2020.07.22
エンディングノートを書く人が増えない意外な理由
エンディングノートとは、自分の身にもしものことが起こった時に備えて、家族や周りの人に伝えたいことを書き留めておくノートのことです。
最近は「終活」という言葉がメディアや映画の影響で普及したことから、エンディングノートにも関心を寄せる人が増えました。
しかし、実際にエンディングノートを書く人は意外と少ないことをご存知でしょうか?
そこで今回の記事では、エンディングノートを書く人が増えない理由について詳しく解説します。
エンディングノートを書くためのコツや、年代別のおすすめの活用方法もご紹介します。
エンディングノートを書く人は意外と少ない
地方経済総合研究所のアンケート調査によると、エンディングノートを「知っている」もしくは「聞いたことはある」と答えた人は、全体の77.5%にのぼりました。(50歳以上の男女を対象)
一方、エンディングノートを「知っている」「聞いたことはある」人に対して作成状況を尋ねたところ「すでに作成している」と答えた人はわずか3.7%にとどまっています。
このように、エンディングノートについて知っている、あるいはすでに持っていても、実際に書いている人は少ないということがわかりました。
エンディングノートを書く人が増えない理由
では、なぜエンディングノートを書く人は増えないのでしょうか?その理由を考えてみましょう。
理由①:気力やモチベーションが続かない
本屋などで販売されているエンディングノートは、値段もページ数もさまざまです。
自分自身の考えを書く部分もあれば、銀行口座や親族の連絡先など、事務的な項目もあります。
全ての項目を埋めるには時間と手間がかかるため、始めから細かく丁寧に書こうとすると面倒になってしまう人も多いのです。
その結果、気力やモチベーションが続かなくなってしまい、エンディングノートを書くのをやめてしまいます。
理由②:締め切りがない
エンディングノートは「いつまでに書くべき」というタイミングや年齢が決まっておらず、思い立った時に書き始めることができます。
ただ、締め切りがないことで「いつか書こう」と記入が先延ばしになり、そのまま保管したまま……という人もいるのではないでしょうか。
また、終活を始めるにあたってエンディングノートを購入したものの、いざノートを開いたら思ったより書く項目が多くて億劫になってしまった、という人もいます。
理由③:自分にはまだ必要ない
高齢者でも、健康に問題がない人にとって「自分の最期」というのは遠い先の話で、現実味がないという意見もあります。
まだ自分の遺志を整理できていないため「何を書けばいいかわからない」という人も多く、いつか書こうと考えているうちに年月が経ってしまった、というケースも少なくありません。
理由④:自分または親の死を意識したくない
誰しも、自分の最期というのは受け入れがたいものです。
「自分がいなくなったら残された家族はどうなるのか」「親がいなくなってしまったら」など、死について考えると不安や恐怖でいっぱいになる人も多いでしょう。
「死」を連想するため終活に対して前向きな気持ちになれない、というのも、なかなかエンディングノートを書き始められない理由のひとつです。
エンディングノートを書くコツ
先ほどご紹介した4つの理由を踏まえ、ここでは、エンディングノートを書き続けるためのコツを解説します。
書きやすい項目から書く
1ページ目から順番に書こうとすると、書きにくい項目があった時に挫折してしまいます。
ノートの内容を一通り見て、書きやすそうな項目から記入していきましょう。
空欄があったり書いている途中の項目があったりしても、あまり気にする必要はありません。
自分の考えがまとまってから書いていけばよいですし、内容によってはすぐに書く必要がない場合もあります。
エンディングノートは、家族にとって必要な情報が記入されていることが大切です。
「すべての項目を埋めなければ」と気負うのではなく、まずは気楽に書いてみましょう。
今の気持ちを書いてみる
なかなか筆が進まないなら、とりあえず今の気持ちを書き出してみる方法がおすすめです。
遺言書や遺書と違い、エンディングノートには法的効力が存在しません。
そのため、書き方や様式に決まりはなく、書く内容も自由です。
文章を書くのが苦手な人は、事務的な項目は後回しにして、家族へのメッセージから書いてみるのもよいでしょう。
