尊厳死とは?定義や日本における現状を知りたい、希望する場合について

投稿者: One's Ending編集部 | 2017年11月2日

多くの人が、家族と一緒に自宅で最期の瞬間を迎えることを願っていても、医療技術の発達により、病院のベッドの上で人生を終えるケースが多くなってきました。
身体中にたくさんの医療装置を取り付けられ、生きていることをモニターで確認する「延命治療」も行われる中で、人間らしく最期を迎えられる「尊厳死」を望む方も増えています。今回の記事では、尊厳死とは何か、定義や日本における現状をご紹介いたします。
また、尊厳死を希望する場合にはどうすれば良いのかについても、わかりやすくまとめたので、選び方の参考にしてみて下さいね。

尊厳死の定義とは

医療技術の発達とともに、快復の見込みがなく死期が迫っていても「人工呼吸器や心肺蘇生装置を着ける」「点滴で栄養補給をする」など、生命を維持するだけの「延命措置」が行われるようになりました。このように命の期限を長くする治療を受けず、人工的に寿命を永らえることなく個人を尊重し、最後まで人間らしく生きるための方法が「尊厳死」です。

 

安楽死との違いは

安楽死は「人為的な死」。尊厳死は「自然死」と考えれば明確にわかりやすいでしょう。末期がんを例にそれぞれの違いをご説明します。

症状の進行により激しい疼痛を伴う患者に対して、これ以上大きな苦痛を与えないため、人為的に死をもたらすことを「安楽死」。一方、痛み止めなどの最低限の医療行為を行い、自然な死を迎えることを「尊厳死」と言います。

現在、安楽死を認めている国は、スイス、オランダ、ベルギーやアメリカの一部の州だけであり、日本を含む多くの国では認められていません。

けれども2019年に、20年以上難病と闘っていた日本人女性が、スイスの「ライフサークル」という組織から「死の権利」を得られる案内メールを貰われました。その出来事はニュースでも取り上げられ、日本中の人々が「安楽死」へと注目を集めたのです。

また「安楽死」は、自ら命を終える活動へ進むことになるので、しっかりと自分自身の意思を見つめ直し、事前に何度も死期の選択について深く考える必要があります。決断する場合は「十分に人生を楽しんだのか」「何も悔いはないのか」等、気持ちの最終確認を行いましょう。

 

日本と海外における尊厳死

グローバル医療

延命治療をすべきか、尊厳死を選ぶべきか。

意識が衰弱し、本人が自身の状態を判断できない場合において、どれがベストな選択なのか迷うことでしょう。尊厳死を推奨する「死の権利協会世界連合」では、もし本人が自然死を望む場合、元気な間に意思表示する「リビング・ウイル」を提唱しています。

 

1970年代より、アメリカでは「患者の希望で人工呼吸器を取り外すこと」がインフォームド・コンセントとして確立。患者の希望しない医療行為を強制した場合、医師が傷害罪に問われる可能性があります。

 

日本尊厳死協会の資料によると、「死の権利協会世界連合」には、日本を含む26カ国の52団体が加盟し、アメリカの多くの州やフランスなどでは法制化されています。

2012年、日本でも「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」の作成作業が進められていましたが、尊厳死を巡る議論は一向に尽きず、法制化には至っていません。

 

尊厳死を望む場合

尊厳死の希望は自己決定によるものですが、事前に最後を看取る家族と意見を統一しておく必要があります。もし家族が尊厳死に反対する場合、医療関係者が患者よりも家族の意見を優先し、延命治療を行うことが考えられるからです。

尊厳死を希望する場合は、このような方針に至った経緯や目的など、提案を理解をしてもらうために普段から家族と話し合うことが大切です。検討している段階から、少しずつ相談しておくと良いでしょう。また、尊厳死を希望することを証明するために、生前より「尊厳死宣言書」を作成しておきましょう。遺言書に記載しても生前のことには効力を発揮しないので、注意してください。

 

以下で、尊厳死を望む場合の方法について解説します。

 

尊厳死宣言書を作成する方法

尊厳死宣言書の書き方に決まりはありません。基本的には「本人が尊厳死宣言書を作成する方法」と、「公証人と宣言内容を話し合って公正証書として作成する方法」から選べます。

ここでは、本人が「尊厳死宣言書」を作成する方法について解説します。

 

尊厳死宣言書に記載すべき事柄は、以下のようなことが考えられます。

 

  1. 延命治療を拒否し、尊厳死を希望する。
  2. 尊厳死を希望するに至る理由。
  3. 家族も尊厳死に同意している。
  4. 尊厳死を容認した医師に対し、刑事上及び民事上の責任を求めない。
  5. 本人が撤回しない限り、尊厳死宣言書の内容は有効である。

 

自筆のサインと捺印のほか、家族が同意していることを明らかにするために、家族(なるべく2名以上)の署名も記載します。

 

こちらは本人が作成後、家族や近親者などが大切に保管し、必要が生じた場合に担当医師に提出することになります。

 

公正証書による方法

公正証書とは、全国に約300カ所ある「公証役場」という国の機関において作成された公文書です。中立公正な立場である公証人が作成する「公正証書」には、非常に高い証明力があり、遺言書の作成、離婚後の慰謝料、養育費の請求や金銭の貸し借りなどにも利用されます。

 

この方法は、まず尊厳死を望む本人が、公証人の前で内容を話します。

それから、話した内容を公証人が録取し、尊厳死公正証書を作成する方法です。内容については、公証役場で公証人と相談して決めてください。

 

まとめ

「少しでも長生きをしたい」というのは、人としての「本能」です。たとえ治る見込がない病気であっても、家族の皆さまは少しでも長く生きてほしいと考えます。しかし、回復の見込みがない末期症状に陥った場合、延命治療を行うことは避け、自然な形で安らかに眠りにつく選択肢があってもよいのではないでしょうか?

 

日本での尊厳死に対する理解は、まだまだ欧米のそれに比べて深いものといえません。しかし、2007年に厚生労働省が「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を作成しており、徐々に理解は深まりつつあります。

これから高齢化社会が進む中で、このような問題は増加すると見込まれているため、「生前に自分の最期について考えておかなければならない時代」が近づいているのかもしれません。

この記事を書いた人ライタープロフィール
One's Ending編集部 関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、特殊清掃に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。

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