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2018.10.31 (2024.05.31 One's Ending編集部 加筆)

空き家活用の基礎知識~今のトレンドは?

全国で空き家を再生したプロジェクトが流行しています。これまで見向きもされなかった日本家屋が「レトロ」と呼ばれるようになり、内装を改装してカフェや工房、オフィスに生まれ変わっています。古くて新しい空き家の活用方法と今のトレンドを紹介します。

空き家問題と国や自治体の施策の今

少子高齢化により人口が減少している我が国では、全国的に空き家が増え続けています。
総務省「平成25年住宅・土地統計調査」によると、2013年の空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13.5%と、過去最高水準を達成しました。
その後の2018年の調査でも、13.6%と、空き家率は高い水準で横ばいとなっております。
長きにわたり人が住んでいない物件は老朽化が進むため、倒壊が早まるだけでなく、衛生上の問題や不法者の侵入による犯罪が懸念されるなど地域社会に悪影響を及ぼします。

 

国は、これらの問題を解消すべく、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
空き家の持ち主について、市区町村に固定資産税の納税記録を照会して特定して立ち入り調査権限をすることを認め、倒壊の恐れがある等の「特定空き家」については撤去や修繕を命じ、行政代執行を可能にすることが規定されています。
行政代執行になった場合は、その費用が所有者に請求されます。

 

また、「特定空き家」になり得る「管理不全空き家」に指定された場合は、固定資産税の優遇を受けられなくなります。
管理不全空き家や、2023年に改正された空家対策特措法について興味がある方は、以下の関連記事も読んでみてください。

【関連記事】管理不全空き家の固定資産税の減額解除~改正空き家特措法が成立

 

増加し続ける空き家の再利用として、国土交通省では、2017年度から「全国版空き家・空き地バンクの構築」を実施しています。

【参考】全国版 空き家・空き地バンクの取組について(国土交通省)

 

具体的には、これまで自治体ごとに分散していた空き家や空き地の情報などの物件情報の掲載項目を標準化し、消費者のニーズに応じた全国の物件の検索が可能な仕組みを導入しました。

 

これにより、移住者やカフェなど起業を検討している人に物件を売却・賃貸することが容易になるなど、不動産流通市場活性化による経済効果の発現や、空き家・空き地等の有効活用の促進が図られています。

 

空き家バンクに興味がある方は、以下の関連記事も読んでみてください。

【関連記事】空き家バンクの制度の概要やメリット・デメリットを解説

 

 

空き家の有効活用例

空き家を所有している人や両親が亡くなった後に空き家になることが予定されている家屋を相続する人は、その活用方法に頭を抱えています。
所有することで固定資産税がかかり、場合によっては「負の遺産」になりかねません。
そうした背景を受けて、空き家で収益を上げる「空き家ビジネス」が注目されています。

 

空き家ビジネスは大きく、「自ら店舗などとして利用する」「大家として空き家を貸し出す」「サブリース会社に物件を借り上げてもらい、そこから物件を転貸する」の3つの方法があります。
空き家を現状のまま貸し出すと費用は掛かりませんが、リフォームした方が高い賃料が期待できます。
長期的な収益を考えてリノベーションを検討するのもいいでしょう。

 

貸住宅にする

賃貸住宅

 

賃貸住宅は、空き家を活用する上で最もポピュラーな方法です。
空き家をそのまま貸すこともできるため、費用をそれほどかけずに家賃収入を得ることができます。
また、入居者が住んでくれることで、建物が荒れたり、浮浪者に不法占拠されたりするリスクが減ります。

 

しかし、立地や建物の状態によっては、入居者の確保が難しいです。
入居者の募集や管理には、ある程度の労力や負担もかかります。また、家賃収入が安定しなかったり、滞納されたりするリスクもあります。

 

賃貸住宅として空き家を活用する方法は、多くの方々が実践している方法です。
事業者が多くいるため、ノウハウが確立されていますが、簡単ではありません。自分で管理することだけでなく、不動産管理会社に任せることも検討しましょう。
信頼できる管理会社を見つけることが、賃貸経営で成功するカギになります。

 

カフェやシェアオフィスにする

カフェ

 

古くからある空き家の再生方法です。
古い蔵や古民家を改築したショップ、カフェなども空き家ビジネスの一種と言えます。アクセスのよい場所にある広めの空き家ならシェアオフィスとしての活用も期待できます。

 

小さな空き家の場合でも、隠れ家的なショップやカフェとして利用できます。
以前は古さが目立った家屋も、一周まわって「レトロ」と呼ばれるようになりました。
古くて新しい不思議な空間として、女性を中心に人気を集めています。

 

外国人向けの民泊施設にする

民泊 古民家

 

外国人観光客は毎年増え続け、2017年には約3千人もの人が日本を訪れています。
彼らが求めるのは日本らしさ。私たちの日常に関心を示しています。そのようなニーズから、空き家を外国人対象の宿泊施設として利用するケースが見られます。

 

畳やふすま、和式トイレなど日本人には時代遅れな設備が外国人には珍しいことや、寿司や天ぷらなどの日本食を楽しみたいというのも、日本に訪れる理由となっています。
外国人観光客による民泊の需要は、今後も見込めることでしょう。

