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2021.05.06

ペットがいる場合の終活 飼い主の万が一への備え

近年、飼い主の予防意識が高まったことや、飼育環境が向上などにより、人間と同様、ペットも「長寿化」が進んでいます。
一般社団法人ペットフード協会の調べによると、2020年時点での犬の平均寿命は14.48歳、猫の平均寿命は15.45歳となっており、ここ30年の間に、犬猫の平均寿命は2倍以上も延びました。

ペットは大切な家族の一員ですから、長く生きてくれるのは飼い主にとって嬉しいことです。
しかし、飼い主とペットが同時に高齢化することによって、“高齢飼育者×高齢ペット”という状況が増加傾向にあり「ペットのお世話を最期までできるだろうか」と不安を抱える飼い主の方も多いようです。
こういったことから、最近では「ペットの終活」に取り組む方が増えてきています。

この記事では、飼い主の万が一への備えとして、ペットを飼っている方が終活でやっておきたい準備を詳しく解説します。

「終活」とは

終活という言葉は、平成21年に発売された「週刊朝日」のコラム内で初めて使われ、その後、流行語大賞にノミネートされるなどして急速に認知度が高まりました。
この言葉が広まった当初は、“終活=人生の終焉に向けての準備”という少し暗いイメージがあり、活動内容も、葬儀やお墓、遺言書の作成といった “死後のこと”が中心でした。

 

しかし、平均寿命が延びたことや、病院で亡くなる方が増加したことによって終末期医療について考える方が増えた影響などもあり、人々の終活への考え方が徐々に変わり始めました。
最近では「人生の終焉について考えることを通して自分を見つめ、今をより良く、自分らしく生きる活動(終活カウンセラー協会のサイトより)」と定義が見直され、今後の人生のための前向きな活動として取り組まれています。

 

飼い主が元気なうちにしておきたい「ペットの終活」

終活でやることには、お金の整理をする、持ち物の整理をする、医療や介護の希望を決めておく、財産相続を円滑に進める計画を立てておくなどがあります。
そしてもうひとつ、ペットを飼っている人が取り組んでおきたいのが「ペットの終活」です。
ペットの終活とは、ペットあるいは、飼い主の不測の事態に備えて準備をしておくことをいいます。

 

〈ペットの終活の主な目的〉
・ペットロスによる悲しみをやわらげる
・万が一飼い主が先立つようなことがあった時に、ペットの飼育を次の飼い主にスムーズに引き継ぐ
・ペット、もしくは飼い主の“残された側”が幸せな生活を送れるように備える

 

ペット飼い主の方は「責任をもってペットの生涯に寄り添いたい」とお考えでしょう。
しかし、高齢になると病気やケガのリスクも高まるため、突然の健康状態の悪化などによって、最期までペットの側にいられない可能性もあります。
そうすると、ほかの方がお世話をすることになりますが、もし新しい飼い主が見つからない場合、ペットが取り残されてしまうかもしれません。

 

このように、飼い主に万が一のことがあった時に、ペットが路頭に迷ったりせず、最期まで幸せな生活を送ってもらうためにも「ペットの終活」をしておくことをおすすめします。
ペットの終活は「いつから始めるべき」といった決まりはありませんが、準備や手続きに時間がかかることもあるので、飼い主の気力・体力がしっかりしているうちに取り掛かっておいた方がよいでしょう。

 

終活でペットのためのやっておきたいこと

ここでは、飼い主の不測の事態に備えて、ペットのためにやっておきたい終活の内容をまとめました。

 

① ペットの引き取り先を考えておく
具体的な内容……飼い主がペットのお世話をできなくなった時に備えて、ペット信託や老犬・老猫ホームについて検討しておく

 

② ペットのエンディングノートを用意しておく
具体的な内容……ペットを譲渡した時に備えて、ペットに関する情報を記載する

 

③ ペット保険への加入・加入中のプランの見直しをする
具体的な内容……ペットに医療や介護が必要になった時のために、保険に加入したり、契約中のプランを見直したりする

 

④ ペットの最期(供養・お墓)についての希望を考えておく
具体的な内容……「ペットと一緒のお墓に入りたい」などの希望がある方は、葬儀やお墓の生前予約をしておいたり、火葬、埋葬方法などの要望をわかるように残しておいたりする

 

次項からは、上記の①~④の内容を詳しく解説していきます。

 

