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2021.07.19

相続で揉めてしまったときに役立つ遺産分割調停の流れ

「まさか自分たちが相続で揉めるなんて……」と、親の死後兄弟との話し合いでショックを受ける方は多くいらっしゃいます。
「仲のよい兄弟だから大丈夫」や「相続するほどたくさんの遺産がないから」と、思っていた場合でも、遺産相続のトラブルは起きるものです。
揉めてしまったときは気持ちを落ち着けて、早めに遺産分割調停を検討してみましょう。
この記事では、遺産分散調停の申立てで準備するものや進め方について詳しく解説していきます。

遺産相続におけるトラブルの原因

遺産相続のトラブルは、資産の大きさや家族環境の複雑さなどに関係なく、多くの家族で起こる問題です。
令和元年度の裁判所の統計によると、容認された遺産分割事件の総数は7224件でした。
そのうちの2448件、およそ3割強は、資産価値1000万円以下の遺産によるものです。(※)
つまり、遺産が1000万円以下だったとしても遺産相続トラブルは起きうると言えます。
遺産相続に関するトラブルは、どういったときに起こりやすいのかを説明します。

 

遺産相続トラブルとは複数いる相続人が遺産分割に関して合意できていない状態

遺産相続トラブルとは、複数いる相続人が遺産分割に関して合意できていない状態のことを指します。
故人が亡くなったあと、遺言書がなければ遺産は相続人に分けられるのが一般的です。
法定相続をできればよいのですが、すべてを均等に分割できる訳ではありません。
どのように遺産を相続するかについて、相続人全員で遺産分割協議を行って決めていきます。
話し合いをしてもまとまらなかったり、相続人のうち1人でも合意できなかったりする場合には、遺産分割調停の申立てを家庭裁判所で行うのがおすすめです。

 

どういった場合に遺産相続トラブルが起きるのか?

次の4つのいずれかに当てはまるケースでは、遺産相続トラブルが起きやすい傾向にあります。

・遺産の内容がはっきりしない(遺産の一部が隠されているのではと疑っている相続人がいる)
・不動産など簡単に分割できない資産が占める割合が高い
・相続人のなかに子ども以外の方や連絡の取れない方がいる
・介護や生前贈与など、被相続人との生前の関係性に濃淡がある

 

※出典:裁判所「52  遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)  遺産の内容別遺産の価額別  全家庭裁判所

遺産分割調停を申し立てる方法

遺産相続について相続人全員の合意が得られない場合は、遺産分割調停を検討しましょう。
遺産分割調停の申立ては次の手順で進めます。

 

遺産分割調停の申立てにかかる費用

遺産分割調停はお金がかかるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、遺産分割調停の申立てにかかる費用は被相続人1人につき1,200円です。
1,200円分の収入印紙と連絡用の郵便切手を購入すれば、家庭裁判所で手続きができます。
申し立てを行えるのは、申立人以外の相続人の住所を管轄する家庭裁判所です。

 

遺産分割調停を申し立て手続きに必要な書類

遺産分割調停を申し立てるときに提出しなければならない書類があります。
すべてを準備して家庭裁判所に持参しましょう。

 

・遺産分割調停の申立書1通(裁判所分)と相続人の人数分コピーしたもの(相続人分)
・遺産目録
・家系図など被相続人と相続人との関係がわかるもの
・被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
・相続人全員の住民票や戸籍附票
・遺産に関する資料(預貯金通常の写しや残高証明・不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書・有価証券の写しなど)

 

知っておきたい遺産分割調停の流れ

申立てをしたあとは、家庭裁判所の指示に従って遺産分割調停が進められます。
裁判所からの連絡を待ちましょう。

 

遺産分割調停申立て後に行われること

家庭裁判所で遺産分割調停の申し立てを行うと、弁護士などで構成される調停委員と調停官が決まります。
そして後日、相続人全員に調停期日を知らせる「呼出状」が届きます。
相続人は全員同じ日に家庭裁判所に出向く必要があります。

 

調停の進め方と成立までの期間

相続人は呼出状で指定された日時に家庭裁判所に出向くと、それぞれが別室で待機することになります。
相続人同士で顔を合わせることはほぼありません。
調停委員は、申立人と相手側を交互に呼び出して話を聞いていきます。
申立人の提案は、調停委員を介して相手にも伝えられ、相手の主張も調停委員経由で聞くことになるのです。
調停員を介した話し合いが続き、1回の調停で2~3時間ほど裁判所に滞在する必要があります。

 

遺産分割に関して1度だけの調停で解決することはほとんどありません。
およそ1ヶ月に1度のペースで家庭裁判所に出向き、約半年~1年以上かけて調停が成立します。
しかしながら、いくら調停をしてもまとまらない場合には、不成立として終了することもあるのです。
不成立になった場合には、遺産分割審判に移行し、裁判官に遺産分割の方法を決めてもらいます。

 

遺産分割調停のメリット・デメリット

遺産分割調停を行う前に、メリットやデメリットを知っておくことは大切です。
遺産分割調停を行うメリットやデメリットをそれぞれ紹介します。

 

遺産分割調停を行うメリット

遺産分割調停を行う大きなメリットは、相続人全員が納得できる結論を出せることです。
調停員に間に入ってもらうことで、感情論にならずに自分たちの主張や提案を冷静に伝えることができます。
その結果、多くの場合は相続人の合意を得られて相続の手続きが完了するのです。
また、遺産分割調停にかかる費用が安いこともメリットと言えるでしょう。
裁判所に支払う1,200円と切手代のみで調停をしてもらえるのは助かりますね。

 

遺産分割調停を行うデメリット

遺産分割調停にはデメリットとして、手間暇がかかることが挙げられるでしょう。

 

まず、申立ての際に被相続人や相続人の戸籍謄本や住民票をもらうのが大変です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要なので、結婚などで本籍地を変更している場合にはいくつもの市町村に依頼して取り寄せる必要があります。
兄弟の住民票や戸籍附票を勝手に取得することができないので、ほかの相続人に協力してもらうか、取得が必要な理由を表した資料を添付しなければなりません。

 

また、遺産分割調停が成立するまでは1ヶ月に1度必ず裁判所に行き、半日ほど滞在する必要があります。
相続人が遠方に住んでいる場合には、毎回の交通費だけでもかなりの不安になるでしょう。

 

自分で手続きや調停などをできない場合には、弁護士を雇えばサポートしてもらえますが、それなりの費用が必要です。

 

遺産分割調停を行うときでも相続税の申告は必要!

遺産分割調停を行う際でも、忘れてはいけないのが相続税の申告です。
相続税の申告は、被相続人が亡くなったと知った日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
期限を守れなかった場合は、追徴課税の対象となります。

 

期限内に遺産分割調停が完了しなかった場合には、法定相続分で分割すると仮定して「分割見込書」を提出して納税しましょう。
遺産分割が成立したら4ヶ月以内に修正申告します。

 

まとめ

相続で揉めてしまったときに役立つ、遺産分割調停について解説してきました。
遺産分割調停は調停委員が間に入って相続人それぞれの主張や提案を聞き、相続人全員の合意を導いてくれます。
遺産相続トラブルが起こってしまったときは、そのままにせずに遺産分割調停を検討してみましょう。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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