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2021.02.03

銀行口座はどうする?終活での預金整理について解説します

終活で取り組む内容は数多くありますが、その中でもできるだけ早めに取り組んでおきたいことのひとつが「預金整理」です。銀行口座の整理をしておくと、いざという時に家族が手続きで困らない、ご自身もお金の管理がしやすくなるといったメリットがあります。しかし、“銀行口座を整理する”といっても「何をしておけばいいのだろう?」と具体的な進め方がわからずお悩みの方もいるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、終活で銀行口座を整理しておくメリットについて詳しく解説した上で、預金整理の進め方やポイント、お金の整理以外にも終活でやっておきたいことについてご紹介します。

 

 

終活とは

終活という言葉は、平成21年に発売された、週刊朝日の「現代終活事情」というコラムの中で初めて登場しました。
その後、急速に終活という言葉は普及しましたが、当初は葬儀の生前予約やお墓の購入など、“人生の終焉に向けての準備”という少し暗いイメージがありました。
しかし、最近は平均寿命が延びたことや、病院で人生の最期を迎える人が増えたことで医療や介護について考える人が増えたなどの影響もあり「人生の終焉について考えることを通して、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動(終活カウンセラー協会より)」と定義が見直され、死後だけでなく、今後の人生のための前向きな活動を意味するようになりました。

 

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終活で預金整理をしておいた方が良い理由

終活で行う内容のひとつに、銀行口座の整理をする「預金整理」があります。
では、なぜ終活では預金整理を行った方が良いのでしょうか?ここでは、預金整理の必要性と、得られるメリットについて解説します。

 

家族への負担を軽減できるため

銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結され、引き出しや預け入れ、振り込みなどもできなくなってしまいます。
凍結を解除したい場合は家族や相続人が銀行の窓口で手続きを行うことになりますが、必要書類を揃える手間もありますし、複数の金融機関に口座を持っているといくつもの銀行をまわらないといけないため大変です。

 

お葬式の後は、お世話になった方への挨拶まわりや公共料金の名義変更、役所への手続きなど、遺族がやることは数多くあります。
終活を機に預金口座を整理しておくと凍結解除手続きにかかる時間や手間が減らせるため、家族への負担も軽減できるでしょう。

 

家族や親族間の相続トラブルを防止できるため

たとえば、ご自身が亡くなった後や、病気などで意思が自由に伝えることができなくなった時に、長年使っていなかったあなた名義の口座が見つかったとしましょう。
そして、その口座に残高が多く残っていれば、遺産の配分をめぐって家族や親族間でトラブルが起こってしまうかもしれません。

 

終活で自分の持っている口座の数や預貯金の総額を把握しておくと、亡くなった後に家族が故人の銀行口座をひとつひとつ調べる手間も省けます。
さらに、新たな口座が見つかって遺産相続のトラブルが起こるという事態も防ぎやすくなるでしょう。

 

お金の管理がしやすくなるため

銀行口座を複数持っていると、どの口座に毎月いくら預け入れがあり、どの口座からお金が引き落としされているのかがわかりにくくなってしまうことがあります。
終活で預金口座を整理して、“貯金用の口座”、“引き落とし専用の口座”といった風に使い分けをすれば収支の把握が簡単になって、預貯金の管理がしやすくなるでしょう。

 

また、毎月の黒字もしくは赤字額が明確になるので「食費の見直しをしてみよう」「〇歳までにあとどれくらい貯金額を増やせるか」など、これからの人生や老後の具体的なマネープランが立てられるというメリットもあります。

 

銀行口座の整理方法

「預金口座を整理する」とは、具体的に何をすれば良いのでしょうか?
ここでは、預金整理の具体的なやり方をご紹介します。

 

保有している口座の一覧表を作成する

まずは、持っている口座のキャッシュカードや通帳をすべて集め、一覧表を作成しましょう。
遺産相続の時は、故人に遺産がどれぐらいあるのかを確認するために、遺族はすべての口座や残高を調べる必要があります。
そのため、口座情報をあらかじめ表にまとめておくと、口座を探す手間が省け、家族はスムーズに手続きを行うことが可能です。

