2019.01.21 (2024.03.08 One's Ending編集部 加筆)
終活関連の資格の種類・取得方法まとめ
生前整理などを行う「終活」が、ブームから一般的な行動として定着し始めています。
しかし終活を考えてみたものの、何から始めたら良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか?
近年では、終活をアドバイスする資格が数多く創設されています。
これらの資格は、終活についての知識を学んでご自身の活動内容をより有意義なものにするだけでなく、家族や周囲の方に終活のアドバイスをするスキルが習得できるなど、多くのメリットがあります。
そのため、何から始めたら良いか迷っている方は、はじめに終活に関する資格を取得し、そこから具体的な行動に移すというやり方もおすすめです。
この記事では、終活を考えている方に向けて、終活関連の資格の種類とそれぞれの概要、取得方法をまとめました。
終活の資格をプライベートやビジネスで活かしたい方は、以下を参考にしてみてください。
終活とは?
「終活」という言葉は、平成21年に週刊朝日で連載された「現代終活事情」の記事の中で使われた造語です。
その後、平成24年ユーキャン新語・流行語大賞の上位に選ばれ世間に広く普及し、多くの人が知る言葉となりました。
終活という言葉が誕生した当初は「人生の終わりに向けての事前準備」という意味で使われ、お墓・葬儀の準備、遺言書の作成など、死後を想定した活動が中心でした。
しかし、終活が徐々に広がっていくにつれて、現在は「人生の終わりを考えることを通じて自分を見つめなおし、今をより良く自分らしく生きるための活動」と定義されています。
現代の日本では少子高齢化が進み、子どもが1人のみの家庭や子を持たない夫婦、未婚の単身世帯も増加傾向にあります。
そういった方の中には、頼れる家族や親族が近くにいないというケースも多く「自分の身に何かあった時に周囲に負担を掛けたくない」という思いから、終活をする方が増えているようです。
また、最近は平均寿命が延びて「人生100年時代」とも言われています。
死後だけでなく、第二の人生をより良く生きることを目的に終活を始める方も増えてきました。
終活への関心は年々高まってきており、今後、終活は「ブーム」から一般的な行動として定着していくでしょう。
こういったことも踏まえると、終活系資格も活用できるシーンが増えていくことが予想できます。
終活関連資格の種類
終活関連の資格の種類一覧
終活に関する代表的な資格としては、次の7つが挙げられます。
〈終活関連の資格一覧〉
終活カウンセラー
終活アドバイザー
終活ライフケアプランナー
終活士
終活診断士
終活ガイド
終活マイスター
いずれも各認定団体が認定する民間資格であり、2024年時点では、終活関連の国家資格は存在しません。
終活系資格は、それのみで独立して開業したというケースはあまり聞かれませんが、終活を考えている方や、業務上、終活アドバイスを行う方のスキル向上のひとつの手段として活用されています。
また、身近な方のサポートをするために学習される方も多いです。
終活関連の資格の概要と取得方法
ここでは、それぞれの資格の概要と取得の目的、具体的な取得方法などをご紹介します。
なお「終活診断士」は、2021年3月時点で協会のホームページ・サイトが確認できませんでした。
また「終活マイスター」については、Facebookのアカウントはあるものの、2016年以降更新されていない状態です。
この章では、資格取得に関する情報が公開されている「終活カウンセラー」「終活アドバイザー」「終活ライフケアプランナー」「終活士」「終活ガイド」の5つに絞り、解説を進めます。
1.終活カウンセラー
日本の終活のパイオニアである「一般社団法人終活カウンセラー協会」が認定している資格です。
人生の先の不安を少しでも解消したいとお考えの方や、保険会社、士業、葬儀社など、仕事で終活についての相談を受ける機会のある方に取得をおすすめします。
同協会のホームページには「終活カウンセラーは、終活に関する抽象的な『悩み』の中身が、どの分野の悩みであるのか、またどの専門家が必要であるのかを見極めます」と記述があります。
一言でいうと「終活に困っている方の話を聴き、悩みを解決してくれそうな国家資格者を紹介する」のが終活カウンセラーの役割です。
こちらの資格は「2級」「1級」「認定講師」の3つのコースが設定されています。
2級終活カウンセラー
自分のエンディングノートが書ける基礎知識の取得と、家族や友人から終活について尋ねられた時に、対応できるレベルを目指します。
講習時間は約6時間で、筆記試験に合格することで取得できます。
検定や勉強会は全国で行われており、オンライン上での受講も可能です。
なお、勉強会では、弁護士、ファイナンシャルプランナー、コンサルタントなどが講師を務めています。
受講料は講習代、試験代込み、お弁当付きで15,000円で、オンライン検定だと、お弁当の代わりのエンディングが1冊プレゼントされます。
1級終活カウンセラー
終活についての深く理解し、他の人にエンディングノートを書くアドバイスができるレベルを目指します。
