2018.07.17 (2021.01.21 One's Ending編集部 加筆)
芸能人・有名人の終活に学ぶ!いつから始める?自分らしい終活とは
芸能人・有名人の間で、終活をしていることを公表する人が増えてきました。
ある人は病魔と闘いながら自分らしく生きるための目標として、ある人は自分が亡くなった後を想定して、元気なうちから終活を始めています。
芸能人・有名人がメディアで公表したりテレビ番組の企画で紹介されたりなど、メジャーな活動になってきた終活ですが「そもそも終活とは?」「いつから始めればいいの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、芸能人・有名人の終活の取り組みと、終活を始める時期、具体的なメリットについて解説します。
終活とは?
終活とは「人生の終焉のための活動」を省略した言葉です。
具体的な活動内容としては、財産や持ち物の整理、お墓、葬儀の準備などが挙げられます。
終活を行う目的のひとつは、自分の死後に家族や親族に迷惑を掛けないことです。
ただ、最近では「自身の最期を考えることを通して、さらに充実した人生を過ごすこと」を目的として、家族だけでなく、自分のために終活を始めるという考え方が広がってきています。
【関連記事】終活の意味とは?いつから始める?おすすめのやり方とメリット
終活準備をする人が増えた理由とは?
かつて日本では、死に関する話はタブー視されていたため、終活について家族間で話し合う機会はあまりありませんでした。
出生率が高かった時代は、一家族に5人、6人以上の子どもが産まれるケースも多く、親が亡くなっても子への負担がそれほどかからなかったためです。
しかし、最近では少子高齢化と核家族化が進み、死後に配偶者や子どもにかかる負担が大きくなったこと、高齢者のひとり暮らし率の増加とともに孤立死が社会問題になったこと、平均寿命が延びて老後について考える方が増えたなどのさまざまな理由から、終活についての意識が高まったとされています。
それに伴い「死の関する話はいけないことだ」というマイナスイメージも薄れ、終活としてお墓やお葬式の準備、お金の整理をする方が増加しました。
芸能人・有名人の終活の取り組み
人は誰でも死を迎えます。
スポットを浴び、華やかに見える芸能人もそれは同じです。
芸能人は、富や名声がある分、一般の人よりも整理しておかなくてはならないことが、たくさんあるのではないでしょうか。
ここでは、10名の芸能人・有名人の終活取り組みをご紹介します。
金子哲雄さん(故人)
流通ジャーナリストとして活躍された金子さんは、2012年10月2日、肺カルチノイドにより41歳の若さで他界されました。
金子さんは、生前に自ら斎場を手配し、遺影や祭壇に飾る花を選び、墓の準備も行うなど、病魔と闘いながら終活の準備をしていたことが話題となりました。
「東京タワーを見て自分の姿を思い出してもらえればうれしい」と、通夜の会場には東京タワーの近くにある心光院を選び、参列者にふるまわれる仕出しの料理も金子さんが決めました。
「生きていた」という証と「お世話になった人たちにお礼をしたい」という気持ちが、終活を進めるための原動力になっていたのでしょうね。
有賀さつきさん(故人)
有賀さんは、元フジテレビの人気アナウンサーで、同期入社の河野景子さん、八木亜希子さんとともに、アイドル的女子の元祖として活躍されました。
フリー転向後は、かつて上司だった男性と結婚するものの、4年後に離婚。
その後は、シングルマザーとして奮闘していました。
離婚記者会見では「生活保護をもらってでも、子供を守っていきたい」と述べるなど、お子さんを大切にしていた様子が伺えます。
有賀さんは、自分の死期が近づいていることを感じ、銀行口座など自分しかわからないものを整理する一方で「人に迷惑を掛けたくない」との思いから、周囲に病気のことを一切伝えることなく、亡くなる1ヵ月前まで仕事を行っていました。
ご本人の希望により病名などは明かされていませんが「自分ができることを精一杯行い、静かに去っていく」という有賀さんの生き方は、多くの人々の心を打ちました。
財前直見さん
1984年に航空会社のキャンペーンガールとしてデビューし、その後女優として、映画やドラマで活躍されています。
シングルマザーとして男の子を育て「お母さんの頑張る姿を形にして見せたい」との思いから、50歳の時にいくつもの資格を取得するなど、アクティブな一面を持つ方です。
テレビ番組の中で「死ぬことを想像すると、より良く生きようとする」と、終活を行っていることを報告。
自分が死んだときに迷惑をかけないよう、エンディングノートを準備するほか、専門的な知識によるアドバイスとサポートを行う「終活ライフケアプランナー」の資格も取得しました。
