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実家の売却を考えたとき、やっておくこと、知っておくことまとめ

少子高齢化により空き家が問題になっています。総務省統計局が5年ごとに行っている住宅・土地の統計調査によると、全国の空き家率は増加傾向にあり、平成25年の調査では全国の空き家数は820万戸、空き家率が13.5%と報告しています。空き家を放置しておくと倒壊や犯罪の温床になるため、取り壊したり売却したりするなど、何らかの処分が必要になります。将来的に実家の売却を考えたときに、やっておくこと、知っておくべきことをまとめました。

実家の売却を判断する基準

愛着のある実家を手放すのは寂しいことですが、誰も住まなくなった家をそのままにしておくと、さまざまな問題が生じます。下記のケースに該当する場合は売却などを検討してみてください。

親娘

将来的に「居住誘導区域外」となる可能性がある

政府は2014年に都市再生特別措置法を改正し、市町村に立地適正化計画を求めています。少子高齢化が進む中、住宅を集中させた「居住誘導区域」と、商業施設や医療・福祉施設の立地を促す「都市機能誘導区域」に分け、自動車に頼らないコンパクトな街づくりを整備しています。

立地適正化計画では行政が「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」を選定するため、これまで住んでいた地域であっても自然災害が多発するような地域は「居住誘導区域外」となり、住宅地とするためには基準を満たすことが必要になります。将来的に「居住誘導区域外」となりそうな立地であれば、早めに売却を考えた方がいいでしょう。
自治体の「立適正化計画」については自治体のホームページでチェックできますので、「居住誘導区域」がどうなっているか確認しておくとよいでしょう。

親が住み替えを考えている

住み慣れた家でも、段差が大きく感じたり、階段の上り下りに負担を感じたりするなど、身体の状況と共に暮らしにくさが目立つようになります。坂道が多い、近くに商店がないなど、立地的に高齢者が住みにくい地域もあります。また、高齢者夫婦だけの世帯や独居では、広い家を持て余してしまうこともあるでしょう。戸建ての維持にはお金も体力も必要となるため、家を売却してマンションや老人ホーム、サービス付き高齢者住宅に移り住む人が増えています。親が住み替えを考えている場合、思い切って家の売却を検討してみましょう。
親が認知症になってしまった場合、子どもが勝手に売却はできなくなります。住み替え、売却を考えているなら、終の棲家をどうするか、早めに話し合っておく必要がありますので注意しましょう。

子ども全員に持ち家がある

子ども全員に持ち家があり、今後実家に誰も住む予定がない場合は、将来的には家を売却して親族間で現金を分けたいものです。何年も放置しておくと老朽化などで売れなくなることがありますので、早めに売却の準備をすすめましょう。しばらく賃貸に出す、という方法もありますが、地域的に貸すのが難しいかどうかを見極めることが必要です。

売却を考えたらやっておくべきこと

前述したとおり、親が認知症などになってしまうと子どもが売却をすることはできません。実家の売却を考えたときに早めにやっておくことをまとめました。

チェック

不動産の名義人の確認

不動産が誰の名義になっているかの確認は、権利証が手元にあったとしても正確なことは分かりません。正しい内容を確認するためには、「登記事項証明書(登記簿謄本)」が必要になります。最寄りの法務局に出向くほか、郵送やインターネットで請求することも可能です。不動産の名義を変更する必要がある場合は、司法書士などに手続きの申請を行わなければなりません。費用は実費(固定資産税・住民票戸籍・登記簿謄本の取得費用)+司法書士の報酬で、総額は固定資産税の評価額によって異なります。

境界線の確定

境界線とは隣の家との境のことです。これを取り決めておかないと隣人とのトラブルに発展します。仮に隣地とブロックなどで仕切られている場合でも、ブロック塀が公的な境界線とは限りません。土地の境界線が正確に分からない場合や土地の売却や相続をするなどの場合は、境界線確定測量を行います。境界線確定測量は専門業者が行うほか、司法書士事務所などから仲介を受けることができます。

家財の整理

家を売却するときはもちろん、家の中は空っぽにしておく必要があります。住み替えなら、すべての荷物を持っていくことは難しいでしょうから、不要なものは処分することも必要です。一気にやることはとても難しいので、早めに少しずつ整理していくことをおすすめします。

知っておくべき特例とは?

家の売却は税金の対象となるため、高い値段で家が売れた場合は、思った以上の税金を支払うことになります。しかし条件に合えば、特別に収める税金を軽減することができるのです。

税金イメージ

3,000万円の特別控除

親が住んでいる家を売る場合は、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円控除できる特別控除があります。この特例は要件をクリアする家屋の敷地である場合に適用することができますが、次の場合には注意が必要です。

家屋と所有者と敷地の所有者が異なっている場合

家屋の所有者と敷地の所有者が異なっている場合、原則として敷地の所有者に特例を適用することはできません。ただし、家屋の所有者の譲渡所得が3,000万円に満たない場合でも次の要件を満たしている場合は、控除することができます。

売却するために家屋を取り壊した場合

家屋を取り壊してその敷地を売却した場合は、次の要件をすべて満たしている場合に限り特例の適用を受けることができます。

  • 土地等の譲渡に関する契約が、その家屋を取り壊した日から1年以内に締結されていること
  • 転居の日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること
  • その家屋を取り壊した後譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していない土地等の譲渡であること

住まいの敷地の一部を区分して売却した場合

所有者が居住している家屋の敷地の一部を区分して譲渡した場合、その敷地が家屋の譲渡と同時に行われたものであるときは特例の対象となりますが、当該譲渡が当該家屋の譲渡と同時に行われたものでないときには特例の対象にはなりません。

家屋の一部を売却して、残った部分が独立した住まいと認められる場合

売却した部分については特例を適用することはできません。

長期譲渡所得の軽減税率の特例

居住期間が10年を超える家は「長期譲渡所有の軽減税率の特例」が適用されます。3,000万円の特別控除同様に利益が出ていて、譲渡所得を支払わなければならない人にとってメリットがある制度です。適用には税務署で確定申告しなければなりません。また3,000万円の特別控除と長期譲渡所得の軽減税率の2つの特例は併用可能です。施設入所などにより現在は居住していなくても、住まなくなった日から3年間の年末までに売却すれば特例を利用することができます。

取得費加算の特例

相続により引き継いだ家を亡くなった日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、「取得費加算の特例」が適応されます。この特例では相続した人が支払った相続税のうち、売却した家に対応する部分の相続税を取得費に加算することができます。不動産を売却したときの税率は20%ですので、取得費に加算することができる金額の20%もの税金を削減できます。

空き家を放置することはデメリットしかありません

少子高齢化により家の需要は低下の一途を辿っています。空き家を維持するだけで年間平均45万円以上もかかると言われる上に、国が危険な空き家と認定した場合、固定資産税が6倍にも跳ね上がるだけでなく、「50万円の罰金が課される」、「国が強制的に実家を解体するため、数百万円の解体費用を強制徴収される」、「広報紙上で危険な空き家を放置したとして実名・住所が公表される」などのペナルティが課せられます。実家をどうするかは、早めに話し合っておくことをおすすめします。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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