 

表には、銀行名、口座番号、支店名、預金の種類、残高などを書きます。
暗証番号は、ほかの人が見たときのことや盗難などのリスクを考えて書かないでおくか、家族だけがわかるヒントを書き記しておく方が安全です。

 

一覧表が作成できたら、使用用途ごとに口座を振り分けていきましょう。
表に「給与振り込み口座」「クレジットカード引き落とし用」と書き込んでいくと振り分けがスムーズです。
その中で、複数の口座で引き落としが行われているという場合は、同じ口座にまとめられるかどうかを検討します。

【関連記事】クレジットカードの整理~終活で気をつけるべきポイント

 

家族に保管場所を伝えることも大切

作成した一覧表は、家族に保管場所を伝えておくと、万が一のことがあったときでも家族がスムーズに口座の情報を確認できて安心です。
一覧表と通帳、印鑑類を同じ場所に置いておくことに不安を感じる方は、それぞれ保管場所を分け、家族にその旨を伝えておくのが良いでしょう。

 

使う予定がない口座は解約の必要性を検討

2018年に施行された「休眠預金等活用法」により、10年以上使っておらず名義人に連絡が取れない口座については、民間公益活動に活用することを目的として、国が徴収できることになりました。
また、金融機関や預金の種類によっては、口座を保有していると手数料として費用がかかるものもあります。
そのため、開設したもののまったく使っていない口座や、利用頻度の低い口座については、終活を機に、解約の必要性があるか検討してみるのがおすすめです。

 

また、定期預金の口座にお金を預けている人は、解約や普通預金へ移動する必要があるかも検討してみましょう。
病気や事故で大きな金額のお金が必要になったとしても、本人が窓口に行けないということであれば定期預金から引き出すことができず、困ってしまうというケースも考えられます。
解約をすると不都合が生じるということでなければ、この機会に解約をして普通預金に預け入れておいた方が良いかもしれません。

 

口座の解約手続き方法

口座の解約は、銀行の窓口に行って手続きを行います。
持ち物は、届け印、通帳、キャッシュカード、本人確認書類です。
銀行によっては、WEB上で取引をする際に使用する契約者カードが必要となることもあるため、窓口に出向く前に金融機関のホームページで手続き方法を確認するか、電話やメールで問い合わせておく方が良いでしょう。
キャッシュカードや通帳を紛失してしまった場合は、解約の前に再発行の手続きを行います。

 

口座の名義人の住所や連絡先に変更がないか確認しておく

一覧表を作成し、解約する口座と残しておく口座を振り分けたら、金融機関に届けている住所や名前、連絡先が最新の情報になっているか確認しておきしょう。
なぜ住所や連絡先の変更が必要かというと、一部のサービスに利用が制限されることがあるからです。
たとえば、ATMで限度額以上の出金をするときは「取引時確認」といって、住所確認を行います。
その際、住所変更をしていない状態だとすぐにお金を引き出すことができず、急にまとまったお金が必要なときに困るかもしれません。
また、金融機関からの連絡や大切なことをお知らせする郵便物も届かなくなってしまう可能性があります。

 

以前は、通帳を開いた最初のページに登録した個人情報が記載されていたのですが、最近は、故人情報保護の観点から、住所の記載がないものが中心になっています。
そのため「引っ越しをした後に手続きをしたか覚えていない」「連絡先を長い間変更していない」と不安に思う方は、一度金融機関に問い合わせてみた方が良いでしょう。

 

ネット銀行の口座整理も忘れずに行う

預金整理のときに忘れずに行いたいことのひとつが、ネット銀行の口座の確認です。
ネット銀行は、入出金、振込、振替といった各種手続きをインターネット上でできる便利さや、オンライン上で口座開設ができるという手軽さから、近年急速に普及してきています。

