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2020.11.24

生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート2

終活の一環として広く世間に広まった「生前整理」ですが、いざ物の片付けを始めようと思ったもののなかなか進まず、挫折してしまうという方も多いようです。

生前整理をストレスなく行うには、どうすれば良いのでしょうか?



今回は、生前整理のもうひとつの大きな分野である「生活空間の整理」についての基本的な考え方と、具体的な進め方についてご紹介します。

 

パート1のまとめ

本来、生前整理とは、生きているうちに本人が“財産関係の整理”を行う活動を指します。

目的は、自分が亡き後に家族や親族が相続をめぐってトラブルになるのを避けるためです。

しかし「終活」という言葉が世間で広まって以来「生前整理」という言葉が一人歩きしてしまい、親子で意見が衝突し、関係が悪化してしまうケースは少なくありません。

 

〈原因は?〉
・子ども側……「親が元気なうちにやらないと」と焦り、本人の都合や心情に寄り添わずに進めようとすることで、親と喧嘩になってしまう

・親側……「元気なうちにやっておかねば」「今すぐしないと」という気持ちはあるものの、そもそも生前整理とは具体的に何をすればいいかわからない。さらに、体力が衰えてきた高齢の親に生前整理は気が重く、結果、手を付けずそのままになってしまう。

 

〈解決策は?〉
① 親子が「生前整理とは何か」について共通認識を持つこと
→生前整理は「本人が家族や親族のために行う“財産関係の整理”」と「本人が自分のために行う“生活空間の整理”」の大きな2つの分野に分かれる

② 財産整理の当事者は「親」であり、子どもや家族はサポート役として見守る姿勢が重要
③ 子どもは親の気持ちに寄り添い、財産整理を始めるタイミングは本人に任せる

 

【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート1

 

終活に対する考え方の変化

終活とは、人生の終焉のために行う活動のことを指します。

「終活」という言葉は、2009年に週刊誌である「週刊朝日」が“現代終活事情”というコーナーに掲載した造語です。

その後、2012年にユーキャン流行語大賞の上位に選ばれるなどして認知度が高まり、急激に「終活」の考え方が社会に広がりました。

 

生前整理で行う「財産整理」は、自分の亡き後に遺族が困らないように行う活動ですので、“自分が亡くなった後のことを準備しておく”という点では、葬儀やお墓について決めておくという従来の「死に支度」と同じといえます。

 

現在、日本は世界一の長寿国です。2018年現在の平均寿命は80.5歳、女性は86.8歳となっており、年々伸び続けています。

定年退職以降も平均寿命まで生きるとなれば20年~30年ほど人生が続くという計算ですので「余生を生きる」というよりも第二の人生がスタートするという考え方になるでしょう。

 

それに伴って「終活」に対する人々の考え方も変化し、従来の「死に支度」から「人生に終焉を考えることを通して、自分を見つめ、今をより自分らしく生きる活動(出典「一般社団法人終活カウンセラー協会」)」へ変化しています。

そのため、終活の一環である「生前整理」も、死後の準備ではなく、これからの人生のことを考えてより自分らしく生きる活動であるといえるでしょう。

 

生前整理がなかなか進まない理由は?

「生前整理を始めてみよう」と思って物の片付けを始めてみたものの、思うように進まず、途中で挫折してしまう方は少なくありません。

そこで、遺品整理の専門会社である「株式会社ワンズライフ」の上野貴子代表が生前整理について悩む方のお話をよくよく聞いたところ、ほとんどが以下のような回答をされたそうです。

 

〈生前整理でよくある悩み〉
① 家の中に物が溢れている
② 使わない物ばかりに囲まれて生活している
③ 亡くなった親や独立した子どもたちの物が多い
④ 何を捨てて良いか判断できない

では、それぞれの悩みについてさらに詳しく見ていきましょう。

 

①家の中に物が溢れている

終活のひとつである生前整理をする当事者は団塊世代であり、それをサポートする子どもたちの多くは団塊ジュニア世代です。

団塊世代は戦後を生きた人々で、必要な物が簡単に手に入る時代ではなかったため、物を大切にするように教えられて育ってきました。

そのため、物を捨てることを「もったいないこと」「悪いこと」と思い片付けが進まず、それどころか、どんどん家の中に荷物をため込んでしまう傾向があります。

 

②使わない物ばかりに囲まれて生活している

大切な物や思い出が詰まったものは、たとえもう使わない物だとしてもなかなか捨てる決心がつかないものです。

結果的にほとんど物は減らず、“片付けたつもり”になって終わってしまいます。

また「まだあとで使うかもしれないから」と置いておくものの使う機会はなく、結果、使わない物ばかりに囲まれて、さらに生活が不便になってしまうのです。

 

