2026.02.16
知的財産権は相続できるのか
知的財産権は、人間が生み出した創作物やアイデアを保護するための権利です。仮に権利者が亡くなった場合、知的財産権は相続人へ引き継ぐことができるのでしょうか。
この記事では、知的財産権は相続の対象となるのか、権利の種類や性質、注意点も含めてわかりやすく解説します。
知的財産権とは
知的財産権とは、人間の知的な創作活動によって生み出された成果を保護し、他人に無断で利用されることを防ぐための権利です。文章や楽曲、デザイン、発明、商標などの創作物・アイデアには、財産的な価値を有するものがあり、知的財産権によって法的に保護されています。
知的財産権の種類
知的財産権は大きく分けて「著作権」「産業財産権」「その他」の3つに分類されます。
各区分における権利と内容は下表のとおりです。
|
区分 |
権利 |
内容 |
|
著作権 |
著作者の権利 |
著作物を保護する権利 |
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著作隣接権 |
著作物の伝達に関与する実演等を保護する権利 |
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産業財産権 |
特許権 |
発明を保護する権利 |
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実用新案権 |
考案を保護する権利 |
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意匠権 |
物品のデザインを保護する権利 |
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商標権 |
営業商標を保護する権利 |
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その他 |
回路配置利用権 |
半導体の回路配置を保護する権利 |
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育成者権 |
植物の新品種を保護する権利 |
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営業秘密等 |
営業秘密や商品の表示等を保護する権利 |
それぞれ保護の対象や範囲が異なりますが、いずれも知的創作物の価値を守る点で共通しています。また、近年は知的財産権の対象範囲が広がりつつあり、今後はここでご紹介したもの以外の創作物やアイデアも保護される可能性があります。
知的財産権と相続の関係
知的財産権は無形の財産・資産ですが、権利者が亡くなった場合には相続の対象となります。ただし、すべての知的財産権が相続財産に含まれるわけではなく、内容によって対象となるもの・ならないものがあるうえ、相続人が権利を承継する場合には登録手続きが必要な場合もあります。
相続の対象となるのは「財産的権利」
知的財産権のうち、相続の対象となるのは財産的な価値を有する権利です。一方、人格的な性質が強い権利は対象外となり、著作者人格権のように創作者本人に固有の権利は承継できません。
著作権の相続
著作権とは創作した著作物を保護するための権利であり、「財産的な権利」と「人格的な権利」の2つに分かれます。このうち、相続できるのは財産権としての著作権(著作物の利用を通じて収益を得る権利)です。具体的には、複製権、上演権・演奏権、上映権、展示権、譲渡権、貸与権、二次的著作物の利用権などが含まれ、すべて相続の対象となります。
著作権は、著作物が生み出された時点で発生する権利であり、相続にあたって必要となる手続きはありません。相続人同士で協議し、誰が著作権を引き継ぐかを決めるだけで、その権利は自動的に相続されることになります。
産業財産権の相続
産業財産権には以下の4つがあり、いずれも財産的価値を持つものとして相続の対象となります。
- 特許権
- 実用新案権
- 意匠権
- 商標権
これらは特許庁が所管しており、出願・登録をすることで一定期間独占的に使用できます。著作権とは異なり、相続人が権利を取得するためには登録手続きを行う必要があります。
知的財産権の相続における注意点
知的財産権の相続にあたって気をつけたい事項を以下にまとめました。
一定の存続期間がある
知的財産権には、それぞれ法律で定められた存続期間があり、相続によって永久に引き継がれるわけではありません。財産権としての著作権および産業財産権の存続期間は次のとおりです。
- 著作権:著作者の死後70年
- 特許権:出願から20年(一部出願から25年)
- 実用新案権:出願から10年
- 意匠権:登録から始まり、出願から最長25年で終了
- 商標権:登録から10年(更新あり)
なお、著作者人格権の保護期間は、著作者の死亡によって消滅すると定められています。
共有状態になるとトラブルが起こりやすい
知的財産権は共有状態になりやすく、持分の譲渡やライセンス契約の締結にあたっては共有権利者全員の同意が必要となります。こうした場合に、相続人同士の話し合いを円滑に進め、後々のトラブルを未然に防ぐためには、遺産分割協議書を作成し「誰がどの知的財産権を相続するのか」を明確に記載しておくことが重要です。
まとめ
知的財産権のうち、財産的な価値を持つ著作権や産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)は相続の対象となり、その権利を相続人が引き継ぐことができます。ただし、知的財産権にはそれぞれ存続期間があり、期間が満了すると権利は消滅することに注意が必要です(更新手続きによって期間を延長できる権利もあります)。
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