ぐためにも、「ご自身が亡くなったときに誰が相続人になるのか?」や「自分の死後に遺産相続で家族が困らないか?」などを考えておくとよいでしょう。

 

もし、相続人になり得る方のなかに連絡のとれない親族がいたり、認知症などの方がいたりする場合には、早めに対策をとっておくことが大切です。
住所を調べておいたり、エンディングノートなどを利用して財産一覧表を作成することをおすすめします。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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