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2017.11.02 (2022.10.15 One's Ending編集部 加筆)

尊厳死と安楽死との違い~定義や日本における現状

「長生きはしたいけれど、最期まで自分らしくありたい」このように考える方が増えています。
しかし、医療技術が発達した現代の日本では、さまざまな延命治療を行うことで、患者自身の意思とは関係なく、生き続けることができるようになりました。
延命治療を行えば長生きは可能ですが、住み慣れた家で家族に囲まれながら最期を迎えるというような、理想の形とは異なるケースが多いでしょう。
こういった背景から、回復の見込みがない状態での延命治療を拒否する「尊厳死」を望む方が増えています。
しかし、医師や家族の思いや責任問題など、尊厳死にはまだまだ難しいポイントがたくさんあり、議論がつきません。
そこで、尊厳死に関する日本の現状や希望する場合に準備したいことを解説します。

尊厳死の定義とは

尊厳死とは、人間らしく安らかに自然な死を迎えること。人生の最終段階に過剰な医療行為を行わず、自然経過に任せて死を迎えることともいえます。

現代の日本では、医療技術が発達しているため、回復の見込みがない患者にも、人工呼吸器をつけたり胃ろうによる栄養補給を行ったりと、生命を維持するためだけの延命措置が一般的です。
こういった無理やり寿命を延ばすような医療行為を中止して、自然に死を待つことが尊厳死といえるでしょう。

ただし、尊厳死とは終末期におけるすべての医療行為を停止することではありません。
苦痛を緩和するためのケアは積極的に行うので、安らかに最期を迎えることができるのです。

 

尊厳死と安楽死との違い

尊厳死と似ている言葉に「安楽死」があります。
安楽死は「人為的な死」です。終末期に自分が介入できない状態で、他者によって死がもたらさせることを指します。
つまり、尊厳死は治療をやめることで自然に死を迎えますが、安楽死では何らかのアクションがあって死を迎えるのです。
具体的にいうと、医師によって処方された薬を打ったり服用したりすることで、死に至ることを安楽死と呼びます。

安楽死は自殺幇助(ほうじょ)ともいわれます。
このためスイス・オランダ・ベルギーなど一部の国で安楽死は認められていますが、日本を含む多くの国では認められていません。

 

日本と海外における尊厳死

グローバル医療

尊厳死は、アメリカやヨーロッパ諸国、台湾やシンガポールなどで認められています。
しかし、日本では延命治療をするのが当然という考えが強く、尊厳死についての議論もあまり活発に進んでいません。
意識が薄れて患者本人が自分自身で判断できない状況下で、家族や医師が治療をやめる選択をするのはとても難しいことでしょう。

そういったこともあり、日本尊厳死協会では、「尊厳死の宣言書(リビング・ウィル)」の普及を進めています。
尊厳死宣言書とは、終末期の医療の選択について事前に自分の意思を表明するための文書です。
医師が延命治療を行う前に提示することで、自分らしい最期を迎えられるようになります。

 

尊厳死を望む場合

自分の最期を思い浮かべたとき、尊厳死を望む場合は元気なうちに「尊厳死の宣言書(リビング・ウィル)」を作成しましょう。
この尊厳死宣言書は法的な拘束力を持っていませんが、提示することで、9割超の医師が延命措置をやめて尊厳死を許容しています。
尊厳死宣言書を一度作成しても、文書や口頭でいつでも撤回できるので安心してください。

尊厳死宣言書の作成方法は2つあるので、詳しく説明しましょう。

方法1:自分で尊厳死宣言書を作成する

1つ目の方法は、自分で書いた尊厳死宣言書を公証役場に持っていき、署名捺印して、公証人の認証を受けるというもの。
つまり、私署証書で認証を受ける方法です。この場合は、公証人が中身を確認することはないため、内容を自分で決める必要があります。

尊厳死宣言書に記載すべき文書に決まりはありませんが、以下のような内容を記しましょう。

・延命治療を拒否し、尊厳死を希望する旨
・なぜ尊厳死を希望するのか
・家族も尊厳死に同意している
・尊厳死を容認した医師に対し、刑事上及び民事上の責任を求めない
・本人が撤回しない限り、尊厳死宣言書の内容は有効である

自筆のサインと捺印のほか、家族が同意していることを明らかにするために、家族(なるべく2名以上)の署名も記載します。
こちらは本人が作成後、家族や近親者などが大切に保管し、必要が生じた場合に担当医師に提出することになります。

方法2:公正証書として作成する

2つ目の方法は、公正証書として尊厳死宣言書を作成するもの。
内容は自分で決めて、公証人に文章案を作ってもらう方法です。
公証人が作成した文書は、自分で確認・訂正したうえで、高い証明力を持つ公正証書になります。
公正証書を作成する際は、なるべく家族も同席することをおすすめします。

 

まとめ

大切な家族が不治の病にかかったとき、治る見込みがないとわかっていても、延命治療をやめる決断をするのは難しいでしょう。
大切な人であればあるほど、奇跡を信じてどんな手を使っても生きてほしいと思うからです。
このため、人間らしく自然な死を迎えたいと考えているなら、元気なときに自分の意思をはっきりと示すことが大切です。

エンディングノートに終末期の医療について書き記す方もいますが、より確実に自然な死を迎えるためには、尊厳死宣言書を作成することをおすすめします。
尊厳死宣言書には、「尊厳死を許容した医師の責任を求めない」という文言があり、医師も受け入れやすいからです。

尊厳死宣言書を作成する際は、家族の合意が必要です。
日頃から家族と話し合い、意思を伝えるようにしましょう。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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