1級終活カウンセラーに応募するには「2級終活カウンセラーに合格していること」「本試験が開始される月までの1年間の間に、協会が開催する勉強会に1回以上参加すること」の2つの条件を満たすことが必要です。
課題に沿った事前レポートの提出後、2日間の講習に参加し、試験に合格すると取得できます。
受講料は45,000円で、オンライン版の場合は50,000円(どちらも税込価格)です。
なお、受講にあたっては、事前審査費として、別途3,000円を支払います。
終活カウンセラー協会認定講師
終活カウンセラー協会認定講師の取得にあたっては「終活カウンセラー協会認定終活講師養成講座」を受講する必要があります。これは、終活を正しく理解し、他の人にアドバイスするスキルの取得を目指す講座です。
認定講師には、終活の知識だけでなく、カウンセラーとして、じっくり話を聴けるスキルも必要とされます。
応募対象者は「1級終活カウンセラーの合格」「協会が開催する勉強会に年間2回参加」「過去に『エンディングノートの書き方セミナー講師養成講座受講者』を受講」「規約を遵守する」「養成講座の全日出席が可能 」「PCを所有し、パワーポイントを操作できる」など の条件を満たした方です。
4日間の講習を受けた後、試験に合格することで、終活カウンセラー協会認定講師として認定されます。
合格率は公表されていませんが、2級や1級カウンセラーと比較すると、難易度は高めです。
受講料は税込み30万円で、この中には、試験代、資料代が含まれています。
ちなみに、当社ワンズライフの代表上野貴子も、終活カウンセラー協会認定講師の資格を保有し、終活カウンセラーを輩出していく活動に取り組んでいます。
2.終活アドバイザー
「終活アドバイザー協会」が認定している資格で、自身のエンディングノートを書けるようになるほか、他の方に終活のアドバイスができるスキルが得られます。
終活に関する知識のほか、お金、公的医療制度、介護制度、成年後見制度、相続・遺言の法律など、幅広い分野について学べる資格です。
ユーキャンの通信講座で受講できるため、時間や場所を選ばずに学習でき、検定試験も自宅で受けられます。
添削課題を3回提出して、修了課題をクリアできれば終活アドバイザーの資格を取得できます。
全問正解をする必要はなく、全体の6割以上の点数で合格です。
終活アドバイザーの資格だけで独立や開業をすることは難しいとされていますが、取得によって、終活のことを的確にアドバイスできる能力が得られるなど、スキル向上やキャリアアップにつながります。
受講料の支払い方法は2種類あり、一括払いだと35,000円、分割払いの場合は2,980円×12回で総計35,760円(いずれも税込み価格)です。
3.終活ライフケアプランナー
終活ライフケアプランナーは「一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)」が認定している資格です。
同協会は、資格認定事業を通して個人の能力評価を行い、社会から求められる有能な人材を輩出することを活動の指針とし、仕事で役立つ実用的な資格から、趣味や生活に活かせる資格まで、100以上の資格を設定しています。
そのひとつである終活ライフケアプランナーは、終活に悩む方の相談窓口となり、相談者と同じ立場に立って解決策を一緒に考え、必要に応じて適切なサポートをする能力を身につける資格です。
講座では、終活の基礎知識のほか、終末期ケア、死生観についても勉強できるため、保険・金融・不動産・葬儀関連・医療・福祉など「人生のエンディング」に関わるさまざまな業界で活かせます。
終活ライフケアプランナーになるには、同協会指定の認定講座カリキュラムをすべて修了後、技能審査への合格が必要です。
在宅で受験できることから、会場に出向かずに済み、仕事や子育てで忙しい方も、自分のペースで勉強できるというメリットがあります
費用は、技能審査の受験料が税込み5,600円、認定カリキュラムの受講料が税込み39,700円(一括払いの場合)です。分割払いだと、月々1,930円×24回払いとなり、総計46,320円かかります。
4.終活士
終活士は、任意団体「日本終活士協会」が認定している資格です。
税理士・弁護士・司法書士・行政書士といったライフエンディングステージの専門家や、葬儀・介護・医療関係者と連携し、終活の相談に的確に応じることができる「終活に特化した専門家」を目指します。
終活士の資格は「同協会が開催する資格試験に合格後、協会の認定会員として登録」もしくは「同協会の企画する『終活士養成スクール東京校』を受講修了」のいずれかを満たすことで取得が可能です。
受講料は、登録年会費込みで53,200~97,200円(税込)となっています。なお、資格取得後は5年後に更新があり、更新費用として8,000円(税別)が必要です。
しかし、同協会のホームページを見ると、2017年を最後に更新が止まっています。
新たな試験は開催されていないようです。
5.終活ガイド
終活ガイドは「一般社団法人終活協議会」が認定している資格です。
終活に必要な知識を身につけて、自分や家族にとどまらず、地域の方の終活に関するお困りごとを解決できる人材育成を目指しています。
なお、こちらの資格は「終活ガイド初級(3級)」「終活ガイド(2級)」「終活ガイド上級(1級)」の3つのコースが設定されています。応募条件の決まりはなく、年齢、国籍、職業などに関係なく、誰でも受験が可能です。