エンディングノートは修正や書き直しをしても構いません。始めから「きれいに書かないと」と思わず、自分がまとめやすい形で書くこともポイントです。
一度で書き終える必要はない
エンディングノートは、一度ですべて書き終える必要はありません。
完結させようと内容をまとめると、書きたいことが思うように書けない可能性もあります。
書き切ることを意識せずにエンディングノートを作っていくことも、気軽に続けるためのコツです。
また、5年、10年と年月が経てば、自分の経済状況や気持ちは変わっているかもしれません。
一度書いて終わりではなく、定期的にノートを見直して、内容を書き足したり修正したりするとよいでしょう。
誕生日やお彼岸、年末年始など、エンディングノートを見直す日を自分なりに決めておく方法がおすすめです。
【年代別】エンディングノートのオススメ活用方法
エンディングノートは、書く人の年代や状況によって、取り組み始めにちょっとした工夫が必要です。
ここでは、20~60代以降の年代別に、オススメの活用方法をご紹介します。
20代は「将来の目標ノート」として
20代は、学生から社会人への転換期です。
終活は、早めに始めるに越したことはありません。
一人でゆっくりと考える時間を取り、これからの将来の目標や、どんなことに取り組みたいかなどを考えてみましょう。
終活を目的として書くだけでなく、将来の目標ノートとしても活用するのもオススメです。
30代は「資産管理ノート」として
30代は、結婚して家族が増えたり職場での立場が変わったりと、ライフスタイルが大きく変化する人も多いのではないでしょうか?
子どもの教育費、住宅ローン、老後資金など、お金が必要になってくる時期でもあります。
終活の一環でエンディングノート書くのはもちろん、資産管理用のノートとして活用するのもオススメです。
書き方がわからないという場合は、ファイナンシャルプランナーに相談してから記入してみるのもよいでしょう。
40代は「老後の生活設計ノート」として
40代は介護保険の支払いもスタートし、老後の生活について考え始める時期でもあります。
まだ終活を始めていないなら、老後の生活設計を兼ねてエンディングノートを書いてみるのもよいでしょう。
お墓や葬儀、相続のことなどを学べる「終活セミナー」では、エンディングノートの書き方講座もあります。
人生のターニングポイントを機にセミナーに行って、終活に関する知識を身につけておくのもオススメです。
50代は「セカンドライフ準備ノート」として
50代は、ご自身の定年退職や両親の介護について考え始める時期ではないでしょうか?
体調の変化が起きやすい年代でもあり、50代で終活を始める人は少なくありません。
もしものことが起こった時に備えてエンディングノートを書いておくほか、人生のセカンドライフ準備ノートとして活用するのもオススメです。
「親にも終活を始めて欲しい」と考えている場合は、ご両親と内容を確認しながら一緒にノートを書いてみるのもよいでしょう。
60代以降は「自分史ノート」として
60代以降は第二の人生がスタートし、セカンドライフを楽しんでいる人も多いのではないでしょうか?
まだまだ心身ともに健康であっても、急な病気や持病の悪化などで、エンディングノートが必要になる場面があるかもしれません。
家族を困らせないためにも、自分自身のためにも、終活を始めてみましょう。
お墓や葬儀といった死後の希望のほか、これまでの人生を振り返る自分史ノートとして活用するのもオススメです。
書き方がわからないなら、家族に手伝ってもらって書くのもひとつの手です。
ノートを書いているうちにやり残したことや今後の目標が見え、第二の人生をより有意義に過ごすツールとしても役立つでしょう。
まとめ
日本人は真面目で勤勉なため、一度で完璧なエンディングノートを書こうとする傾向がみられます。
そのため、いざエンディングノートを書こうとした時に億劫になってしまい、結局書けないままになっているという人も多いようです。
「きれいに書こう」「完璧に書こう」と難しく考えず、もっと気楽に構えてエンディングノートを活用してみましょう。
以下のコラムでは、エンディングノートを家族に残すメリットや書き方、ノートの選び方などを詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【関連記事】エンディングノートとは何?メリットやオススメの選び方と書き方を解説
おすすめ記事