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2019.03.12 (2021.01.28 One's Ending編集部 加筆)

賃貸物件が事故物件に?大家さんが知っておきたいクリーニング方法とは

事故物件とは、事件や事故、自殺、病気など、何らかの事情により、敷地内で入居者が死亡した物件のことを指します。
最近は独居生活の高齢者が増えたため、を賃貸に出しているマンションやアパートが、孤独死や孤立死によって事故物件になってしまうケースが見られるようになりました。このように、不幸にして人が亡くなってしまった部屋を原状回復するには、どんな方法があるのでしょうか?
今回の記事では、事故物件の定義や状況、クリーニング方法についてご紹介します。

事故物件とは

事故物件は、過去に自殺や殺人などの死亡事故があったマンションやアパートの部屋、土地や家屋といった不動産を指すのが一般的ですが、法律での明確な定義はありません。

亡くなった部屋=事故物件と思われることが多いですが、家族と暮らしている高齢者が突然亡くなり、すぐに発見された場合は自然死であり、事故物件と認定されることは稀です。

不動産会社がそれぞれのケースの情報や一般的に抱くマイナス感情と照らし合わせながら、事故物件かどうか判断しているのが現状です。

ひとり暮らしの高齢者が、マンションやアパートなど、発見が遅れて死後数日経過した状態の部屋は、事故物件と呼ばれる確率が高くなります。

 

賃貸に出している部屋が事故物件になってしまう可能性も

日本は、世界に先駆けて超高齢化社会を迎えました。

子と同居している世帯は減り、高齢者の単身世帯が年々急増しています。

東京都監察医務院が公表している情報によると、東京23区内におけるひとり暮らしかつ65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成25(2013)年に2,733人となり、10年間で2倍近く増えていると報告されています。

国は地域共生を推進し、地域が高齢者を支えることを求めていますが、人とのかかわりを求めない高齢者や、孤立死や孤独死で人知れず亡くなる人も多いため、社会問題となっています。

 

不動産を所有している人は、マンションやアパートを賃貸に出し、家賃収入を得ていることも多いでしょう。

もし所有している部屋で入居者が死亡してしまうと、状態によっては特殊清掃やハウスクリーニングが必要です。

その後再びその部屋を賃貸に出そうとすると、家賃を安くしないといけなかったり、売るにしても中古物件としての資産価値が下がったりと、オーナーにとって大きなデメリットとなってしまいます。

 

そういったリスクを下げようと、高齢者との契約を断る人もいるかもしれません。

しかし、近年は急速に高齢化が進んでいるため、今後も賃貸を探している高齢単身者の人数は増えていくでしょう。

日本の社会背景からもわかる通り、マンションやアパートを賃貸に出していれば、突然入居者が部屋の中で亡くなり、事故物件になってしまう可能性もあるのです。

 

事故物件には「告知義務」が発生するのが一般的

事故物件となった部屋をその後賃貸に出したり売買したりする場合は、宅地建物取引業法によって、契約書やサイトの掲載ページに「瑕疵(かし)担保責任」が明記され、告知義務が発生します。

簡単にいうと「敷地内や部屋の中で死亡事故があったという情報を、正しくお知らせしないといけない」ということです。

そして、次にその事故物件を買う人や借りる人に対して告知を行わなかった場合は、貸主に対してペナルティが課せられるのです。

 

事故物件の定義となる「瑕疵」にはいくつかの種類があり、その中でも「物理的瑕疵物件」や「法律的瑕疵物件」などは、法律で告知義務が定められています。

しかし、敷地内での殺人事件や自殺、入居者の孤独死といった「心理的瑕疵物件」については、法律で具体的な決まりがなく、過去の判例やガイドラインを参考にしながら、借りる人や買う人に対して告知が必要か考えるのが一般的です。

以下に、事故物件の瑕疵の種類と内容をご紹介します。

 

〈事故物件の「瑕疵」の種類〉

・物理的瑕疵……雨漏りやシロアリ被害、排水管の破損、土壌汚染など、土地や建物に欠陥がある物件のことをいいます 

・法律的瑕疵……建築基準法やと都市計画法など、法律によって土地や建物の利用が制限される物件のことをいいます 

・心理的瑕疵……殺人事件、自殺、孤独死で遺体の発見が遅れたなど、対象の土地や建物で嫌悪感を抱くような事象があった物件のことをいいます

 

たとえば、その物件で前の入居者が自殺したことを告知されずに入居した人がいたとします。

この場合は「心理的瑕疵」に該当しますが、入居者がその情報をあとで知り「事前にわかっていれば借りることはなかった」と主張した場合、どうなるのでしょうか?