 

トランクルームやバイクガレージにする

バイクガレージ

 

あまり人通りがなく店舗としての貸し出しが難しい空き家は、トランクルームやバイクガレージとして活用します。
倉庫として使うためリフォームの必要がなく経費が抑えられます。
バイクに乗る人は、自分でメンテナンスやカスタムを行うことが多いので、コンプレッサーやジャッキなどの大型工具を揃えておくと付加価値が高まります。

 

リノベーションして週末のセカンドハウスにする

空き家 ウッドデッキ

 

都会の喧騒か離れて週末を過ごしたい、老後を田舎で暮らしたいというニーズは少なくありません。
海や山、草原など自然あふれる場所にある空き家を田舎暮らしに憧れる人向けにリノベーションして、賃貸または売却してはいかがでしょうか。
こうした物件を選ばれる方は自然志向が強いので、家庭菜園ができる田畑や釣りを楽しめる磯や川が近ければ申し分ありません。

 

その他

全国で空き家を再利用したプロジェクトが進められています。
住居としての利用だけでなく、コミュニティースペースやカルチャー教室など多様な使い方をすることで街に人が集まり、活力を取り戻します。
また歴史のある町では、古くからの景観を残す意義も担っています。

 

 

空き家活用を成功させるには?

空き家活用ビジネスを成功させるためのヒントをまとめてみました。

家と電卓

 

立地を見極める

空き家を活用した事業を行う場合も、立地が重要です。
飲食店やショップであれば人通りが多い方が人目に触れますし、シェアオフィスはアクセスの良さがポイントになります。
逆に倉庫やガレージとして運用する場合は、騒音などの問題から住宅が少ない方が気を使いません。

 

すでに空き家を所有しているなら、立地とビジネスがうまくマッチしているか確認してみましょう。
これから空き家を購入する予定なら、ビジネスプランに沿った立地の物件を探してみてください。

 

もし所有している空き家の立地が悪く、活用しづらいようなら、売却も視野に入れた方が良いかもしれません。
事業による収益が期待できない場合でも固定資産税がかかるため、安く売却したほうがいい場合もあるからです。

 

実家じまいや空き家の整理について考えている方は、こちらの関連記事も読んでみてください。

【関連記事】実家じまい~空き家整理の効率的なやり方と処分方法

 

空き家再生に積極的な業者に依頼する

時代の変化により、空き家ビジネスも多様化しています。
これまでの不動産取引ではなく、空き家を街の資源と捉え、その街にふさわしい有効活用をプランニングしている会社があります。

 

たとえば、不動産を手掛けるある企業は、長年借り手が付かなかった飲食店の奥行きの広さに着目してトランクルームに変更。
レトロな理髪店は雰囲気を生かしつつバル&カフェとして蘇えらせるなど、空き家所有者と利用者をマッチングさせ、地域全体の価値を高められる提案を行っています。
こうしたアイデアが豊富な業者に依頼するのも一案です。

 

空き家活用ローンを利用する

空き家の再利用が活性化するに伴い、各銀行では「空き家活用ローン」が商品化されています。
空き家に関するあらゆる資金に対応し、空き家の改築・改装・解体費用や解体後の土地利活用、空き家の防災防犯上の設備費用についてローンを組むことが可能です。
こうしたサービスも活用してはいかがでしょうか。

 

補助金などの支援制度を利用する

自治体から、空き家を活用するための補助金や助成金を支援してもらうのも一つの方法です。
空き家の購入やリフォームなどに対して支援してくれます。支援の内容は、各自治体によって異なるので、利用を検討している方は、所在地の自治体に相談してみましょう。
自治体のウェブサイトから確認することもできます。

 

古い家が見直される時代が到来

 

ヨーロッパでは何百年も前の街並みが残されていることが少なくありません。
その景観を愛し、世代を超えて受け継がれている姿に心が引き付けられます。
しかし日本では新しいものが重宝され、古いものが捨て去られる傾向があります。

 

しかし最近、古いものを再利用する活動が盛んになりました。
空き家の再生もその一つです。古い家には、人が住んでいた温もりがあります。
それは人の心を落ち着かせ、懐かしい思いがこみ上げてきます。この感覚は新築で得ることは不可能です。
また家を再利用することは、資源の節約にもなります。
今のトレンドは温故知新です。
空き家を有効に活用し、新しい価値を創造してください。

 

 

まとめ

空き家の活用方法はたくさんあります。
たとえば、賃貸住宅にしたり、カフェやシェアオフィスにしたり、民泊施設にしたりできます。
他にもトランクルームやガレージ、セカンドハウスとして利用するのも良いでしょう。

空き家の活用を成功させるためには、立地の見極めや補助金などの支援制度の利用が重要です。
また、各銀行では「空き家活用ローン」が商品化されているので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

もし空き家の家財整理でお困りでしたら、ワンズライフにご相談ください。
経験豊富なスタッフが空き家の片付けをお手伝いさせていただきます。
空き家を活用したくても、物が多くて片付けがなかなか進まないという方は、お気軽にお問い合わせください。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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