 

ネット銀行では通帳を発行していないケースが多く、お金の管理をオンライン上で行うことから、本人以外の家族が口座の存在を知ることができない可能性も考えられます。
もし家族が知らない口座をFXや証券取引に利用していて本人が亡くなった場合、いつの間にか損失が増えてしまうということも起こりかねません。

 

そのため、預金整理のときは、従来型の銀行で開設した口座+ネット銀行の口座を持っているかについても確認し、合わせて一覧表に情報を記載しておきましょう。
なお、オンラインバンキングでは、個人情報漏洩を防ぐことを目的として、ログイン時にIDやパスワード、場合によっては第二パスワードの入力が必要です。
金融機関名、口座番号と一緒に、これらのログイン情報も一覧表に記入しておくことをおすすめします。

 

【関連記事】デジタル終活の進め方!スマホやパソコンの整理方法

 

終活で預金整理以外にしておくことは?

一口に「終活」といっても、その活動内容は多岐に渡ります。
預金口座以外には、何を整理しておくと良いのでしょうか?
ここでは、終活準備としてやっておきたいことと、進め方のポイントについてご紹介します。

 

預貯金以外の財産の整理

終活の一環に「生前整理」という活動があります。
生前整理とは、家族や親族間の相続トラブルを防ぐことを目的として、生きているうちに財産関係を整理しておくことをいいます。
“財産”というのは、資産価値のあるものすべてです。
現金や預貯金以外に、骨とう品や美術品、貴金属、車、仮想通貨やFXの残高なども財産に含まれます。

 

生前整理をして財産の総額を明確にしておくと、家族がひとつひとつの財産について調べる手間も省け、相続の手続きもスムーズに進むでしょう。
また、財産の整理をしておくと、誰にどんな財産を相続するかを考えやすくなり、遺言書の作成時にも役立ちます。

 

財産整理のやり方

終活で財産の整理を行うときは「財産目録」というリストを作成しておくと、相続の対象となる財産がどれぐらいあるのかを把握しやすくなります。
財産目録には、プラスの財産だけでなく、ローン残高や未納の税金といったマイナスの財産についても記載しておきましょう。
そうすることで、相続税の計算や遺産分割協議、財産放棄をするかどうかの話し合いがしやすくなります。

 

財産整理のやり方については、こちらのコラムの「財産整理の具体的な進め方」の章で詳しく解説しています。

 

【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート1

 

物の整理

家族が亡くなり、故人の遺品を整理する作業のことを「遺品整理」といいます。
家の中が荷物であふれていると、亡くなったあとの遺品整理に時間がかかり、家族への負担が大きくなってしまうでしょう。
また、荷物が多い部屋で生活をしていると、地震などの災害時に物が落ちてきたり、つまずいて転倒したりするかもしれません。
終活を機に、いらないものと必要なものを仕分けし、生活空間をすっきりさせておくことをおすすめします。

 

物の整理のやり方

荷物の整理の進め方の手順を、以下に箇条書きでまとめました。

 

① 片付ける部屋の順番を決める
② 荷物を「必要な物」と「いらない物」に仕分ける
③ いらない物を「売る物」と「処分する物」に仕分ける
④ 必要な物を整理整頓していく

 

荷物の整理の進め方については、こちらのコラムの「『生活空間の整理』の具体的な進め方」の章で詳しく解説しています。

 

【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート2

 

お墓や葬儀の用意

生前にお墓を用意しておくと、亡くなった後に遺族が霊園を探さなくて済みますし、墓石のデザインや場所を自分で決めることができます。
葬儀についても、生前にプランや形式を葬儀社と相談して決めておくと、ご自身の希望に沿った式を執り行うことができるでしょう。

 

エンディングノートの作成

エンディングノートとは、過去の振り返りや、今後の目標、医療や介護の希望、家族へのメッセージなど、自分のことや人生に関するあらゆる内容を書き記せるノートです。
様式に決まりはありませんので、かしこまった文章で書く必要もなく、自分の言葉でメッセージを掛けるというメリットがあります。
また、ノートはどんなものを使っても大丈夫ですので、書店で購入したりするほか、お手持ちのノートを使用する方もいます。
最近では、インターネット上でテンプレートが配布されているものもあるので、そちらを活用するのも良いでしょう。

 

エンディングノートに書いておく内容は?

