原状回復のガイドラインとトラブル。義務や費用は誰の責任?

孤独死や事件、事故、自殺の現場については、
賃貸物件を原状回復して一刻も早く解約できるようにすべきです。
私どもワンズライフは誠意を込めた遺品整理を実施することで、
関係者のみなさまのお役にたちたいと願っております。

原状回復のガイドラインとトラブル

不動産のトラブルには不動産協会の基準・指針を適用。国土交通省のガイドラインも制定されています

私たちは遺品整理を実施する過程で不動産に関するトラブルに直面することがあります。賃貸物件の場合は、貸主(大家)さま、借主(店子)さま、そして不動産管理会社さま等がそれぞれ自らの利益を主張することになるからです。

 
例えば、賃貸物件の経年劣化については誰が補修費用を負担すべきか、といった微妙な問題で利害の調整が必要になります。同じように遺品整理、生前整理などをめぐって費用負担で揉めることがあります。こうした問題は法律で明確に決まっていればよいのですが、必ずしもそうではありません。不確定なグレーゾーンが多いことも事実です。

法律では借主保護の考え方が強いものの、借主の行き過ぎた保護は、貸主の利益を毀損することになります。双方の間でバランスのよい落としどころを探さねばなりません。そうした場合は一般社団法人不動産協会の基準・指針が摘要されることになります。

また、昨今増え続ける原状回復に関するトラブルの防止を目的として、国土交通省管轄において、平成10年3月に取りまとめたガイドラインが制定され、その後、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂を2度にわたり行っています。

ただし、これらも以下のガイドラインの位置づけとて宣言されているとおり、あくまで話し合いの参考というものになります。

<利用にあたって>
[1]   このガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています。
[2]   このガイドラインは、賃貸借契約締結時において参考にしていただくものです。
[3]   現在、既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則ですが、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いをして下さい

国土交通省ホームページ「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について」から引用

ご遺族さまの最後の手段は相続放棄

貸主さま、借主さま、不動産管理会社さまの立場の違いによる対立はときおり起きるものの、ご本人さまが逝去している場合、実際は借主さま(遺産相続人さま)に過度な要求をすることはしないものです。なぜなら遺産相続人さまには賃貸物件の保証人になっていない限り、相続放棄という最終手段があるからです。

もし相続放棄となれば賃貸物件は宙に浮き、整理、清掃、補修などすべての費用が大家さまの負担になってしまいます。貸主さまとしては、これは絶対に避けたい事態といえるでしょう。したがって交渉で解決を模索するということになります。

裁判所の調停や裁判に持ち込まれる場合も

不動産関連のトラブルが深刻になった場合は、司法の判断を仰ぐことになります。貸主、借主、不動産管理会社による争いは裁判所の調停に持ち込まれ、最悪は裁判ということになります。

貸主さまのなかには、賃貸物件が異臭や汚染で特殊清掃を必要としたような場合、被害者意識が強く出てしまい、過剰な請求をすることがあります。それは逝去の現場だけでなく、キッチンやバスも交換してほしいいというような要求です。さすがにそうした要求については私どもも首を傾げたくなることがあります。調停や裁判ではそうした点に司法判断がなされていきます。

トラブルの仲裁については、私ども遺品整理業者は直接関与することではありませんが、どこが料金を支払ってくれるのかについては関心を持たざるをえません。三方良しの解決が見られることを期待することになります。