【ペットの終活でやること】①引き取り先を考えておく

飼い主にとって心配なのは、自分が病気になったり、先に亡くなってしまったりした時に「誰がペットのお世話をするのか」ということではないでしょうか。
そのため、ペットの終活を行う際は、万が一お世話ができなくなった時に備えて、引き取り先を考えておくことも大切です。

 

主な引き取り先としては家族・親族が挙げられますが、中には、一人暮らしで頼れる親族が身近にいない方や、家族がペットを飼えない状況の方もいるでしょう。
その場合は「ペット信託」「犬・猫ホーム」などの選択肢があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

ペット信託

ペット信託とは、ペットを飼っている方にもしものことがあった時に備えるための制度です。
まず、ご自身の財産の一部を「信託財産」として、信頼できる家族や友人、団体、法人などの「受託者」に託します。
そして、ご自身がペットを飼えなくなったら、受託者は新しい飼い主にペットを譲渡します。
ペットの飼育にかかる費用は信託財産から支払われますが、お金の管理は受託者が行うという仕組みです。

 

ペット信託には、以下のようなメリットがあります。

 

〈ペット信託の3つのメリット〉
・信託財産は相続財産とは別扱いになるため、ペットのために確実に財産を残せる
・ペットのお世話をする人とお金を管理する人は別なので、きちんとお世話をしてもらえる
・介護や施設への入居で飼えなくなった時など、飼い主の死亡時以外にも対応してもらえる

 

老犬・老猫ホーム

ペットも高齢になると、介護が必要になる可能性があります。
ただ、飼い主自身も高齢で、ペットの介護をするのが難しい状況もあるかもしれません。
そんな時は、老犬・老猫ホームを利用するというのもひとつの方法です。

 

老犬・老猫ホームは、動物病院が併設されていたり、個室で管理してくれるところもあったりなど、施設によってそれぞれ特徴があります。
料金については、愛犬・愛猫の介護度や体の大きさごとに異なることが多く、基本料金もホームによってまちまちです。
利用を検討されている方は、事前に施設を見学して、実際の雰囲気やサービス内容などを確かめておくことをおすすめします。

 

【ペットの終活でやること】②エンディングノートを用意する

飼い主が突然のケガや病気になる、施設へ入居するなどの理由でペットの世話ができなくなった時に備えて、エンディングノートを書いておくことも大切です。
エンディングノートを見たら誰でも飼育が引き継げるよう、できるだけ詳しくペットの情報を記入しておきましょう。

 

以下に、ペットのエンディングノートに書いておきたい内容をまとめました。

 

〈ペットのエンディングノートに書いておく内容(一例)〉
・ペットの名前、生年月日、性別などの個人情報
・避妊去勢手術の有無
・予防接種の有無や接種日
・既往歴
・引き取り先の希望
・好きな食べ物、好きな遊び
・ペット保険の加入の有無
・かかりつけの動物病院
・血統書の有無や登録番号
・その他、お世話をする時に気を付けてもらいたいこと

 

エンディングノートには、ペットに関する情報を記入するだけでなく、飼育記録を書いたり、写真を一緒に貼り付けたりするのもおすすめです。
そうすると、メモリアルブックとしても使えるので、後で読み返したときにペットとの思い出を振り返ることができます。

 

【ペットの終活でやること】③ペット保険への加入・加入中のプランの見直し

動物には人間のような健康保険制度が存在しないため、医療費は100%自己負担です。
しかし、シニア期を迎えたペットは病気やケガのリスクも高くなり、手術を含めて高額な治療費がかかるケースも出てきます。

 

いざという時にペットが必要な治療を受けられるよう、終活を機に、ペット保険への加入の検討し、すでに加入中の方は、現在の契約プランがペットの健康状態に合っているかを確認しておきましょう。

 

以下に、ペット保険への加入や契約見直しの際に気を付けたいポイントをまとめました。

 

気を付けたいこと①補償範囲

まずは、ペットが病気やケガで医療を受けた時に、どこまでペット保険から医療費が下りるのかの範囲を確認しておきましょう。
ペット保険の補償タイプは、大きく分けて「定率補償」「定額補償」「実費補償」の3種類があります。

 

・定率補償
補償限度額内で常に一定割合の補償が受けられるタイプ
(例)保障割合70%の場合……治療費が50万円のときは35万円、治療費が10万円なら7万円を補償してもらえる。基本的に回数制限なしで補償を受けられるが、補償限度額を超えた分は自己負担となる。

 

