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2019.02.08 (2021.05.11 One's Ending編集部 加筆)

遺品整理と生前整理の違いと必要性を解説

自分や親が年を重ねるに伴って、老後や亡くなった後のことなど「将来に対してさまざまな不安が出てきた」というお声をワンズエンディングではよく耳にします。
一定の年齢に達すると、家族が困らないよう「生前整理」の必要性を感じてきますし、親が亡くなった際の「遺品整理」は避けることができません。

生前整理と遺品整理はどちらもよく聞く言葉ではありますが「具体的に何が違うのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、親の持ち物やご自身の生前整理を考えている方に向けて、遺品整理と生前整理の違いをお伝えします。

遺品整理と生前整理の違いは?

遺品整理とは、故人の遺品を遺族が整理することです。
一方、生前整理とは、生きている間に自ら財産関係を整理することを指します。「整理をする」という意味ではどちらも同じですが、亡くなってから自分以外の誰かが整理するのか、生きているうちに自分で行うのかが大きな違いです。

 

次に、生前整理と遺品整理のそれぞれの活動内容について、さらに詳しく見ていきましょう。

 

生前整理とは?

生前整理は、自分の死後に遺族間で財産問題や相続トラブルが発生するのも防ぐために、存命中に財産関係を整理することです。
そのため、本来の生前整理とは、物の片付けではなく、財産関係を整理する活動を意味します。

 

ただ、そうなると「物の整理は生前整理ではないの?」という疑問を抱く方もいるのではないでしょうか?

 

実は、生前整理は「目的」によって大きな2つの分野に分かれています。
まずは、生前整理についての理解を深めるために、それぞれの分野の違いを見てみましょう。

 

〈生前整理の大きな2つの分野〉

1つ目の分野……財産関係の整理

整理を行う人……本人

誰のために行うのか……家族のために

目的……財産問題や相続トラブルの回避のために

 

2つ目の分野……生活空間の整理

整理を行う人……本人

誰のために行うのか……自分のために

目的……今の暮らしをより快適にするために

 

物の片付けをするというのは、生前整理の2つ目の分野である「生活空間の整理」にあたります。
つまり、物の片付けも生前整理の一環ではありますが、行う目的や取り組みの内容が異なるということを覚えておきましょう。

 

生前整理は、人生の終焉が見え始めた中高年以上の人が行うケースも多いですが、年齢に関係なく始める方も増えています。
親や友人、知人が亡くなったことにより自らの死を意識したタイミングや、病気になって死について考え始めたことをきっかけに、生前整理を始める方も少なくありません。

 

遺品整理とは?

遺品整理とは、故人の死後、遺族や親族がその方の財産や持ち物を整理することをいいます。
「いつまでに行わなければならない」という期日は定められていないため、四十九日の法要が終わった後や、数か月もしくは数年経って気持ちの整理がついてからなど、始めるタイミングは遺族によってさまざまです。
ただし、遺産相続や賃貸物件の退去などの急ぎの事情がある場合は、葬儀を終えた直後から開始することもあります。

 

以下に、遺品整理を自分たちで行う場合の、大まかな手順や流れをまとめました。

 

1.遺言状やエンディングノートの有無を捜索する

遺品整理を始める前に、遺言状やエンディングノートなど、故人の意思が記載されたものがないか探しましょう。
遺言状が見つかった場合、その場で開封せず、家庭裁判所に提出して検認してもらう必要があります。
ただし、公証人の立ち合いのもとで作成された遺言書については、家庭裁判所に提出しなくても問題ありません。

 

2.遺産相続についての話し合い後、具体的なスケジュールを決める

次に、遺族で遺産分割協議を行い、相続人や財産の配分を決めます。
話し合いが済んだら「いつ」「誰が」「何を」「いつまでに」など、具体的な遺品整理のスケジュールを決めましょう。

 

3.遺品を仕分けする

故人の持ち物を「処分する遺品」と「残す遺品」に仕分けていきましょう。
重要な書類などを見落とさないよう、洋服ダンスや戸棚の中など、家の中をくまなく捜索することが大切です。

 

4.分類したものの処分方法を決める

捨てる、売却、譲渡など遺品の処分方法を決定します。
遺言書やエンディングノートがある場合は、その内容に基づき、遺品の売却方法を検討します。
遺族間で揉めないよう、慎重な話し合いが必要です。

 

遺品を廃棄する際は、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミなど、自治体ごとのルールに従って分別をしていきます。
すべての遺品の仕分け・処分が終わったら、最後にお部屋の清掃をして終了です。

なお、処分する物が多い場合は、整理専門会社に依頼するとスムーズです。

 

遺品整理と特殊清掃の違いは?

