セルフネグレクトとは?原因や心理、対策事例で孤独死を防ぐ

投稿者: One's Ending編集部 | 2018年2月7日

子どもの虐待が社会問題になり、「ネグレクト」という言葉が浸透してきました。その中で、今新たに注目されているのが「セルフネグレクト」です。
しかし、セルフネグレクトは成人済みの若者から高齢者まで、幅広い年齢層が陥るリスクがあり、最悪だと孤独死する恐れもあります。
そこで今回の記事では、セルフネグレクトとは何かを中心に解説いたします。
また、セルフネグレクトが起きてしまう原因や心理、対策事例や孤独死を防ぐ方法などもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

セルフネグレクトとは

セルフネグレクトを辞書で調べると、

 

「成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。」という意味が記載されています。(デジタル大辞林より引用)

大人が通常の生活を維持する場合、必要最低限の衣・食・住を整える必要があるのです。

けれども、一度セルフネグレクト状態になれば、「衣服が物凄く汚れていて、異臭を放っていても同じものを着続ける。」「食事をほとんど取らない。」「家がゴミ屋敷状態になる。」というような状況を招き、人間が生活する上で行うべき作業を放棄する可能性があります。

 

ネグレクトには「子どもの育児や親の介護を放棄する」という意味でしたが、セルフネグレクトは「自らの生活を放棄している状態」に当たります。

セルフネグレクトになる方は、これまで高齢者が多いと言われていました。

しかし、30代~40代という若い世代でも、セルフネグレクト状態から孤独死に至ったというケースが報告されており、成人ならばどの年代でもリスクがあるという情報がわかっています。

まさに、セルフネグレクトは「成人は誰しもが陥る可能性のある社会問題」なのです。

セルフネグレクトの症状

「何をするにもやる気がなくて、部屋の掃除も面倒くさい。」「自分の思うように体が動かず、気が付けば一日中ぼーっと過ごしてしまう。」このような不調や抑うつ気分が現れる状態は、健康な成人であっても起こりえます。

では、もしもセルフネグレクト状態になった場合、どのような症状に陥るのでしょうか?

 



 

一時的な抑うつ状態であれば、家に引きこもるのは長くても数日程度ですが、セルフネグレクト状態になると長期化するケースが多いです。

そのため、私たち人間のライフラインである、電気、水道やガスの料金、そして家賃の支払い等を行うことができず、周囲が助けの手を差し伸べようとしても「回復することを放棄」してしまいます。

 

 

「家がゴミ屋敷状態である」と仮定して、考えてみましょう。

ゴミ屋敷状態であることに対して「この状態は自分にとって良いとは言えない…。」と思っている間は、「今の状況をどうにかしたい。」という掃除に対する意欲があるため、セルフネグレクト状態とは言えません。

一方で「もうどのような状態になってもいい。」と、生活環境を良い状態に改善することを諦め、すべてを放置している場合は「自分自身を放棄している」と考えられ、セルフネグレクト状態であるといえます。

 

セルフネグレクトの原因

孤独

高齢者だけにとどまらず、成人した方ならば誰しも陥る可能性があるセルフネグレクト。

生きる上で欠かせないことですら、自ら放棄してしまうような状態に、人はなぜ陥るのでしょうか。

主な原因を探ってみました。

 

孤立

孤立というと、家族や会社、地域社会と関わりを自ら断ってしまった状態、そう思った方もいらっしゃるでしょう。
高齢者においては、確かにそういったケースが多いのですが、若い方の場合、この孤立が「過度な仕事」によって孤独が引き起こされるケースもあります。

 

孤立と聞くと、「家庭や会社、また地域社会との関わりを自ら断った状態」と考える方もいるでしょう。

高齢者の場合は、確かにそのようなケースが多く存在します。しかし若者の場合は、「過度な仕事」によって孤独が引き起こされるケース」もあるのです。

・朝早くから出勤し、夜遅くまで仕事が終わらない。

・友人から遊びや飲み会などの誘いを受けても、仕事の忙しさを理由に断り続けたことがきっかけで、次第に関係が疎遠になってしまう。

・家族から電話をもらっても「心配をかけたくない。」という思いから、いつも通りにふるまってしまう。

・「本当は現実が辛い…。」という弱音を、家族や友人含め誰にも吐くことができない。

 

このように何もかも仕事によって支配され、それまで自分が積み上げてきたコミュニティから孤立してしまうことでも、セルフネグレクトを引き起こすリスクは高まっていくのです。

 

身体機能の低下

掃除・料理・洗濯などの生活を維持するために行うべき行為は、身体機能が低下することで、スムーズに行うことが難しくなるケースもあります。

自分で行うことが難しくなった場合、早めに周囲へ助けを求め、相談したり支援を受けたりできれば、セルフネグレクトが起こる可能性は低いと言えるでしょう。

 

一方、身体機能の低下に加え、周囲から孤立していたり適切なフォローを受けたりできない場合、生活を維持するための行為を「やりたくてもやれない…。」という状態になります。

段々と「もうやることは無理…。」という気持ちが勝り、セルフネグレクトを引き起こすリスクは増々高まってしまうのです。

 