高齢者だけでなく、若い人にも終活を広めたいと張り切っています。
中尾彬・池波志乃夫妻
中尾彬・池波志乃夫妻も、財前さんと同じく、テレビ番組を通じて自分たちの終活を公表しました。
首に巻いたねじねじのストールがトレードマークの中尾さんと、今も妖艶な池波さんは、1978年に出演したドラマを機に交際3カ月で結婚。
現在も、おしどり夫婦として仲良く暮らしています。
終活のきっかけは、中尾さんが多臓器不全で入院されたことだったそうです。
「誰にも迷惑を掛けずにいなくなる」を目標に掲げ、
- 1.中尾さんの趣味のアトリエを処分
- 2.夫婦の写真を焼却
- 3.お葬式はやらない
- 4.お墓は自分たちで作る
と、自らの終活準備の内容も明かされました。
また、自分たちの終活を本にまとめた「終活夫婦(講談社)」の出版記者会見では、ねじねじストールを200本処分した(された)ことを発表。
志乃さんは「終活は断捨離とは違います。必要のないものを捨てるのではなく、捨てられて悲しいと思うのは捨てないようにするのが大事」と、終活が心を安らかにするためのものであることを強調しました。
いとうあさこさん
いつも笑顔を絶やさず、体当たりで笑いを取るいとうさんは、バラエティ番組に出演した際「50歳を目前に、いつ自分が死ぬかわからないという思いを感じ、婚活よりも終活を行うべきと考えている」と告白しました。
お酒好きないとうさんは「自分らしさを残したい」と、一升瓶を抱えてほほ笑む姿で遺影を撮ったそうです。
このエピソードに、共演していた森三中の村上さんは感極まり、思わず号泣したことが話題となりました。
葬式の出棺には、尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」を流してもらうことや、墓地の候補地として、南葉山の一番海の見える小高い丘の上か、駐車場の横のペット可の区域などを考えているなど、かなり具体的な計画を示しています。
いとうさんは、お墓には女性芸人のオアシズ・大久保佳代子さんと一緒に入りたいと希望しているそうです。
ある調査では、40代独身女性のうち、54.7%が結婚よりもひとり様生活を望んでいるという結果になりました。
無理に男性に合わせるよりも、気の合う女友達と一緒に年を重ねる。そうしたライフスタイルも新しい生き方の一つといえるでしょう。
秋野煬子さん
秋野暢子さんは、女優だけでなく、ファッションやダイエットにも造詣が深く、多方面でマルチな才能を発揮しています。
60歳を超えてからは「還暦後をどう生きるか」をテーマに、延命措置について意思の残したい方の支援を行う「日本尊厳死協会」へ入会するなど、積極的に終活に取り組んでいるようです。
秋野さんのお母様も、60歳になったときに同協会に入会していたといいます。
元気な頃からいつも「絶対に延命しないで」と口にしていたそうです。
お母様は78歳の時に危篤状態になり、秋野さんは希望どおり延命治療を断りました。
それがよかったのか思い悩むこともあったそうですが、自分が60歳になったときに、その希望は娘に迷惑がかからないための愛情だったと気づいたそうです。
【関連記事】尊厳死とは?定義や日本における現状、望む場合について
浅香光代さん(故人)
「ミッチー」の愛称で呼ばれ、浅香光代一座を率いて舞台女優としても活躍されていた浅香さんは、2020年12月13日にすい臓がんにより92歳で他界されました。
テレビ番組の企画で生前整理の取り組みとして持ち物の鑑定してもらったところ、着物は約800枚、帯も約1000本、ほかにも、印籠やすずり箱などの骨董品も含めると、総額740万円になりました。
その後、着物の多くは売却されたそうです。
あの世に現金を持っていくことはできませんので、いらないものは生前に売って、美味しいものを食べたり旅行に行ったりなど、生きているうちの楽しみに変えてしまうのも終活のひとつといえるでしょう。
泉ピン子さん
「おしん」「渡る世間は鬼ばかり」など、女優として数々の業績を残す泉さん。
三門マリ子の名でウクレレ漫談の牧伸二さんに師事していたことや、ニュースを面白おかしく紹介する番組で人気を博した芸人であったことを忘れさせるほど、誰もが認める大女優になりました。
テレビ番組で、それまで大切にしていたトロフィーや盾などをすべて処分したことを告白。
「自分の思い出の詰まったものを、夫は捨てられない」との思いから、生前に処分することを決意したそうです。
亡くなった後の旦那さんの気持ちを考えた泉さんらしい行動だと、多くの共感を集めました。
坂上 忍さん
今やテレビで見ない日がないほど活躍著しい坂上さんですが、50歳の若さですでに人生の区切りをつけているようです。
