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2017.10.18

遺産分割協議とは?概要や方法の解説

貴方の親御さんがお亡くなりになったと仮定してみましょう。葬儀も終わってひと段落したとき、遺言書を探してみましたが、家の中にはありません。公証役場に問い合わせてみても、作成していないとのことでした。相続財産はわかっています。
このような場合、一般的には、遺産分割協議を行い、成立したら遺産分割協議書を作成することになります。この記事では、遺産分割協議の概要や注意点、分割方法についてわかりやすく解説していきます。

遺産分割協議の概要と流れ

遺産分割協議の流れ

遺言書がなく、相続人が複数存在する場合、遺産の分け方を決める遺産分割協議を行うことが一般的です。

協議が無事成立した場合、遺産分割協議書を作成します。

ではなぜ、遺産分割協議書を作成するのでしょうか。遺産分割協議書を作成した場合のメリットをいくつか挙げてみます。

 

  • 個人名義の金融機関からの引き出しが楽に行えます。遺産分割協議書があれば、原則、相続人全員で金融機関に行かなくても遺産分割協議書で自分に割り当てられた預金は引き出せます。
  • 土地建物の不動産の登記名義を共有にしなくて済みます。土地や家を3人や4人で共有すると固定資産税の問題や、改築修繕や売却時など、また将来発生する相続問題時などの手続きがとても煩雑になります。遺産分割でこの土地は誰のものと分けておけば、このような問題が解決されます。

 

金融機関は、自社の書式にも記載してくださいと、全員分の署名、実印の捺印を求めることが多いので注意が必要です。その場合は、一度書類を持ち帰って他の相続人に署名押捺をしてもらいましょう。遠方の親戚でしたら、いくつかの金融機関をまとめて送付して署名、押捺を求めれば手間がかからず便利です。金融機関によっては全員分の印鑑証明の原本を回収しますというところがありますが、原本還付でお願いしますと交渉してみても良いでしょう。そうでなければ印鑑証明を多数用意しなくてはいけなくなります。

 

では、不幸にして遺産分割協議が不成立となったらどうなるでしょうか。この場合は、調停などの裁判手続きを進めていくことになります。

 

遺産分割協議を行う上での注意点

相続人だけで協議を進めていき、まとまりそうなら良いのですが、うまくまとまりそうにないときは、弁護士、司法書士、行政書士など第三者のプロにまとめてもらう手もあります。

相続人だけで協議を進めると、声の大きな方の意見が本人の意思に関係なく通ってしまう傾向にあり、後に禍根を残すこともあります。そのようなことを防止する意味でも専門家に入ってもらうことは良いことだといえます。

相続人だけで行う場合は、以下のことに注意しましょう。

 

法定相続人全員が参加しないと無効になる

遺産分割協議は相続権を持つ遺族全員が参加をしないと無効となります。ただし、協議に参加しなくても、協議内容に同意すれば問題ありません。遺産分割協議書に署名し、実印を押せば有効になります。

ここでいくつか個別のケースについてご説明いたします。

 

相続人の中に相続放棄をした方がいる場合

相続放棄の手続きを行った方は、初めから相続人ではなかったことになりますので参加しなくても問題ありません。相続放棄には代襲相続はありませんので相続放棄者の子供にも相続権はありません。気を付けることは、口だけで放棄しますといっただけでは相続放棄をしたことにはなりません。きちんと裁判所での手続きをした方のみが対象となります。

 

相続人の中に未成年や認知症の方がいる場合

未成年者の方がいる場合、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらいます。通常子供の代理人は親となりますが、相続に関しては利益が相反しますので親は代理人となれません。

認知症の方がいる場合には、家庭裁判所に成年後見人選任の申し立てを行います。その際には医者の診断書も必要です。これを怠ると、将来に分割内容に不満を持った相続人から遺産分割協議の無効を主張される可能性があります。遺産分割協議のときには円満に話が進んでいても、あとになって分割内容に不満を持たれる方が出てくることは珍しいことではありません。

特別代理人や成年後見人が決まったら、その方々が遺産分割協議に参加します。

 

