
生前整理とは?必要性はある?進め方を徹底解説
「生前整理をするにはまだ早い。もっと歳を取ってからでも大丈夫。」と思っていませんか?生前整理は、まだ元気で体力のあるうちにやっておくのがベストです。
体力と気力が落ちてから、「時間があるときに片付けておけばよかった…。」「きちんと財産を調べておけばよかった…。」と思っても、身体は中々ついてきません。
何よりも、将来への不安が増えてしまうので、落ち着いた気分で日々を暮らしにくくなることでしょう。
今回の記事では、生前整理の必要性と進め方をくわしく解説いたします。
具体的な片付けのやり方が分からずに困っている方は、ぜひ参考にしてみて下さいね。
生前整理とは
ここ数年間で、「 生前整理 」という言葉は数多くの人々に認知されてきました。2013年には( 一般社団法人 )生前整理普及協会が設立され、たくさんの「生前整理認定指導員」という生前整理の専門家が生まれています。また現在では、生前整理を行う専門業者も存在し、「片づけのやり方がわからない」「力仕事ができない」という方々を、丁寧にサポートしています。
別の記事で解説している「老前整理」は、坂岡洋子さんが提唱した造語であり、「年を取る前に、今この瞬間をより良く生きるため、未来の自分自身に向けて片付ける」という考え方です。
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対して「生前整理」は、もちろん物の整理も含まれます。
しかし、どちらかと言えば「自分の亡き後に遺品整理や相続問題で家族が困らないように、身の周りを整理しておく」という意味合いで語られるケースが多いようです。
生前整理、老前整理、遺品整理をまとめると、以下のとおりになります。
誰が、誰のために | 内容 | |
---|---|---|
生前整理 | 本人が、家族、親族のために | 主に財産問題、相続トラブルの解消のための整理 |
老前整理 | 本人が、自分のために | 今の暮らしをよりよくするために、シンプル化する |
遺品整理 | 遺族が行う | 故人の遺品を整理する |
ただし、ここでは財産の整理だけにとどまらず、モノの整理も含めた「生きている間に行う整理」という定義で解説していきます。
なぜ必要?生前整理のメリット3つ

思い出の整理をすることは、認知症予防に繋がるとも言われています。
生前整理は、ご自身の今後の生活のためにも、また家族のためにもやっておくべきことです。ここでは生前整理の3つのメリットをご紹介いたします。
1. 相続問題、家族間トラブル回避
先述したとおり、生前整理は「残された家族が相続問題で揉めないように行うこと」という意味合いで語られることが多いです。
それゆえ、生前整理を行うと財産の整理がしやすくなり、相続財産の一覧を作成できます。
まとめた内容を利用して遺言書やエンディングノートを作成することも可能です。遺言書には、一般的に「誰に何を相続させるのか」を決めて書き残します。
どのように財産配分を考えたのか理由を残すことで、被相続人( 相続財産を残して亡くなった方のこと)の意思が明確になり、自身亡き後に起きるかもしれない相続問題での家族間トラブルを回避できるかもしれません。
また、エンディングノートは「故人の人生記録」であり、遺言書のように公的な力は発生しないためご注意ください。
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2. 家族の遺品整理の負担を減らす
たとえば、お子様たちが遠方に住んでいる状況で、あなたが配偶者と二人暮らしか、一人暮らしの場合。
あなたがお亡くなりになった後に、家族が家を片付けて必要な物を探すことになると、時間・体力・精神に大きな負担を与えてしまいます。特にお住まいが賃貸であった場合は、すぐにでも立ち退く必要があるため、遠方から来てドタバタと部屋の片づけや手続きをしなければならない状況となるでしょう。
ある程度、自分のできる範囲で生前整理をしておくことで、ご家族の負担を少し減らせるかもしれません。
3. いざという時に備えられる
「日本人の半数はがんにかかる」という厚生労働省の統計があります。さらに、団塊の世代が75歳以上となる2025年頃は、認知症患者が5人に1人を占めるともいわれています。
もしあなたががんにかかって入院したり、どこか身体を痛めたり、認知症になる等、施設に入居することになった場合は、早めに生前整理をしておくことで、本人もご家族も精神的負担が軽くなります。
また、あらかじめ対策をしておくことで、予期せぬ入院にも慌てずに済むでしょう。何より、整理整頓された環境で暮らすことは、ストレスからくる疾病怪我をするリスクも軽減できるのです。
( 参考:厚生労働省ホームページhttp://kokoro.mhlw.go.jp/stress/ )
生前整理を始めるタイミングは?

