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2020.11.30

生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート3

生前整理とは、生きているうちに財産関係を整理する活動をいいます。
ご本人が高齢であったり、介護施設へ入居する予定があったりして一人で片付けられないときは家族のサポートが必要です。
しかし、家の中の荷物をすべて整理するのは想像以上の時間と手間、労力がかかるうえ、空き家の売却や相続手続きなど、自分たちではやり方がわからないことも多いでしょう。

このようなときに頼りになるのが、家財道具の処分や整理整頓、清掃、各種手続きをサポートしてくれる「家財整理の専門会社」です。
パート3では、家財整理の専門会社が本人や家族のために行う生前整理について詳しくご紹介します。

パート1、パート2のまとめ

はじめに、パート1とパート2の内容を簡単にご紹介します。

パート1のまとめ~生前整理の大きな分野①財産関係の整理~

本来、生前整理とは、 “本人が家族のために”財産関係を整理する作業を指します。

目的は、家族間の相続トラブルを避けるためです。ただ、生前整理を行うにあたって親子関係のトラブルが起きてしまうケースが多い。

 

・子ども側……「親が元気なうちにやらないと」と、本人の気持ちを無視して進めようとすることで親と喧嘩になってしまう

・親側……「生前整理をしないと」という気持ちはあるが、やり方や何から手を付けていいかがわからない。さらに、高齢の親には生前整理という作業自体気が重く、結局先延ばしになってしまう

 

親子がストレスなく財産整理を進めるには?

① 親子が「生前整理とは何か」について共通認識を持つこと

→生前整理は「本人が家族や親族のために行う“財産関係の整理”」と「本人が自分のために行う“生活空間の整理”」の大きな2つの分野に分かれる

 

② 生前整理の当事者は「親」であることを家族は理解する
→子どもや家族はサポート役として本人を見守る姿勢が重要

 

③ 子どもは、親の気持ちに寄り添うことが大切
→焦る気持ちから責めるような言葉を掛けてしてしまうと喧嘩の原因に。親が前向きな気持ちになれるポジティブな言葉がけを心がける。

 

④ 財産整理を始めるタイミングは本人に任せる
→これまで築いてきた財産など身辺を整理する作業は、その人の価値観にも大きな影響を与える。そのため、周囲が無理にさせるのではなく、本人が「やろう」と決心がつくタイミングで始めることが大切。

 

【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート1

 

パート2のまとめ~生前整理の大きな分野②生活空間の整理~

生前整理のもうひとつの大きな分野である「生活空間の整理」は、“本人が自分のために”行う活動です。生活空間の整理はさらに2つのパターンに分けることができます。

 

① 本人が持病などもなく元気で、引き続きその家に住み続ける場合……今の暮らしをより良くすることを目的に、断捨離やミニマリストなどの考え方を参考にしながら生活空間をシンプルにする。

 

② 持病が悪化して入院する、老人ホームに入居するなどで今後その家住まない場合……家族の遺品整理の負担の減らすことを目的に、財産を含め、身辺整理を行う。

 

生活空間の整理をストレスなく進めるには?

① 「財産関係の整理」と「生活空間の整理」は別に考えること……ご自身の状況に応じて、今の生活を快適にする「断捨離」か、死後を想定して行う「財産を含めた身辺整理」が必要なのか考えて取り組む。

 

② 自分のペースでゆっくりと行う……家の中の物の整理は1日、2日で終わる作業ではないため、ご自身で行う場合は無理をしないことが大切。「一度に完璧にやろう」とは考えない

 

【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート2

 

生前整理を依頼できる「家財整理の専門業者」とは?

「家財整理」とは、生前整理・遺品整理・空き家整理の3つの作業を総称した言葉で、家の中の家財道具を整理、片付けることを意味します。

 

・生前整理……存命中に本人が財産関係を整理すること
・遺品整理……亡くなった方の遺品を遺族が整理すること
・空き家整理……空き家となった家に残った荷物を整理すること

 

家財整理の主な作業内容には、家財道具の処分、不要品の売却、お部屋の清掃がありますが、これらの作業を本人や家族のために代行してくれるのが「家財整理専門会社」です。

高齢化や核家族化が進む日本では、家財整理の需要が年々高まっており、それに伴って家財整理サービスを扱う会社も増え続けています。

 

生前整理で整理業者を利用するのはどんな時?