エンディングノートには「これを書いておくべき」というような決まりはありません。
ご自身の身に何かが起こったときの備えとしては、生年月日や戸籍、マイナンバー、といったご自身の個人情報、加入している保険の内容、ペットのお世話のことや、医療・介護についての希望、お葬式やお墓についての要望などを書いておくと良いでしょう。

 

先ほど、預貯金口座の見直しを行う際は一覧表を書くと整理がスムーズに進められることや、そのほかの財産を整理するときについても目録を作成するのがおすすめであることをお伝えしました。
こういったリストをエンディングノートにまとめて作成しておくと、すべての情報が1冊で管理できるので、終活を進めやすくなるのではないでしょうか。

 

【関連記事】エンディングノートとは何?メリットやオススメの選び方と書き方を解説

 

空き家整理

「親や親族から土地と家を相続したが誰も住む予定がない」「引っ越しをして、以前住んでいた家が空き家のままになっている」といった不動産を所有している人は、終活を機に「空き家整理」をしておきましょう。
空き家は、きちんと管理をしていないと老朽化や倒壊、不法投棄などのリスクもあります。
それに、もし空き家を所有したまま亡くなってしまうと、誰が相続をするのかについて親族間でトラブルが起こるかもしれません。
生前に相続をしておくのか、それとも売却をしておくか、賃貸に出して家賃収入が得られるか調べるなど、元気なうちに対策を講じておくことをおすすめします。

 

【関連記事】実家の売却を考えたとき、やっておくこと、知っておくことまとめ

 

いずれの方法を選ぶにしても、まずは家財の片付けや清掃が必要となりますが「遠方のためなかなか現地に出向くことができない」「家財の量が多くて自分では片付けるのが困難」といった事情から、空き家整理が進まない人というお声をよく耳にします。
そういったときは、空き家整理を代行してくれるプロの整理会社にサポートを依頼するのもひとつの選択肢です。

 

当社ワンズライフでも、空き家整理のご依頼やご相談を受け付けております。
空き家の家財の片付けや清掃はもちろん、士業の先生方と業務提携しておりますので、売却や相続についてのご相談も可能です。
空き家の整理についてお悩みの方は、ワンズライフにお気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

生きている間も、亡くなってからも、何かとお金はかかります。
終活で預貯金口座の整理をしておくと、ご自身の今後の資金計画を立てる際にも役立ちますし、もしものことがあったとしても家族が解約や相続の手続き進めやすくなるため、お金に関しての不安を解消することにつながるでしょう。
金融機関への手続きは、名義人であれば比較的スムーズ行うことができます。
複数の口座を使っている人はひとつにまとめられるか検討したり、もう使わない予定の口座があれば解約したりして、預金口座の棚卸しをしておくのがおすすめです。

 

終活では、預金整理以外にも、荷物の整理やお墓・お葬式の用意、空き家の整理など、やっておきたいことがたくさんあります。
荷物の整理には体力を使いますし、お墓の購入やお葬式の用意なども下調べにはある程度時間を要しますから、気力・体力ともにしっかりとしている間に取り組んでおいた方が良いでしょう。

 

ワンズライフでは、遺品整理や空き家整理のほか、長期の入院や施設への入所、認知症などによってご自身で財産の整理を行うことが困難な方の生前整理代行も承っております。
現在元気な方は、終活のひとつとして、こういった生前整理や空き家整理サービスについて知識を持っておき、信頼できる企業を探しておくと、いざという時に役立つのではないでしょうか。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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