③亡くなった親や独立した子どもたちの物が多い

かつて家族で暮らしていた家は部屋数が多く、収納スペースもそれなりにあります。

親が亡くなったり子どもが独立して出ていったりしてもすぐに片付ける必要もなく、むしろ、物をため込むスペースが多くなり、どんどん荷物が増えていってしまうのです。

気が付けば、自分では一体どれほどの荷物があるのか把握できていないことも少なくありません。

 

④何を捨てて良いか判断できない

子どもや亡くなった親の物など、自分以外の荷物が多いと、いざ片付けようと思っても何を捨てて良いか判断できず、仕分け作業も大変です。

作業がなかなか進まないことがストレスになり「また今度やろう」と思ったもののやる気が起きず、そのまま手つかずになってしまいます。

 

ストレスを感じず生前整理を始めるには?押さえておきたいポイント

以上のような理由で生前整理がうまく進まない場合、どうすれば良いのでしょうか?

ここでは、ストレスなく生前整理を進めるためのコツをいくつかご紹介します。

 

ポイント①:「財産関係の整理」と「生活空間の整理」は別物と考える

「生前整理」=「身辺整理」と考えると、財産の整理から家の片づけまでやることの範囲が多すぎて、何から手を付けて良いかわからず、ストレスがたまる一方です。

 

まずは、生前整理は大きく2つの分野に分かれることを理解し、それぞれの分野で「誰が」「誰のために」「何をするのか」を把握しておくと、気持ちも楽になって進めやすくなります。以下に、生前整理の2つの分野についてまとめました。

 

〈生前整理の大きな2つの分野とは〉
1つ目の分野……財産関係の整理
誰が行う?……本人
誰のために?……家族や親族のために
目的……相続トラブルの回避

 

2つ目の分野……生活空間の整理
誰が行う?……本人
誰のために?……本人のために
目的……今の暮らしをより良くするため

 

「家の中の物を片付けてきれいにする」という作業は、2つ目の分野に当てはまります。

 

持病などもなく、まだまだ元気で今後もその家に住み続けるという方にとっては「死後のことを考えて」というよりも「今後の生活のしやすさを考えて、生活空間をシンプルかつ快適にするための作業」であるといえます。

この場合は、断捨離やミニマリストの考えを参考にしながら、物の減らし方や整理整頓を進めていくのがおすすめです。

 

どんな生活空間が自分にとって快適で便利なのかは、その人の生きてきた背景や価値観によって当然違います。

ですので、自分の快適な生活空間について考えることも、立派な終活と生前整理の取り組みであるといえるでしょう。

 

ポイント②:生活空間の整理は自分のペースで行う

生前整理は、財産の整理から家の中の物の片付け、残す物と不要な物の選定など、やることが多岐にわたります。

1日、2日ですぐに終わる作業ではないため、早く終わらせようと無理をしないことも大切です。

 

一回にたくさんの時間をかけすぎると疲れてしまい、次回行うのが嫌になって、途中で挫折してしまいかねません。

特に、高齢になってくると疲れやすく、無理をすると体調が悪化する原因にもなります。

「一度で完璧にやろう」とは考えず、自分のペースを保ちながら、少しずつ進めていきましょう。

 

生前整理を始めるおすすめのタイミングは?

生前整理を始めるタイミングは「片付けをする目的」によって変わってきます。

ここでは、それぞれの目的別に、始める時期の目安をご紹介します。

 

目的が「断捨離」の場合

生前整理の大きな分野のひとつである「生活空間の整理」は、自分の今後の生活を想定して行う作業です。

家の中の物が多すぎて生活しづらいから、災害が起こったときに備えたいから、といった目的で断捨離を行うのであれば、今すぐとはいかなくても、なるべく元気なうちに片づけ始めることをおすすめします。

 

〈始めるタイミングの目安〉
・定年を迎えて時間に余裕ができたとき
・一定の年齢に達したとき
・子どもが独立したとき
・老後の生活を考え始めたとき

 

目的が「財産整理」の場合

一方、持病が悪化して入院する、高齢になって施設へ入居するなどの理由で、財産整理をメインとした身辺整理を始める方もいるでしょう。

この場合は「家族の遺品整理の負担を減らしたい」「財産整理をするにあたって家の中を整理したい」といった目的で家の片付けを行うことになりますから、断捨離が中心の生活空間の整理とは始めるタイミングが異なってきます。

 

「〇歳から始めるべき」といった決まりはありませんが、自分の体力の低下や持病の悪化・介護の必要度などを総合的に考えて、以下のようなタイミングを目安に始めるのが良いでしょう。

 

〈始めるタイミングの目安〉
・家族と同居するタイミングで
・老人ホームや施設へ引っ越すタイミングで
・長期入院するタイミングで
・認知症などにより、自分で整理整頓するのが難しくなったタイミングで

【関連記事】生前整理はいつから始める?始める時期・タイミングと進め方を解説

 