現在は愛犬と楽しく暮らしていますが、マネージャーさんへの退職金、子役事務所の引き継ぎ、愛犬の譲渡先などを気にされ、すでに弁護士や税理士に相談し、遺書を作成していることを明かしました。
事業などを行っていると、自分が亡くなった後に困らないように準備しておかなくてはなりません。
坂上さんの終活は、周りを混乱させないための配慮といえますね。
小林麻央さん(故人)
2017年6月22日に、34歳の若さでこの世を去った小林麻央さん。
2016年9月1日にブログを開始し、闘病の様子をアップし続けたことが話題となりました。今もブログは残され、生きた証を感じることができます。
終活では物を捨てるだけでなく、大切なものや伝えたいことは残しておくことも大切です。
麻央さんがブログを続けていたこともまた終活であり、自分の思いや、生きた足跡を残したかったのかもしれません。
終活の準備はいつから始めるべき?
結論からいうと、終活は何歳から始めても構いません。
ある会社の調査によると、実際に多くの方が終活の始める年齢は60~70代だそうです。
60代以降になると終活を始める方が増える理由としては、定年退職によって時間の余裕ができたことや、健康状態に不安を感じ始めたことなどがあります。
「いつから終活を始めるべきか悩んでいる」という方は、多くの方が終活準備をする60代を目安にしてみてはいかがでしょうか。
〈終活の実施率(年代別)〉
20代……9.0%
30代……8.5%
40代……8.7%
50代……18.2%
60代……33.3%
70代……50.1%
※株式会社マクロミルの「終活に関する意識調査」より
〈終活を始めたい年齢(年代別)〉
20代……0.5%
30代……1.7%
40代……4.9%
50代……12.4%
60代……42.1%
70代……25.4%
※株式会社楽天インサイトの「終活に関する調査」より
また、上記の2つの調査結果からもわかる通り、60代以下でも終活の準備を進めている方や、近々始めたいと考えている方は少なくありません。
終活はお墓や葬儀の準備、財産や持ち物の整理など、やるべきことがたくさんあります。
そのため、年齢にこだわらず、気力・体力ともにしっかりしているうちから少しずつ終活を始めるのもおすすめです。
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梅宮辰夫さん(故人)のエピソード
先ほど、終活をしている、もしくはしていた10名の芸能人や有名人のエピソードをご紹介しました。
しかし、いくら終活がメジャーな活動になってきたとはいえ、終活をせずに亡くなった方もいます。
そのなかのひとりが、俳優やタレントとしてマルチに活躍し、昭和の大スターとして有名な梅宮辰夫さんです。
梅宮辰夫さんは、2019年12月に81歳でこの世を去りました。
6つのがんを経験しながらも同年7月にはドラマ復帰し、亡くなる直前まで仕事を精力的にこなしていました。
梅宮さんの妻であるクラウディアさんは、アメリカ出身のため日本語の読み書きがあまり得意ではないということで、娘のアンナさんが相続手続きを行ったそうです。
梅宮さんは遺言書やエンディングノートを書いていなかったため、相続関係の手続きに大変苦労されたそうで「戸籍謄本の取り寄せだけでも大仕事だった」とアンナさんは語っています。
また、亡くなると故人名義の銀行口座は凍結されるため、手続きが完了するまではお金を引き出すことができません。
幸いにも梅宮さんの生命保険がすぐにおりたそうですが、クラウディアさんの生活費や梅宮さんのお墓の費用など、お金に関して色々と困ったことが起こったそうです。
梅宮さんは普段からご自身でお金の管理をされていたとのことで、専業主婦のクラウディアさんは自分名義の口座を持っていませんでした。
梅宮さんのご家庭に限ったことではありませんが、配偶者のどちらか1人がお金を管理していると、その方が亡くなった際に預金の引き出しができなくなったり、財産の詳細が把握しにくかったりといったことが起こり得ます。
人が亡くなった際に必要な手続きは数多くありますが、どれも煩雑なため、アンナさんのように子供が各種手続きを代行するケースも増えています。
「親の終活は親自身のことだから」と考えず、子世代も親の終活に関心を持つべきなのかもしれません。
アンナさんは、遺言書に関して「いざとなったら書こうって思うんでしょう。でもね、元気じゃないと無理なんです」と語っています。
いつか終活を始めようと考えている方は、ご自身のためにも家族のためにも、“何かあってから”ではなく、元気なうちから資産の整理や遺言書の準備をしておく方が良いかもしれません。
終活をすることで得られるメリットとは?