行方不明者がいる場合

家庭裁判所で、不在者財産管理人を選任してもらいます。不在者財産管理人が遺産分割協議に参加して協議書を作成します。不在者のものになった財産は、不在者が現れたときには、その者に渡されます。不在者に失踪宣告がくだされた場合や、死亡したときには、不在者の相続人に、財産が引き継がれることとなります。

 

【関連記事】法定相続人とは?誰がどのくらい相続できるのか知っておこう

 

寄与分を考慮する

寄与分とは、共同相続人の中で以下に該当する方が対象となります。

  • 被相続人(財産を残した方)の財産の形成に関わった方、共に事業を行っていた親族など
  • 被相続人の看病をしていた方などの他、生活資金の面倒を見ていた方。

 

このように、被相続人の財産の維持、増加に寄与した方がいる場合、共同相続人の協議において相続財産から先に寄与分の財産を控除します。控除された額を差し引いた財産を遺産分割協議で分配した後、寄与したものの相続財産に、先に控除した相続財産を上乗せするという形になります。

 

特別受益分を考慮する

特別受益とは、寄与分とは逆の定義となります。被相続人の生前に、結婚したからとか、住宅を建てたなどの理由で、財産の贈与を受けていた場合に考慮されるものです。遺産分割協議時の考慮の仕方としては、相続人の総財産に特別受益分の財産を加えて遺産分割協議を行い、特別受益を受けていた者の相続分の配分に特別受益の額を充当という形になります。

 

遺産分割の方法

相続権のある親戚が集まって遺産分割協議を始めても、お互いの遠慮もあってなかなか話が進まないこともあります。誰かが議長になって協議を進めるのもいいでしょう。また、協議の進み具合によって相続財産の分割方法を考えていきましょう。以下に、その分割方法をご説明いたします。

 

現物分割

現物分割

遺産をそのままの形で分割する方法です。つまり、一筆の土地や建物などの不動産、有価証券を共有せずに、一つ一つ相続人に分割していきます。遺産分割協議時に額面の価格の調整が難航しやすいですが、共有と違い財産の処分時などに問題が起きにくい方法です。

 

代償分割

代償分割

相続財産が不動産しかない、高価な骨董品しかないなどの場合に有効な方法です。

特定の相続人が家屋や農地などの財産を相続して、その方が他の相続人に金銭などで代償金を支払う方法です。

相続人の一人が単独で住居に住み続けるとか、農家を継いだ方が農地と農機具すべて相続するなどのときに活用できます。

 

換価分割

換価分割

相続財産が不動産しかない、高価な骨董品しかないなどの場合に有効な方法です。

相続財産を売却して金銭に換価してその金銭を法定相続分か、遺産分割協議で決められた割合で相続人で分割する方式です。

 

共有分割

共有分割

不動産などの分割で協議がうまく進まないときなどによく使われる方法で、財産を法定相続分や、遺産分割協議で決めたとおりの配分で共有化する方式です。

デメリットとして、建物の修繕や、賃貸に出したり処分したりするときに共有者の間で話し合いが必要となります。法律上は保存行為には承諾はいりませんが、修繕費用の問題が個人間で起きたりしますので注意が必要です。

将来、共有者の死亡により相続が発生したときに、更に共有財産の分割がおこり権利関係が複雑になります。

 

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書を作成することにより、分割内容を確定できます。それにより、将来のトラブルを防止することができ、法務局や、金融機関での手続きの簡素化が行えます。

 

まとめ

やっとの思いで遺産分割協議書を作成しても、誤った方式で作成して遺産分割協議書が無効になったりすることもあり、細心の注意が必要です。実印押捺の前に何度も見直し誤字脱字をなくしましょう。

分かっているつもりでも、相続財産を再度しっかり確認しましょう。銀行口座もきちんと確認しないと、同じ銀行で2つの通帳があった場合や、総合口座の定期の部分を見落としていたりして、記載されていないものがあると、銀行から相続人全員の実印を押した新たな書面提出を求められます。不動産も市の税務課からの情報だけでは他市の不動産が発見できない可能性もあります。他市の不動産が後に発見されることも実際にあります。トラブル防止のため遺産分割協議書を作成する前の財産調査はしっかりと行いましょう。

円滑な遺産分割を行うためにこの記事が参考になれば幸いです。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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