・定額補償
補償限度額内で一定額の補償が受けられるタイプ
(例)通院1日1万円、入院1日2万円、手術1日につき10万円の場合……3日通院、1日入院、1日手術であれば合計15万円を補償してもらえるが、その他にかかった費用は自己負担となる。

 

・実費補償
補償限度額内であれば治療費が全額補償されるタイプ
(例)年間補償限度額が50万円で30万円の治療費がかかった場合……通院日数などに関わらず治療費は全額補償してもらえるが、年間補償限度額を超えた分は自己負担となる。

 

たとえば、大きな病気やケガの心配が少ない場合は、毎回の給付額が決まっている「定額補償」を選ぶとよいかもしれません。
反対に、ペットが高齢になってくると、ケガや病気のリスクが上がってきます。
その場合は、限度額まで全額補償が受けられる「定額補償タイプ」を選ぶのもおすすめです。
このように、ペットの健康状態に合わせて補償内容を選択し、すでに加入中の方は、今の保険の補償内容が現在のペットの健康状態に合っているかを考えてみて、必要があれば契約プランを変更しておきましょう。

 

いずれにしても、補償内容が充実しているほど掛け金は高額になる傾向があります。
ペット保険を選ぶ際は、月々の保険料と補償内容のバランスを考えることも大切です。

 

気を付けたいこと②加入可能年齢や契約期間

ペット保険は加入可能年齢の上限が決まっていることが多く、過去に病歴があると加入が難しいこともあります。
あとで「もっと前に保険に入っておけばよかった」と後悔しないよう、これから加入を検討している方は、ペットがシニア期に入るまでには手続きを済ませておくのがおすすめです。

 

また、ペット保険の多くは保険期間が1年間の「更新型」となっていますが、中には更新可能年齢の上限を設けている保険会社もあります。
すでに加入済みの方は、今契約している保険でペットが最期まで補償を受けられるのかを確認しておきましょう。

 

【ペットの終活でやること】④葬儀や供養の希望を考えておく

もしも飼い主が先に亡くなっていると、ペットの最期を看取るのは新しい飼育者になるでしょう。
その際に、どのような供養をしてほしいのか、お墓はどのようなものにしてもらいたいのかなどの要望がある方は、ご自身が元気なうちに意思を残しておくことで、希望を叶えてもらいやすくなります。

 

ここでは、ペットの葬儀や供養方法についてまとめました。

 

ペットの葬儀や埋葬方法

ペットの葬儀については、行う方と行わない方がいます。
もし葬儀を行って欲しいと思っている方は、どのような葬儀形式を希望するのかも一緒に考えておくとよいでしょう。
最近はペット葬儀サービスを扱う葬儀社も増えているので、プラン内容を確認して「葬儀はこの会社に頼んで欲しい」「葬儀はこのように営んでほしい」などの意思をエンディングノートに記しておいたり、家族に伝えておいたりすると、より希望に沿った葬儀を執り行ってもらいやすくなります。
また、葬儀の生前予約を実施している会社もありますので、こういったサービスを利用するのもひとつの方法です。

 

ペットの埋葬方法

ペットの埋葬方法には土葬と火葬がありますが、衛生的な面から、近年は火葬をすることが多いようです。
火葬方法には「合同火葬」と「個別火葬」の2種類があります。

 

・合同火葬
複数のペットの遺体を一緒に火葬する方法です。費用は抑えやすいですが、お骨拾いなどはできず、火葬後は共同墓地への埋葬となります。

 

・個別火葬
ペットの遺体を1体ずつ火葬する方法です。個別に火葬する分費用はかかりやすいですが、お別れからお骨拾いまで立ち合いができ、遺骨を持ち帰ることも可能です。

 

ペットの供養方法

先述の通り、合同火葬の場合は共同墓地の埋葬となりますが、個別火葬であれば、返骨後の供養方法は常識の範囲内で飼い主が自由に選択できます。
「ペットが亡くなった後は手元で遺骨を安置してほしい」「ペット霊園に入れて欲しい」など、供養方法についても方針を決めておきたい方は、その旨もわかるように示しておきましょう。
ペットの主な供養方法には、以下のようなものがあります。

手元供養

自宅供養とは、ペットの遺骨を自宅に持ち帰って供養する方法です。ペット用の祭壇を購入すれば、骨壺を安置しておくスペースも確保できます。

 

散骨

ペットの遺骨を海や山に散骨するという供養方法もあります。
なお、散骨にあたっては遺骨を細かく粉砕しておかないといけないため、事前に火葬業者に粉砕処理を依頼しておく必要があります。

 