認知症、精神疾患などによる判断力の低下

本来行わなければならないことが出来なくなってしまうセルフネグレクト。

こちらは「認知症や精神疾患などによる判断力の低下」によっても起こり得る症状です。

認知症の場合は、徐々に自分が何をすべきかの判断がつかなくなります。

例を挙げると、着替えをするべき事態にもかかわらず、その状況判断ができないため、自ら率先して着替えられなくなるのです。さらに、誰かに声をかけられないとお風呂へ入れなかったり食事を取れなかったりする方もいます。

また認知症とは異なり、精神疾患が原因で普段以上に判断力が低下し、結果としてセルフネグレクトに陥る場合もあるのです。

 

経済的困難

私たち人間が一般的な生活を維持するためには、必要最低限の経済力を満たさなければなりません。

しかし、経済的困難な状況に陥った場合、生活維持が難しくなるケースもあります。

ピンチになる前に、悩んでいる本人が地域社会へと助けを求められれば、生活保護等の支援を受けることができます。

けれども、何も行動せず助けを求めることができなかった場合、経済的困難がさらに加速し、セルフネグレクト状態に陥るリスクが高くなるのです。また最悪の事態だと、自殺を招く危険性もあります。

 

孤独死との関係と対策

手を差し伸べるイメージ

一人暮らし世帯の増加に伴い、増え続けている孤独死。

2011年にニッセイ基礎研究所が行った調査結果によると、「孤独死した方の約80%がセルフネグレクトかもしれない」と考えられています。

それゆえ、セルフネグレクト状態である方を早期発見し介入することができれば、孤独死した方の約80%を助けられた可能性があるのです。

では、セルフネグレクト状態である方を助け、孤独死を防ぐためにはどのような支援が必要なのでしょうか?

 

自治体などの取り組みと支援

セルフネグレクトと孤独死に対し、日本の最も早く取り組みを行っているのが「東京都」です。

東京都福祉保健局では、「高齢者等の見守りガイドブック」を作成されました。

行政と地域住民の双方が協力して、セルフネグレクトと孤独死を防止する取り組みを進められているのです。

 

東京都以外の自治体でも、同様に力が注がれてきています。

また、先ほど述べたニッセイ基礎研究所の調査内容によると「各自治体へどのような対策を行っているのか」についても、詳しく調べられていることが分かりました。

その結果を見ると、最も多い対策が「訪問(36.0%)」、そして「介護予防(20.4%)」「見守り・声掛け(18.1%)」と続いています。

訪問は、民生委員や保健師等の自治体職員が行っている場合と、地域のボランティアへ依頼している場合があり、自治体によってもバラバラです。

しかし、自治体のサポートは「対象者から拒否されてしまい、それ以上の介入ができない」「個人情報保護の観点から深い情報を地域住民へ提供できない」等の課題も多く、自治体として関われることは限られているのが現状です。

 

地域包括センターとは

地域包括支援センターは、市町村に設置された、住民の健康や生活の安定のために必要な支援を行う施設です。

主な業務は介護予防支援および包括的支援であり、セルフグレクトや孤独死を防止するための対策にも関わっています。

職員には、保健師、社会福祉士や主任介護支援専門員が配置されており、それぞれの専門性を生かして、より住民のニーズにあった支援が行えるように考慮されています。

生活にお困りの場合は、思い悩む前に地域包括支援センターの相談窓口へ行くと良いでしょう。

 

周囲ができること

では、セルフネグレクト状態である方を助けるために、周囲ができることはあるのでしょうか?

それは、「周囲の人々が一致団結し、サポートを拒否されたとしてもその場から救い出す行動力を持つこと」です。

 

もしもセルフネグレクト状態になった場合、本人は常に全ての言動において憂鬱や諦めの気持ちが勝るため、どんなに援助を行おうとしても拒否することがあります。

このとき、周囲は本人の意思だからと拒否を受け止めるのではなく、その状況から脱出させるために周囲で協力しなければなりません。

「ゴミ屋敷化した部屋を片付ける」「お風呂で身体を清潔にさせる」等の援助を行い、本人の「やる気」を引き出すことが大切です。

また上記の行動は、すべて一人で抱えることはできません。

身近な方々のセルフネグレクトと孤独死を防ぐためには、家族や地域社会におけるコミュニティの構築が何よりも重要となるのです。

 

まとめ

「近隣住民は全員顔見知りだった時代」から、「隣に誰が住んでいるかもわからない時代」へなりつつある現代。

自ら生活を放棄するセルフネグレクトは、まさに時代の変化が生みだした、新たな社会問題であるといえます。

とはいえ、セルフネグレクト状態である方を救うために周囲が行動を起こすのは、簡単なことではありません。身体面のサポートに始まり、心や精神面の治療を少しずつ行う必要があります。

また周囲が団結しても、部屋の掃除や整理などが手に負えない場合は、業者の清掃サービスを活用しましょう。

この記事が、セルフネグレクト問題に注目するきっかけになれば幸いです。

 

 

ワンズライフの家財整理サービス

 

この記事を書いた人ライタープロフィール
One's Ending編集部 関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、特殊清掃に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。

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