これまで説明してきた通り、体力と気力が共に充実している若いうちに行うのがおすすめです。子供の独り立ちや、家族と同居するタイミングで行うのも良いかもしれませんが、思い立ったときに始めることが最も肝心です。
当社を利用頂いているお客様は、介護施設へ入居するタイミングや長期入院する際に、ご家族が依頼されてくるケースも多いです。
けれども、しっかりと動ける間にご自身が立ち会うことで、本来の持ち主の意思がきちんと反映され、良い結果につながるでしょう。
そのためにも、なるべく元気なうちに生前整理を考えることをおすすめします。
生前整理のやり方
ここからは、具体的な生前整理のやり方について、アドバイスをしていきます。
財産の目録を作る
先ずは必要な物を処分してしまわないように、財産目録の作成から始めましょう。集めたものは、大きめの箱を作っておき、そこにまとめておきましょう。絵画、壺などの骨董品など大きなものは、保管する部屋を決めて誰にでもわかるようにしておきましょう。

長年使っていない物を処分する
本や雑誌で、まだ価値の高いもの( 小説・単行本・学術書等 )は、古本屋で売却するとお小遣いになります。
今流行りのフリマアプリ「メルカリ」などに登録して、個人で出品するのもよいでしょう。
登録費用は無料なのでかかりませんし、収入を得ながら不用品を処分できるメリットがあります。
また、サイズの小さな売れる貴金属、もう使わない釣り竿なども、子供たちへの分のみを残して同様に処分しましょう。
「アプリは無理」「パソコンは苦手」などと言わずに、新しいことに挑戦するのも大切です。
認知症予防にもつながりますし、脳トレーニングにも有効的と言えるでしょう。。 家族構成が変化したことにより、箪笥やベッドなどの大型家具が必要なくなった場合には、まだ状態の良いものを分別し、リサイクルショップで買い取ってもらいます。状態の悪いものは、自治体のルールに従って処分しましょう。「今持っているものには価値がない」と勝手に判断して捨てることは、ご家族が損をする場合もあるため、一度リサイクルショップに相談するのがおすすめです。品物の状態によっては、想像以上の高価格で買い取ってもらえるケースもあります。

処分に迷うものは?
- 昔の写真や動画をバラバラに保存している場合は、年代ごとにまとめて整理しておきましょう。先祖代々のこれまで生きてきた記録は、子孫にとっても大切な宝物になります。
- 亡くなった旦那様や奥様の洋服は捨てにくいものでしょう。悩む場合は、特に思い出が深い何着かを残しておき、不要な衣類だけ処分する方法をおすすめします。それでも後ろ髪を引かれるという方は、写真やビデオに残しておく方法がおすすめです。名残惜しい思い出の品をコンパクトに片づけられます。
- 亡くなった方の思い出が詰まった時計や貴金属も同様です。思い入れの深いものだけを残して処分しましょう。
生前整理の代行業者の選び方

近年、生前整理を請け負う会社が増えつつあります。一人でコツコツ行うことも可能ですが「引っ越しで急に整理が必要になった」「不用品の処分方法がわからない」「高齢なので重いものが持てないし、誰も頼れる人がいない」などの場合は、専門の業者に依頼するとよいでしょう。物の分別だけではなく、清掃作業まで対応してくれる業者もいます。
生前整理を依頼するときには、豊富な経験と知識を持った会社に頼むべきです。わかりやすい指標として、生前整理や遺品整理に関する資格保有者の有無があります。
また、一般社団法人「生前整理普及協会」が、行政機関や福祉施設などの依頼を受けて、生前整理のお手伝いをする「認定作業士」の育成も行っています。具体的には、生前整理アドバイザー・生前整理認定作業士・生前整理診断士などです。
遺品整理士や終活カウンセラーなども同じカテゴリーの資格に分類されます。上記のような資格保有者が在籍する会社は、仕事に対して強い責任感があり、勉強し知識を得ようとする意識も高く、整理を任せて安心できる企業だと言えるでしょう。
まとめ
生前整理には、いつまでにしなければならないという期限はありません。
自分のペースでゆっくりと少しずつ始めて見てはいかがでしょうか?
「無駄なものが減ったので空けることができた部屋を客室にする」「新しく趣味の部屋を作る」「定年後に始める何かしらの事務所にする」など、事前に目標を考えておくとやる気が出ます。 無理のない目標だけを立てておき、予定通りいかなければその都度修正すればよいでしょう。
「どうしてもうまく片付けられない」「終活関連の作業をまとめて終わらせたい」など、何かお困りの場合には、信頼できる経験豊富な業者に相談しましょう。
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