また、終活ガイドは webでテストを受けることができたり、テキストを見ながら答えを入力しても良いので、気軽にチャレンジできる資格となっております。
webを利用することで時間や場所にとらわれずに、いつでもどこでも学習できます。
終活ガイド初級(3級)
3級は終活の基礎知識を学び、終活についての理解を深めます。
同協会のホームページで配信されている動画を視聴し、10問の問題に正解することで取得可能です。
費用は無料で、講習もありません。
3級は、平均1時間の学習で資格の取得が可能となっております。
早く結果を出したい方におすすめです。
終活ガイド2級
2級では、終活の背景、医療、介護、保険、相続に関する法律、葬儀、お墓の7つの項目を学び、相談者に対して適切なガイドができるスキル習得を目指す資格です。
3時間の講習を受講し、webテストで約60%以上の正答率があれば合格となります。
費用は、受講料と試験代を合わせて5,000円(税込)です。講座と試験は在宅でも受講できます。
終活ガイド上級(1級)
1級では、セミナー講師としての活動、業務拡大・新規事業の開拓など、ビジネスでも活用できる実践的な知識・スキルの習得を目指します。
教材と動画で学習を進め、認定試験に合格することで資格の取得が可能です。
費用は、教材費と試験代を合わせて50,000円(税込)となっています。
3級、2級と同様、在宅で受講ができ、学習期間も定められていないため、自分のペースで学ぶことができます。
1級には、資格取得後も生涯学習をするための専用のサポートデスクがあります。
資格取得後でも気軽に質問できます。
終活関連の資格を取得するメリット
終活関連の資格を取得することにより、自分の人生や仕事、家族など、さまざまな部分でメリットが得られます。
具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?詳しく見てみましょう。
自分の終活を有意義なものにできる
終活を行うにあたって、資格は必ずしも必要なわけではありません。
終活のやり方やポイントについては、インターネットや書籍を利用して調べることもできますし、疑問に思うことがあれば、家族や友人に聞きながら進めるという方法もあります。
ただ、終活を行うにあたっては相続・不動産・葬儀関連・金融・医療・介護など、各分野についての知識が求められる場面も少なくありません。
たとえば財産の管理でも、生前に自分のためにしておくべきことや、没後のことを考えて遺族のためにしておくべきことがあります。
また、健康面で不安を感じたときに、様々な選択肢があることも学べるのです。
終活関連の資格を取得しておくと、身につけた知識を活かして、ご自身の終活をスムーズに進められます。
また、ライフエンディングにかかわる幅広い知識があれば、ご自身の活動内容をより有意義なものにできるでしょう。
周囲の人の終活をサポートしやすくなる
終活関連の資格のカリキュラムや教材は「終活に取り組む方に対してより良い指導やアドバイスができること」を目的として編成されています。
そのため、資格を取って幅広い知識を習得すれば、家族・親戚・友人が終活で困っている時に的確なアドバイスができ、周囲の人の終活をサポートしやすくなるでしょう。
身近な人の役に立つことができるのも大きなメリットです。
得た知識を仕事で活かせる
終活関連の資格取得で得た知識は、ご自身や家族、友人の終活で役立つだけでなく、仕事でも活用できます。
たとえば、福祉関連の仕事をしていると、高齢者の方と終活について話す機会も多いでしょう。
財産や健康などのプライベートな悩みを打ち明けられたこともあるのではないでしょうか。
そういった終活の悩みに関する質問をされた際に、的確なアドバイスができれば、顧客満足度の向上につながります。
そのほか、お客様から終活やライフプランニングについての相談を受ける職種であれば、勉強した内容や法律の知識は業務でも役立ちますし、就職・転職でも有利に働く可能性が高いでしょう。
介護士、看護師・医師、葬儀業関係者、金融業の窓口担当、公務員など、幅広い職種で活かせます。
まとめ~終活の資格はプライベートでもビジネスでも役立つ~
終活は、高齢者や中高年だけのものではありません。
若くして始めることで、人生の目標が設定され「それを達成するためには何をすべきか」を明らかにできます。
少子高齢化や家族形態の変化に伴い、終活を行う方も増え、ライフエンディングに関連する仕事の需要も年々高まっています。
終活に関係した資格は、今後さらに注目されるでしょう。
今回の記事でもご紹介したように、終活関連の資格は様々です。
エンディングノートを作成するなど、自分のために終活の知識を得たいという方は、基礎的な内容を学べる資格がおすすめです。
医療や介護、コンサルタントなど、業務に役立つ知識やアドバイススキルを習得したい場合は、講師による専門的な講習を受けられる資格を選ぶことをおすすめします。
このように、費用や学習内容なども比較しながら、ご自身の用途に合う資格を選びましょう。
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