40代・50代からの「老前整理」でセカンドライフに備えよう

投稿者: One's Ending編集部 | 2017年5月9日

日本は世界でも類を見ない「少子高齢化社会」を迎えています。自分の死後、遺族が困らないように自分の持ち物や財産を自主的に片付けることを「生前整理」と言いますが、それより少し早い年代で行う「老前整理」に、今注目が集まっています。

これは、坂岡洋子さんという方が提唱している考え方で、家族のためではなく自分のために、今の暮らしをより良くし、老後を安全、快適に過ごすためのものです。この考え方は、今後徐々に広がっていくことが予想されます。

老前整理とは

提唱者の坂岡さんによると、「老前整理」とは、「老いる前」に、気力、体力、判断力のあるうちに行う整理のことです。

 

本人が元気なうちに身辺を片付けることを「生前整理」と呼びますが、どちらかというと家族が相続等で揉めないように財産の整理が中心で、自分の死後のことを考える整理です。

 

それに対し「老前整理」は、それまでの人生を整理し、身軽になり、その後の人生をよりよくするための、未来志向の片付けの考え方です。

老前整理のメリット

「老前整理」」のメリットを3つの点から解説します。

メリット1:頭の中が整理でき、セカンドライフに備えらえる

自分の今までの人生で蓄積したモノを整理しようとすると、想像以上に多くの時間が必要であることに気付きます。

 

その多くのモノを整理するには、ある程度記憶がはっきりしていることが大前提です。もし、定年後の60代以降で整理しようとすると、記憶があいまいになっている上に、続けて整理しようという気力もなかなか湧いてきません。

 

また、自分がこれまで蓄積してきた多くのモノと向き合い、処分をしていくことで、これからの人生で何をしたくて、何を残しておきたいのか、頭の中が整理され、より自分らしいセカンドライフに備えることができるのです。

 

メリット2:老後、安全に安心して暮らすことができる

モノを整理することで、部屋がすっきりし、家の中の移動がスムーズになります。

 

年齢を重ねていくと、モノにつまずき転倒してけがをする危険性が高くなりますが、片付けることによって移動を妨げるモノがなくなれば、安全に暮らすことができるようになります。

 

また将来的に車いすの生活になった場合でも、移動に十分なスペースがあらかじめ確保されているため、慌てる必要がなく、安心して生活を送ることができます。

 

メリット3:老後に余裕をもって過ごせる

老後に大切なことは、「きょういく」と「きょうよう」だといいます。

 

「きょういく」は「教育」ではなく、「今日行く(きょういく)用事があること」です。また、「きょうよう」は「教養」ではなく、「今日用(きょうよう)事があること」です。

 

つまり2つとも、一日中家にいることなく、積極的に外へ出て、人と接することが大事であることを表しています。仕事をリタイアしてしまうと、組織の一員でなくなるため、どうしても家にいることが多くなります。しかし、そうなると、社会とのかかわりがなくなり、ますます人と関わることが億劫になります。

 

40代、50代である程度の整理をしておけば、「片付けなければ」というストレスから解放され、定年後に時間的、精神的な余裕ができて、積極的に外へ出ようという気持ちが湧いてきますし、いつでも人を招くこともできるでしょう。

 

老前整理を実際に行った方の声

・東京都在住、30代男性
私はグループホームで暮らす高齢者の方々の介護をする仕事をしています。認知症になった高齢者の方々と毎日のように接していると、言葉の端々に何か後悔といいますか悔いのような発言や様子が見受けられるときがあります。老前整理とは直接的に結び付くものではありませんが、ふと、この人達は自宅からにここ来る前に色々なものを整理することが出来たのだろうかと思ったのです。私は自宅にあった読むことはないであろう大量の本や聴かなくなったCD等を手始めに処分しました。いつ何が自分に起こるかは誰も解りませんから徐々に片付けていこうと考えています。

 

・40代女性
老前整理を行ったきっかけとして、親友の両親が亡くなったことがあります。親友の両親は年会費のかかるクレジットカードをいくつか所有していたのですが、どれくらいの枚数を持っていたのか、またどれくらい使っていたのかも全く不明で、解約するのも手がかりがなく大変だったと言っていました。だから、自分の時も家族が困らないように、ノートに使っているものや所有しているものは残しておくべきだと思いました。