生前整理は言葉の定義が広いため「どんな時にプロに依頼すればいいのだろう?」悩む方もいるかもしれません。

家財整理専門会社に頼むか迷ったときは、ご自身が行う片付けの目的から必要性を考えてみましょう。

 

目的……家族が遺品整理や相続で困らないよう、財産や家財道具を整理しておきたい
→「生前整理」に当てはまる

 

目的……今後もその家に住み続ける予定で、要らない物を減らして生活を快適にしたい
→終活の一環である「断捨離」に当てはまる

 

家財整理の専門会社である「株式会社ワンズライフ」の上野貴子代表によると「同社が扱ってきた生前整理(家財整理)のうち、依頼者ご本人が引き続き住む住居の片付け案件の割合は、全体の1割にも満たない」と言います。

 

生前整理に伴う家財の片付けをプロの会社に依頼する場合は、親が老人ホームや介護施設へ入居して実家が空き家になっているため、日用品や貴重品を含めた家財すべての整理を行うケースがほとんどです。

そのため、ご自身の行う片付けの目的が「生前整理」に当てはまる場合は、プロの家財整理専門会社に依頼するのも良いでしょう。

 

しかし、ご自身がまだその家に引き続き住む予定で、目的が「断捨離」に当てはまるのであれば、プロに依頼するというよりは、家族と一緒に少しずつ片付けを進めたり、家財整理会社ではなく、要らないものを引き取ってくれる“不用品回収会社(リサイクル業者)”に依頼したりする方が良いかもしれません。

 

「生前整理」と「断捨離」の違いについては、ワンズエンディングのこちらの記事でもご紹介しています。

 

【関連記事】生前整理でやることとは?リストを使った進め方のポイント

 

整理業者のサービス内容とは?どんなことを依頼できる?

生前整理をプロに依頼するか検討されている方の中には「何をどこまでやってくれるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?

ここでは、家財整理専門会社で依頼できるサービス内容の一例をご紹介します。

 

なお、企業によって提供するサービスは異なるため、こちらで解説するサービス内容はあくまでも“一例”です。

実際に依頼したい会社が見つかった際は、その会社のサイトで確認するか、実際に問い合わせて聞いてみることをおすすめします。

 

サービス内容①家財の仕分け

単なる不用品の回収と家財整理サービスの大きな違いが「家財の仕分け」です。

家財整理専門会社は、家の中の家財をすべて捨ててしまうのではなく、親が施設に持って行ったり家族に譲ったりするために今後も残す物、もう誰も使わない不要品、処分する物など、ひとつひとつの品物を丁寧に仕分けてくれます。

 

「今後も使うかわからない」「貴重品かどうか判断がつかない」など家族が処分に迷う物があれば、スタッフに相談しながら決めていくことも可能です。

第三者の目線からアドバイスを受けられるので、家族だけで整理するときよりも仕分けがスムーズに進むというメリットがあります。

 

サービス内容②貴重品の捜索

家の中に荷物が溢れてしまっている場合、預金通帳や家の権利書などの貴重品が見つからずに困っている方もいるかもしれません。

本人にすら保管場所がわからない場合、ほかの人が探し出すことは困難を極めるでしょう。

家財整理会社は、このような貴重品を捜索するサービスも行っています。

 

中には「貴重品は誰にも見つからないように」と、家族にもわからないように隠したものの、ご本人の認知症が進んでしまい、そのまま保管場所がわからなくなってしまったケースもあるかもしれません。

整理会社のスタッフは、これまでの豊富な経験を生かして、本の間、布団・カーペットの下など、一般の人にはわからないような場所までプロ目線でくまなく探してくれます。

 

サービス内容③家財の買取・回収・処分

これまで使用していた家財で、売れそうな物があれば買い取りを依頼することも可能です。

整理会社によっては、バイクや車の買い取りを依頼できることもあります。

また、値段がつかないものでも、リサイクルや海外へのリユース、福祉施設への寄付など、家財を捨てる以外の方法を提案してくれるのも、家財整理会社ならではのメリットといえるでしょう。

仏壇や神棚なども、神社やお寺で供養してから適切な方法で処分してもらえるので安心です。

 

サービス内容④家の清掃

整理会社にもよりますが、家財を運び出した後に、家の中の掃除や庭の草木の伐採を行ってもらえることもあります。

賃貸住宅は原状回復をしてから大家さんに明け渡さないといけないため、家財の片付けだけでなく、家の掃除までしてもらえると家族の負担も大きく軽減されるでしょう。

 

なお、清掃は別途費用がかかるのか、どこまで清掃してもらえるのか(例:水回りのみお金がかかるなど)は、会社によって異なります。

お部屋の広さや掃除の必要度合いによっても料金が変わる可能性もあるため、清掃もしっかり行ってもらいたい場合は、見積り時に確認しておくことが大切です。

 

サービス内容⑤相続のサポート

弁護士や司法書士といった専門家と提携している家財整理専門会であれば、相続についてのサポートも受けられます。

不動産屋とも提携していれば、家財整理のあとにリフォームや空き家売却の相談もできるため、自分たちで専門家を探す必要もありません。

 

生前整理では、生前贈与や相続手続きなど、自分たちだけでは対応しきれないことも数多く出てくるでしょう。

親の引っ越し準備や施設の入居手続きもある中で、やり方がわからないことをひとつひとつ調べていてはいっこうに作業が進まず、家族への負担はさらに増してしまいます。

ご本人としても、家族が大変そうにしている姿を見るのは心苦しいのではないでしょうか。

 

家財整理専門会社は、家財の片付けから相続まで生前整理にかかわるさまざまな手続きサポートしてくれるため、ご本人にとっても、家族にとっても負担を軽減できるというメリットがあります。