なお、ご自身で生活できなくなったことによって家を離れるケースでは、自分ひとりの力で家の中を片付けることは困難です。

そういった場合は、家族のサポートを受ける以外に、家財整理サービスを提供しているプロの会社に相談するという選択肢もあります。

 

遺品整理のワンズライフでは、亡くなった方の遺品の整理だけでなく、施設へ引越しされる方の家財整理や、認知症で家の中に物が溢れ、ご自身で生活するのが困難な方の片付け代行も承っています。

 

「生活空間の整理」の具体的な進め方

ここでは、生前整理の分野のひとつである「生活空間の整理」に焦点を当て、具体的なやり方をご紹介していきます。

 

1.片付ける部屋の順番を決める

一気にいろんな場所を片付け始めると、どこも中途半端になって、達成感が得られずやる気をなくしてしまいます。

まずは、どの部屋から片付け始めるか、また、部屋の中のどの場所から片付けるかを決めて、その順番通りに片付けを進めていきましょう。

いったん片付け始めたら終わるまで他の場所には手を付けないようにして「一か所ごとに整理していく」やり方がおすすめです。

 

2.「必要な物」と「不要な物」に仕分ける

次に、片付ける場所の物を「必要」「不要」に仕分けていきます。

段ボールや大きめの箱を用意して、仕分けた物を入れていくとスムーズです。

必要なもの、不要なものそれぞれを本、衣類、食器など、大まかなジャンルごとに分けながら仕分けていくと、後で物を処分するときに分類する手間を省けます。

 

迷う物は「保留」にしておく

不要にするか迷う荷物は、いったん「保留」にしておいておきます。

保留のカテゴリに分類したものは一回目に仕分けが終わった後でもう一度見直し「やっぱり必要なのか」「いらないものか」を考えましょう。

どうしても迷う際は、家族に意見を聞いてみるのもおすすめです。

 

3.「不要な物」を処分していく

仕分けが終わったら、次に行うのが物の処分です。

「不要」に分類された物は「譲る」「売る」「捨てる」の3つのやり方で処分していきます。

 

必要とする人に譲る

まだ使えるものは、家族や近所の人に譲るという方法もあります。

そのほか、古着や雑貨など、自分では使わないけど捨てるのはもったいない物は、寄付することを検討してみても良いでしょう。

寄付を募るサイトもありますので、メールフォームから問い合わせをすると、具体的な送付方法を教えてもらえます。

 

売れそうな物は売る

貴金属や美術品などの金銭的価値がある物は、リサイクルショップやブランド品買取店に売却するやり方もあります。

そのほかにも、最近では「メルカリ」や「ラクマ」といったスマートフォンアプリからでも簡単に売却が可能です。

これらのアプリは無料でダウンロードできて利用料もかからないので、実際に売れるかわからない物でも、まずは出品してみると良いでしょう。

 

壊れている物は捨てる

壊れている家具や家電などの不用品は、自治体が定める処分方法に沿って捨てます。

燃えるゴミ、燃えないゴミの分類の方法、粗大ごみを捨てるのにお金がかかるかなど、自治体によって規定は異なります。

ご自身で判断がつかないものは、ご家族に聞いたり、市役所に問い合わせたりして確認してみましょう。

ワンズライフの以下の記事でも、不用品の処分方法についてまとめています。

【関連記事】遺品整理、生前整理で出た不用品の処分方法まとめ

 

4.「必要な物」を整理整頓していく

処分が一通り終わったら、最後に残った「必要な物」をしまっていきます。

収納のために新たな家具を買い足したり、収納グッズを買ったりするとまた物が増えてしまうため、できる限り今ある収納スペースを活用して片付けていきましょう。

 

最後まで保留のカテゴリに残ったものは、無理に捨ててしまう必要はありません。

片付けが終わったら押し入れやクローゼットにしまっておき、半年や1年などの期間を決めて、定期的に見直しをしましょう。

時間を置くことで、自分にとって本当に必要な物か、残しておきたい物かどうかを冷静に考えることができます。

 

ワンズワイフの以下の記事でも、生活空間の整理のやり方、進め方についてわかりやすく解説しています。

【関連記事】生前整理とは?必要性はある?進め方を徹底解説

 

まとめ

終活の一環として一般に普及している「生前整理」という言葉は定義が広く、いざ始めようと思っても何から手を付けて良いかわからなくなってしまいます。

ストレスなく進めるためには、まず「財産整理」と「生活空間の整理」は別物であると考え、ご自身の行う作業が「財産整理を伴う身辺整理」にあたるのか、それとも「断捨離がメインの生活空間の整理」であるかを考えてみましょう。

 

財産整理は本人が家族のために行う作業ですが、生活空間の整理は、本人が自分のために行う作業です。

このように「誰が」「誰のために」「何をするのか」を理解しておくと、生前整理をストレスなく進めることができます。

 

パート3では、家財整理の専門会社が、本人や家族のために行う生前整理について解説します。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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