 

・奈良県在住、30代女性
私が老前整理を行ったきっかけは、ある終活セミナーに参加したことでした。終活とはお年寄りだけのものではなく、すべての年代の人が人生の終わりを見つめて今を生き生き生きるためにあると習い、老前整理をしようと決意しました。本当は還暦すぎた母にこそしてほしかったのですが、まずは自分がすることで、老前整理の良さをアピールしようとしました。まずはエンディングノートを書き自分の理想の老いや価値観について知りました。それに基づき、幼児期から学生時代の名簿や思い出の品をはじめ服や本も本命以外は次々と断捨離。家具も最低限にして広い空間を手に入れました。これを見た母も興味が出たようです。

 

・大阪府在住、女性
子供達も成人し第2の人生のスタートとして老前整理をしようとおもいました。とりあえず持ち物の見直しです。これからの人生で何が必要か何を大切にしていくかをもとに整理をしました。その結果毎日の生活がとても楽になりました。迷いも少なくなり思い立ったらすぐに旅にでも出られそうな気分です。さらに墓じまいもしました。永代供養にしてもらうようにも伝えています。将来必ず誰にでも訪れる事柄をスムーズにおこなえるようにしておく事は今の生活を精神的にゆっくりできる気がします。

 

・鹿児島県在住、50代女性
私が老前整理を行った理由は、まだ自分が動けるうちに、部屋の掃除をして足や腰が悪くなり動けなくなる前に、整理をして老後に備えたいと思ったからです。私は結構昔から物を溜め込むタイプでしたので、最初はいる物、いらない物を分けて、いらない物は捨てました。まだ使えそうなものは、仲の良い友人に譲ったりもしました。そのため自分ができることはして子ども達に迷惑のかからないようにしておきました。

 

老前整理の方法

「老前整理」に多くのメリットがあることをご理解いただいたと思います。

 

それでは、具体的な方法とは、どのような手順で行えばいいのいでしょうか。

 

巷には、多くの整理片付けのノウハウ本が溢れています。それらを読んでみたり、セミナーを受講したりして、ご自分に合う方法を見つけてみてもよいでしょう。

ここでは、一つの方法をご紹介します。

 

1.「使うモノ」と「使わないモノ」に分ける

第一段階として、あらゆるモノを「使うモノ」と「使わないモノ」とに区別するところから始まります。

 

自分が現在所有している全てのモノについて、「現在も今後も使用するモノ」と「現在も今後も使用する予定がないモノ」とに分けます。

 

ここで、現在使用していないモノで、「いつか使用するかもしれないモノ」をどのように判断するかという問題が出てきます。

 

「いつか」がはっきりとした期日であれば、そのまま残しておいても構いませんが、「いつかそのうち」であれば、思い切って「使わないモノ」に入れる勇気が必要です。

 

ここで大事なポイントは「使える」と「使う」は違うということです。モノ主体ではなく、自分主体で考えてみましょう。

 

2.「使わないモノ」を「処分するモノ」と「残すモノ」に分ける

「使うモノ」と「使わないモノ」とに区別した後は、「使わないモノ」に分類されたモノをさらに整理し、「処分するモノ」と「残すモノ」に分けます。

 

この段階での「残すモノ」は、当分の間使う予定はないが、数年の間に極めて使う可能性があるモノという考え方です。

 

それ以外のモノは、現在使っていない、しかも数年後にも使うか可能性が低いモノということになります。これが「処分するモノ」に該当するのです。

 

「数年後にも使うか可能性が低い」と説明しましたが、「使うかもしれない」はここに該当します。「かもしれない」ということは、「可能性が低い」ということになるからです。

 

ここで、「処分するモノ」にするか「残すモノ」にするかで迷った場合には、「保留BOX」を作ってその中に入れておきます。その際にその箱に「○月○日チェック、○○入」と記入し、考え直す日付と何が入っているかを明記しておきます。

 

記入した日付になったら、「保留BOX」から保留されたモノを取り出して、再度「処分するモノ」と「残すモノ」に分けます。このときには、再度「保留BOX」を設けず、どちらかに分類するようにします。