 

生前整理を業者に依頼する際のポイント

生前整理は生きているうちに行う作業ですから、業者に頼む時点でご本人は存命です。

ただし、病気であったり認知症だったりすると、実際に家財を整理するに際して依頼するのは家族になるでしょう。

さらに、ご本人は現場に立ち会えないことが想定されます。

 

そのため、ご本人と家族の間で何を残して何を処分するか、思い出のある物はどのようにしたいか等、あらかじめ希望を細かく確認しておくことが重要です。

ここでは、生前整理をプロの会社に依頼するまでに、本人がしておきたい準備をご紹介します。

 

ポイント①財産目録の作成

所有している財産を一覧にまとめた「財産目録」を準備しておくと、整理会社のスタッフが貴重品を捜索する際に役立ちます。

また、財産目録があれば、見つからないものがあっても当日スタッフが探して保管し、家族に渡してくれるので安心です。

 

〈目録に書いておきたい内容〉
・健康保険、年金手帳の加入履歴がわかる書類
・生命保険、医療保険の証書
・土地や不動産の情報
・現金の有無、預金の情報
・宝石や貴金属の有無
・有価証券の有無
・車などの資産価値の高いものの情報

 

ポイント②必要な物、不要な物のリストの作成

整理会社に搬出してもらいたい物、残しておきたい物を選定し、リストにまとめておけば、家族が「これは捨てて良いのだろうか」と判断に迷うことがありません。

 

〈あらかじめ選定しておきたいもの〉
・もう着る予定がない服、日常で使用していない日用品や雑貨類
・不要な家具、家電、健康器具など(保証書や説明書の有無も確認)
・ゴルフセットや釣り竿など趣味で使用していたが不要な物
・処分したい古本や古雑誌
・腕時計、指輪、ネックレスなどの宝飾品(売りたい物と残したい物を分けておく)
・アルバムや写真の処分について(残しておきたい物はあらかじめ分けておく)

 

財産目録や不要品の選定方法については、ワンズエンディングのこちらの記事でもご紹介しています。

 

【関連記事】生前整理でやることとは?リストを使った進め方のポイント
【関連記事】生前整理とは?必要性はある?進め方を徹底解説

 

エンディングノートを活用するのもおすすめ

これらのリストを作成する際におすすめなのが、終活の一環である「エンディングノート」を活用した方法です。

終活という言葉が登場したのは2009年で、週刊誌の「週刊朝日」に初めて掲載されました。

 

はじめは「人生の終焉に向けての準備」というネガティブな意味合いで使われていましたが、最近は「人生の終焉を考えることを通して、自分を見つめ、今をより自分らしく生きる活動(出典『一般社団法人終活カウンセラー協会』)」と終活の考え方が変わってきています。

 

エンディングノートは、これまでの人生を振り返るだけでなく、今後のライフプランを立てることもできるため、財産目録の作成や不要な物、残しておきたい物などをピックアップする際に大いに役立つでしょう。

 

特に様式は決まっていませんので、手持ちのノートを利用することもできます。

書店でも購入できますが、最近では、遺品整理会社や葬儀社のサイトから無料でテンプレートが配布されていることもあり、そちらを利用されるのもおすすめです。

ワンズエンディングのこちらの記事では、人気のノートや書き方などを詳しくご紹介しています。

 

【関連記事】エンディングノートとは何?メリットやオススメの選び方と書き方を解説

 

あらかじめ本人と家族が終活について理解を深め、エンディングノート等を介して本人の大まかな希望を聞いておけば、いざ実家を整理するとなっても「何がどこにあるかわからない」「貴重品なのか判断できない」と家族が困ることがなく、精神的な負担は軽減されるでしょう。

また、本人も自分の希望に沿って片付けを進めてもらえるため「誤って大切な物を捨ててしまわないだろうか」と心配することもなくなります。

 

まとめ

パート1では「本人が家族のために行う財産整理」、パート2では「本人が自分のために行う生活空間の整理」、そしてパート3では「家財整理専門会社が本人と家族のために行う整理」についてご紹介してきました。

 

終活という言葉の普及とともに生前整理を始める方も増えましたが、いざ取り組んでみると「何から手を付けていいかわからない」「親と意見が合わず衝突してしまう」というお声をよく耳にします。

親子がストレスなく進めるためには、整理を始める前に親としっかり話し合うことが大切です。

“生前整理とは誰が誰のために何を行う活動なのか”、“単なる片付けがしたいのか、それとも生前整理がしたいのか”ということを、本人も含めて家族全員が理解しておきましょう。

 

生前整理は自分の死後に家族が困らないように行うものですが、本人が今後の人生を安心して生きるためのポジティブな活動でもあります。

もちろん、本人や家族だけで生前整理をできるならそれがベストなのかもしれません。

しかし、やることが多く、片付けにかかる時間やわからないことをひとつひとつ調べる手間を考えると、プロに依頼して必要なサポートを受けることも、本人や家族がストレスなく生前整理を進めるためのひとつの選択肢といえるのではないでしょうか。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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