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2025.07.11

【弁護士監修】2025年10月改正予定「住宅セーフティネット法」を解説

2025年10月より施行予定の「改正住宅セーフティネット法」。入居支援や契約手続きがより柔軟になり、住宅を提供する側・利用する側の双方にとって負担や不安が減ることが期待されます。
この記事では、住宅セーフティネット法の改正ポイントについてわかりやすく解説します。

監修:弁護士 峯岸優子先生

 

住宅セーフティネット法とは

住宅セーフティネット法とは、正式名称を「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」といいます。高齢者や低額所得者、障がいのある方など、住宅の確保が難しい方々(=住宅確保要配慮者)が安心して賃貸住宅に入居できるように支援するための法律です。

現行の住宅セーフティネット制度は次の3点を柱としています。

1. 要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
2. 登録住宅の改修・入居への経済的支援
3. 要配慮者のマッチング・入居支援

これらの取り組みを通じて、住宅確保が困難な要配慮者と、賃貸住宅を提供する大家の双方を支えることが目的です。

住宅セーフティネット法〜2025年10月の改正ポイント

2024年5月に「改正住宅セーフティネット法」が成立し、2025年10月より施行される予定です。

単身世帯の増加や持家率の低下により要配慮者の賃貸ニーズが高まる一方、孤独死や死亡後の残置物処理などへの不安から大家が入居を敬遠する傾向があります。こうした課題を解消し、大家と要配慮者の双方が安心して利用できる環境を整備するために、住宅セーフティネット法の改正が行われました。

2025年10月からの主な改正ポイントは次の5点です。

1. 終身建物賃貸借の利用促進
2. 居住支援法人による残置物処理の推進
3. 家賃債務保証業者の認定制度の創設
4. 居住サポート住宅の創設
5. 地域の居住支援体制の強化

具体的な改正内容について以下で詳しく解説します。

1. 終身建物賃貸借の利用促進

終身建物賃貸借とは、貸借人が生存する限り継続し、亡くなった時点で終了する賃貸借のことです。今回の法改正では終身建物賃貸借の認可手続きが簡単になり、現行の「住宅ごとの認可」から「事業者の認可」へと変更されます。対象となる住宅は実際に終身建物賃貸借契約をするときまでに届出すればよく、これまでよりも事業者の手続きの負担が軽減されます。

2. 居住支援法人による残置物処理の推進

入居者が亡くなったり突然退去したりした場合に問題となる「残置物」について、改正後は居住支援法人が受任者として残置物処理を実施できます。これは、あらかじめ貸借人と受任者との間で委任契約を結んでおくことで、貸借人が亡くなった後に受任者が賃貸借契約の解除と残置物の処理を行えるようになるというものです。通常、受任者は「賃借人の推定相続人」が想定されますが、これが困難な場合には居住支援法人や管理業者などの第三者を受任者とすることができます。

出典:国土交通省HP改正法 概要リーフレット『大家さん・居住支援に携わる事業者の皆様へ』

 

なお、残置物処理の委任契約については、国土交通省が策定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を活用します。

3. 家賃債務保証業者の認定制度の創設

新たに創設される「認定家賃債務保証業者制度」は、一定の認定基準を満たす家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度です。入居者の家賃滞納に困らないようにするための仕組みであり、JHF(住宅金融支援機構)の保険によって要配慮者への保証リスク低減が図られます。

4. 居住サポート住宅の創設

今回の法改正では、大家と居住支援法人が連携して入居者をサポートする「居住サポート住宅」が創設されます。これは、訪問による見守りやICTを使った安否確認を行い、支援が必要と判断した場合には個々に必要な福祉サービスへとつなげるものです。たとえば、高齢者であればホームヘルプやデイサービス、ひとり親家庭であれば自立支援員による相談・助言などが受けられるように働きかけます。住まいの提供に加えて生活面の支援も行うことで、要配慮者が安心して暮らせる環境づくりが進められます。

5. 地域の居住支援体制の強化

市区町村による「居住支援協議会」の設置を促し、地域全体で要配慮者の住まいを包括的に支援する体制が進められます。居住支援協議会とは、地域の居住支援体制を整備するために、地方公共団体と関係者・団体が協議を行う場です。住まいに関する相談から、入居前・入居中・退去時のサポートまで、住宅と福祉の関係者が連携して支える仕組みが各地域で強化されます。

参考:住宅セーフティネット制度|国土交通省

まとめ

2025年10月から施行される予定の改正住宅セーフティネット法では、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる環境づくりと、賃貸住宅を提供する大家の不安を軽減するための制度が規定されています。高まる賃貸ニーズに対応し、住宅確保に困らない社会を実現するために、住宅と福祉が連携した包括的な体制が整備されつつあります。

遺品整理・生前整理のワンズライフは、遺品整理士認定協会より「優良事業所」として認定されている企業です。相続に関するご相談はもちろんのこと、提携する弁護士や司法書士、行政書士などもご紹介できます。残置物の処理でお困りでしたら、ワンズライフまでお気軽にお問い合わせください。

 

監修:弁護士 峯岸優子先生

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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