ペット霊園や納骨堂

ペット霊園での供養の方法には「合同供養(永代供養)」と「個別墓地」があります。
ペットのお墓を管理してくれる人がいるかわからない場合は、合同供養を選ぶと安心です。
また、最近はペットの納骨堂もあります。一定の期間納骨堂に遺骨を安置するところ、合同供養で安置するところ、屋外型、屋外型など種類はさまざまなので、ご自身で決めておきたい方は、事前見学の上、生前予約をしておくのもよいでしょう。

 

飼い主と同じお墓に入る

ペットと飼い主が一緒のお墓に入るという方法もあります。
ただし、飼い主の宗教や宗派にもよっては動物と人が同じお墓に入れないこともあるため、希望する方は、事前に霊園やお寺に確認しておきましょう。
なお、ペットと一緒に入るお墓についても、お葬式や納骨堂と同じく、生前予約を受け付けていることがあります。

 

終活でやっておきたいこと一覧

ここまでは、ペットを飼っている方が、飼い主とペットのために終活で準備しておきたいことについて解説しました。
終活では、ほかにもやっておきたいことが数多くあります。
この章では、今回ご紹介したペットのことを含め、終活でやっておきたい準備を一覧にまとめました。

 

【関連ページ】終活の意味とは?いつから始める?おすすめのやり方とメリット

 

終活でやっておきたい準備一覧

① エンディングノートの作成
ペットの分だけでなく、飼い主自身のエンディングノートも作成しておきましょう。

 

② 財産の整理
ご自身の資産の総額を把握し、誰にどんな財産を相続するか決めておきたい場合は、遺言書を作成することをおすすめします。
財産を整理しておくことで、今後の資産計画を立てやすくなるだけでなく「ペット信託の信託財産に〇万円、家族に遺す財産は〇万円」など、配分を決める際にも役立ちます。

 

空き家となっている不動産を所有している方は、売却するのか、誰かに貸すのかなどの活用方法を決めておきましょう。
建物内に荷物が残っている場合は、早めに「空き家整理」をしておくと、その後の手続きがスムーズに進められます。

 

③ 物の整理
ご自身が亡くなった後の遺品整理の負担を軽減するために、元気なうちにいらない荷物を断捨離して、家の中の物を減らしておきましょう。
物の整理をする時は、ペットの物についても「必要な物」「処分してほしい物」を仕分けておくと、家族が遺品整理をする時に仕分けがスムーズに進み、大切な物を誤って処分してしまうのを防げます。

 

④ 葬儀やお墓の準備
葬儀やお墓について決めておきたいという方は、周囲の方に伝えておくか、エンディングノートなどに要望を書き記しておきましょう。
ペットと一緒に入れるお墓を生前に準備しておく方は、先祖代々のお墓をどうするのかについても考えておくと、家族が困ることもありません。

 

まとめ

少子高齢化や核家族化により高齢者のみの世帯が増えており、一人暮らしの高齢者世帯の中には、家族としてペットを飼う方も少なくありません。
一方で、飼い主の孤独死や入院、介護施設への入所などにより、取り残されたペットの処遇が社会問題となっています。
万が一、飼い主の身に何かあってもペットが最期まで安心して生活できるように、ご自身が元気なうちからペットの終活を進めておきたいものです。

そうはいっても、終活ではやることが多く、ペットがいる場合は「ご自身+ペットの終活」となるので、さらに準備が増えます。
そのため、終活を行う際は、手間の軽減や時間の節約のために、整理専門会社の提供する「整理代行サービス」を利用するのもおすすめです。

 

たとえば、不動産相続の準備をする際に空き家の整理が必要であれば、空き家の片付けをプロに任せることもできます。
そうすれば、その分の時間をほかの準備やペットの終活に充てるなど、より時間を有意義に使えるでしょう。

 

そのほかにも、入院や施設への引っ越しなどで家の中の片付けが必要になり、自分で整理をするのが難しい場合は「家財整理代行サービス」を利用することも可能です。
ご自身が元気なうちにこういったサービスについて知っておき、いざという時に利用できるように下調べをしておくと、家族が片付けを行う負担も軽減されますし、ペットの譲渡手続きや新しい飼い主への引き継ぎなどにも時間を割けます。

 

当社ワンズライフでも、空き家整理や、うつや認知症によりご自身で片付けが困難な方への生前整理代行サービスを提供しております。
空き家整理、生前整理、遺品整理など「家財整理」に関するご相談は、ワンズライフまでお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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