 

このケースでは、過去の判例に従って、貸主が損害賠償を請求される可能性があります。

たとえ心理的瑕疵は法律で告知義務が定められていなくても、このように罰則が科されることがあるので、注意が必要です。

 

【関連記事】事故物件を抱えたときに知っておきたい、定義や告知義務とは

 

事故物件のクリーニング方法

室内清掃

床に血液や体液が染み込んでいるときは、畳やフローリングを剥がし、特殊な薬品を使って除去します。

血液や体液、腐敗物からウィルス感染することも多いため、次の入居者はもちろん、近隣住民や特殊清掃士自身も感染しないよう、細心の注意が必要です。

 

異臭除去

発見までに時間が経過した遺体は強烈な臭いを放つため、窓を開けて作業を行うと、屋外に臭いが拡散して、近隣住民に迷惑がかかってしまいます。

そのため、事故物件のクリーニングを行う際は、窓を開けずに作業を進めるのが一般的です。

オゾン発生装置やサーキュレーターなどの特殊な機材を使用し、異臭を除去します。

 

害虫駆除

遺体にハエやウジなどの害虫は発生しているときは、殺虫剤を使って駆除していきます。

害虫は病原菌などを媒介するうえ、大量に発生すると、近隣の衛生状況を悪化させる原因となるため注意が必要です。

 

遺品整理

入居者が突然亡くなってしまった場合は、部屋の中に生活用品がそのまま残されています。

部屋を元通りに戻すためには、クリーニングだけでなく、遺品整理も行わないといけません。

まず、体液や血液が染み込んでいる家財は、売却やリサイクルが難しいため廃棄します。

遺産となる貴重品や故人の思い出の品は、遺族が引き取るのが一般的です。

 

遺族が相続放棄を検討しているときは?

ちなみに、遺品整理の際に、大家さんが遺族から「相続放棄を検討している」と言われてしまったときはどうなるのでしょうか?

通常、相続放棄をすると、故人の財産や持ち物を一切放棄することになるため、遺族に遺品整理や遺品の引き取りを依頼することができません。

しかし、部屋をそのままの状態にしておくと、遺品に染みついた死臭や害虫による被害が広がる可能性もあります。

 

この場合、特殊な事情で亡くなったケースに当てはまれば、遺品整理をしても構わないとされています。

必要な清掃を行ったり市場価値のないものを処分したりしても、相続放棄には影響しないとされているため、大家さんも遺族も安心です。

なお、特殊な事情に当てはまる具体的な事例とは、孤独死や自殺で亡くなってしまったときや、臭いや害虫で近隣からクレームが来ている場合などが挙げられます。

 

所有物件で死亡事故があって、遺族が相続放棄をしている旨の連絡を受けた際は、遺族にきちんと説明をして、早急に清掃や消臭作業を行うことが大切です。

 

リフォーム

目に見える汚れがなくなっても、臭いが残ったり、血液や体液が完全に除去できなかったりして原状回復が難しいときは、部屋のリフォームが必要です。

トイレ、浴槽の入れ替えや、壁紙の貼り換えなど、状況に応じて設備を交換していきます。

 

事故物件は必ず特殊清掃が必要?

では、所有しているマンションやアパートが事故物件になってしまった場合、必ずクリーニングや特殊清掃が必要なのでしょうか?

ここでは、事故物件で特殊清掃が必要なケースと、そうでないケースについてご紹介します。

 

事故物件で特殊清掃が必要なケース

事故物件の中でも特殊清掃が必要となるのは、事件や事故によって入居者が亡くなり、発見が遅れたケースです。

発見が遅れた場合、遺体の腐食は激しくなり、異臭が立ち込めたり、ハエなどの虫が大量に発生したりします。

床に人型が付くほど血液が染みついた、部屋全体に異臭がするといったという場合は、通常のハウスクリーニングでは原状回復が難しいため、専門の会社に問合せて、特殊清掃を行った方が安心です。

 

部屋の状態によっては特殊清掃が不要なケースも

遺体の腐敗が進んでおらず、ほとんど異臭もしない状態であれば、特殊清掃が不要なこともあります。

たとえば、本人と連絡が取れないことを不審に思った知人や親族が通報して、亡くなってから数時間後に発見されれば、特殊清掃は必要ない可能性が高いでしょう。

 

血液や体液も染み込む前であれば大掛かりなリフォームも不要な可能性があるため、こういったケースでは、遺品整理とハウスクリーニングで原状回復が完了するかもしれません。

「入居者が亡くなった」という情報を聞いたオーナーは慌ててしまいがちですが、事故物件だからといって必ずしも特殊清掃が必要というわけではないため、警察や不動産会社に現場の状況を確認して、落ち着いて対応することが大切です。

 

まとめ

厚生労働省の情報によると、日本の全世帯の約20%が高齢者の単身世帯と報告されています。

今後も賃貸物件を探している高齢者単身の数は多くなることが予想されるため、孤独死や孤立死による事故物件の数も準じて増えていくことでしょう。
不動産のオーナーをしていると、自分が賃貸に出しているマンションやアパートで孤立死や孤独死が起こって、事故物件になる可能性もあります。

いざというときに慌てることがないよう、どんな時に特殊清掃が必要となるのかということや、具体的なクリーニング方法について確認しておき、知識を持っておきましょう。

 

通常は、入居者の住んでいた部屋の片付けは、遺族や連帯保証人が行うことになっています。

しかし、連帯保証人と連絡が取れなかったり、探しても故人に身寄りがいなかったりといった理由で、管理会社や大家さんが、原状回復や家財の片付けをせざるを得ないケースも発生しています。

「特殊清掃が不要であれば自分で片付けよう」と大家さん自らが整理を行うこともありますが、貴重品の取り扱いや、仏壇や位牌といった供養が必要な遺品の処分など、遺品整理は、専門家でなければ難しい部分もあります。

 

遺品整理のワンズライフでは、ご遺族の方だけでなく、不動産経営をしている方からの遺品整理のご依頼も承っております。

また、ワンズライフでは、弁護士や司法書士といった専門家とも提携しています。

遺品整理後に行う手続きの相談に応じることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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