終活をすることで具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
①遺品整理の際に家族への負担が軽減できる
「遺品整理」とは、亡くなった方の遺品を家族や親族が整理する作業のことです。
反対に、生きているうちに本人が財産関係を整理しておく作業を「生前整理」と呼びます。
財産を整理しておく生前整理も、終活の取り組みの一環です。
もし、生前整理をしないまま亡くなってしまうと、財産相続の手続きの際に家族間でトラブルが起こるかもしれません。
また、亡くなってからだと、一体どれぐらいの財産があるか家族がわからず、調べるのが大変です。
ひとつひとつの遺品を調べながら片付けを行うとなると膨大な時間がかかり、ただでさえ大変な遺品整理が、さらに手間のかかる作業になってしまうでしょう。
しかし、生前整理をして財産関係を整理しておけば、遺品整理の際の家族への負担が軽減でき、相続トラブルも未然に防ぐことができます。
【関連記事】遺品整理と生前整理の違いは?どちらが大変?
②自分の意思を家族に託せる
終活には、家族に自分の意思を託しておけるというメリットもあります。
延命治療の有無、葬儀形式、お墓の希望などを事前に考えて家族に伝えておけば、もしものことがあっても、家族が判断に迷うことがありません。
「急に倒れたらどうしよう」という不安が解消され、家族も自分も安心して過ごすことができます。
終活準備にはエンディングノートを活用するのがおすすめ
自分の意思や希望を家族に託す際に役立つのが「エンディングノート」です。
エンディングノートには、これまでの人生を振り返りながら、現在の状況や将来の目標など、自分に関するさまざまな内容をまとめておけます。
様式に決まりはないので、書店で販売されているものを購入しても良いですし、お手持ちのノートを活用しても構いません。
最近では、インターネット上でテンプレートを無料配布しているサイトもあるため、そちらをダウンロードするのもおすすめです。
ノートの書き方も特に決まっていませんので、堅苦しい文章で必要もなく、思いつくまま自分のことを書き記しておけます。
【関連記事】エンディングノートとは何?メリットやオススメの選び方と書き方を解説
エンディングノートに書く項目
以下では、エンディングノートに書いておきたい項目をご紹介します。
あくまでの一例ですので、ご自身に不要な項目があれば、無理に書くかなくても大丈夫です。
なお、エンディングノートは公式な書類ではないため、遺言書のような法的な効力はありません。
財産分与の希望など、重要な遺言がある場合は、ノートとは別に、役所で公正証書を作成しておきましょう。
〈エンディングノートに書く項目一覧(一例)〉
・個人情報……名前、生年月日、本籍、家系図など
・お金に関する情報……預貯金の残高、保有している不動産、株式、骨とう品・美術品の有無など
・医療や介護の希望……延命治療の有無、介護の希望、持病についての情報など
・友人や知人の連絡先
・葬儀やお墓の希望……宗教・宗派、葬儀形式の希望、お墓の有無、遺影写真の指示など
・家族や周囲の人へのメッセージ
③これからの人生をより充実したものにできる
終活として身の回りの整理を行う中で、やり残したことや新たな目標が見つかることもあります。
例えば、片付けをして昔使っていた趣味の道具が見つけ「もう一度チャレンジしてみたい」と意欲が湧き、前向きな気持ちになれるかもしれません。
終活を「死ぬ準備」と考えると暗い気持ちになってしまいがちですが「残りの人生をより良く生きるためのきっかけ」として取り組めば、より充実した人生を送ることができるでしょう。
まとめ~終活は自分らしく生きるための手段
日本では死をタブー視する傾向がありましたが、芸能人や有名人が口にすることで、ネガティブなイメージが薄れてきました。
終活は、自分の最期を考えることを通して、より自分らしく生き、人生を充実させるための手段です。
必ず訪れるゴールにたどり着くまでに何をすべきか。
芸能人・有名人の生き方にも、そのヒントが隠されているかも知れませんよ。
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