 

3.「処分するモノ」を処分する

最後の段階は、「処分するモノ」に該当したモノを実際になくす作業です。

 

本や古着等、転売できるものはまとめて買い取ってもらいましょう。大量にある場合は、出張して買い取ってくれる場合がありますので、そのようなお店を探して利用すれば、最小限の労力で済みます。

 

地域のバザーに出すという方法もありますね。

また、再利用ができなそうな可燃物のモノは、ゴミ袋にまとめて、捨てるようにします。

 

家電、家具等は、各自治体によって処分方法が違ってきますので、市区町村役場のルールに従って処分するようにしましょう。

 

なお、処分のコツとしては、できるだけ大きいものから処分していくことです。大きいモノから片付いていくと、空きのスペースが目立つようになり、気分的にもスッキリして、「老前整理」をしている実感が湧いてくるからです。

 

老前整理を成功させる3つのポイント

 

少しずつ時間をかけて

「老前整理」は、自主的に行うことなので、特に締め切りはありません。

ですから、慌てずに、自分の生活のペースに合わせて行っていきましょう。

 

あまり最初から完璧を目指そうと張り切ってやると、息切れしてしまい、続かない恐れがあります。一日15分ずつ、とか、今日はこの引き出し、明日はこの棚、というように、時間をかけて少しずつ行うようにします。

 

ただ締め切りがないと、ついつい後回しにしたり、続かなかったりしてしまうものです。そうならないために、大まかなスケジュールを立ててみてもいいでしょう。

 

モノに対する意識を変える

モノがあふれているということは、今まで使っていなかったモノでも捨てなかったということを意味します。何故捨てなかったかというと、「そのうち使うかもしれない」という意識があったからです。

 

まずその意識を変えないと、「老前整理」は上手くいきません。

 

モノを捨てても『思い出』が消えるわけではないのです。どうしても思い出があるものは、写真に撮ってから処分するという方法もあります。

 

また「もったいない」と捨てないでいても、仕舞い込んで使われずにスペースだけとっていることのほうがもったいないのです。

 

「老前整理の方法」でもご説明したように、処分に迷ったモノは、「保留BOX」に一定期間入れて、後で処分するか否かの結論を出すようにします。ただ、「保留BOX」に入れたということは、それほど必要性を感じていないということになりますから、捨ててもそれほど困ることはないモノです。

 

どうして捨てたくないのかを考え、理由があいまいなものは思い切って処分すると、意外とすっきりした気持ちになるかもしれません。

 

また、「残す」と決めたものは、積極的に使いましょう。来客用の高級食器や高価なアクセサリーなども日常的に使って積極的に暮らしの質を高めることを提唱者の坂岡さんも提案しています。

 

リバウンドを防ぐ

「老前整理」を行った後も大切です。せっかく整理しても、数年経ったら不要なモノが増えていたのでは、本末転倒ですね。

 

片付け以上に、すっきり片付いた状態を維持していくのは困難なことです。先ほど申し上げた「意識を変える」が定着していないと、同じことの繰り返しになってしまいます。一度やって終わりではなく、定期的に見直して整理していくことも大切です。

 

収納はモノ7~8分目くらいを目指しましょう。100%詰め込んでしまうと、どこに何がどれくらいあるのか把握できず、結果的に同じものをいくつも買ってしまうことになってしまいます。

 

また、モノを購入する際には、本当に必要なモノか、今あるモノで代用できないか等を考えてみましょう。老前整理を行ったあとであれば、価格に見合ったものなのか、本当に使うものなのか、モノを見極める目も養われていることでしょう。

 

まとめ

「老前整理」とは、単に「不要なモノを処分する」ことではなく、自分が現在所有しているモノを把握し、向き合い、整理し、これからの人生をどう生きたいのかを考える、未来志向の片付けの考え方です。

 

自分のこれまでの人生、ため込んだ大量のモノと向き合うことは簡単なことではありませんが、終わったあとには心も体も軽く、すっきりした気持ちになることは間違いありません。

 

残りの人生をより有意義に快適に過ごすため、今から少しずつできることを始めてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人ライタープロフィール
One's Ending編集部 関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、特殊清掃に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。

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