特殊清掃と遺品整理は「亡くなった後に行う」という点は共通しているものの、作業内容はまったく異なります。
特殊清掃とは、孤独死、事件、自殺、事故、病気などによってその方がお部屋の中や敷地内で亡くなり、何らかの事情で発見が遅れてしまった遺体の痕跡を現場から取り除く作業のことです。

 

遺体の腐敗臭や血液・体液の漏出によって汚染された現場は通常の清掃では元通りにするのは困難なため、スタッフは防護マスクや専用の薬剤を用いて作業にあたります。

 

もちろん、遺品整理でもお部屋が汚れていれば清掃を行うことはありますが、メインとなるのは「遺品の整理や片付け」です。
一方、特殊清掃は「清掃」がメインとなります。
遺品整理は故人の財産や家具・家電などの家財道具を片付けたり整理したりすること、特殊清掃は特殊な方法での清掃を行うこと、という点が大きな違いです。

 

遺品整理のほうが大変

生前整理は本人が整理をするため、何を処分すべきか判断しやすいうえに、1年以内に整理するといったように、時間をかけて行うことができます。
しかし、遺品整理は肉親とはいえ他人の物を整理することから「どこから手を付けていいのかわからない」「どこに貴重品が保管されているかわからない」など、スムーズに進めることが困難な場合も少なくありません。
また、賃貸物件の退去日や相続手続きの期限が迫っていると早めに遺品整理を行う必要もあるため、時間に追われたり、期日に間に合わせるために仕事を休まないといけなかったりなど、遺族に負担をかけてしまいます。

 

遺品整理と生前整理はどちらも手間と時間がかかる作業です。
しかし、家族への負担という面においては、遺品整理の方が大変だと言えるでしょう。

 

遺品整理は業者に相談・依頼するのもおすすめ

先ほど自分たちで遺品整理を行う際の手順をご紹介しましたが、荷物の仕分けや処分、お部屋の清掃については「整理専門会社」に任せるとのもひとつの手です。

 

期限が決まっていて急いで遺品整理をしないといけない場合、焦って作業を進めると、誤って大事な物まで処分してしまう恐れがあります。
また、たくさんの物があふれている中で、どれを捨てて良いか、残しておくべきか判断するのは、とても労力が要ります。

 

さらに、亡くなった直後はまだ家族を亡くした悲しみも癒えていないことがほとんどですので、故人の遺品を見るたびに思い出がよみがえり、予定通りに作業が進まない可能性も高いでしょう。

 

しかし、整理専門会社に片付けを代行してもらえば、自分たちで整理を行う場合よりも作業が早く終わって期日に間に合わせることができますし、貴重品の捜索や荷物の処分といった労力もかかりません。
また、残した方が良い物や処分しても大丈夫な物かどうかを整理専門会社のスタッフに相談することもできるので「何を残しておくか判断が難しい」という方も安心です。

 

遺品整理業者を選ぶ際に確認しておきたいこと

遺品整理は、プロに依頼することで遺族への負担を大きく軽減できます。
ただ、少数ながら悪徳な業者も存在しており「高額な料金を請求されてしまった」「必要な物まで荷物を誤って処分されてしまった」といった契約トラブルが発生しているのも事実です。

 

では、このようなトラブルを防ぎ、信頼できる遺品整理会社を見つけるためには、どうすれば良いのでしょうか?
ここでは、遺品整理会社を選ぶ際に確認しておきたいポイントをご紹介します。

 

①遺品整理士の資格を持ったスタッフが在籍しているか

「遺品整理士」とは、一般社団法人遺品整理認定協会が発行している民間資格で、作業の流れやプロとしての心得など、遺品整理に関するあらゆるノウハウを身に着けた人のみが取得できます。
遺品整理を整理専門会社に依頼する際は、遺品整理士の資格を持ったスタッフが在籍しているかどうかを確認しておきましょう。

 

②見積り書を出してくれるか

遺品整理は、遺品の量や清掃の必要度合い、エレベーターの有無、スタッフの人数など、状況によって料金が変動するため、実際のお部屋の状態を確認しないと正確な料金を出すことは困難です。
そのため、当社ワンズライフを含め、多くの遺品整理会社では、はじめに訪問見積りを行って見積り書を作成し、お客様の了承を得た後で作業を開始しています。

 

遺品整理会社を選ぶ際は、見積り書を作成してくれるかどうかもチェックしておきましょう。
その他、見積り書で確認しておきたいポイントを以下にまとめました。

 

具体的な作業内容が記載されているか

合計で「〇〇万円」といった曖昧な記載ではなく、具体的な作業内容や、項目ごとの料金についてきちんと書かれているかどうかも見ておきましょう。

 

追加料金の有無について明記されているか

遺品整理の契約トラブルで多いのが「追加料金を請求されてしまった」という事例です。
見積り書を出してもらったら、追加料金の有無について明記されているか確認しましょう。
もし記載がなかった場合は、後でトラブルにならないよう、依頼前に追加料金が発生するかどうか質問しておくことも大切です。

 

③スタッフの対応は丁寧か

遺品整理は単なる片付けではなく、故人さまの生きた証を整理していくことですので、丁寧に遺品を扱うことはもちろん、供養の心を持って作業にあたることや、故人さまとご遺族さまのお気持ちに配慮した対応・行動が求められます。
そのため、スタッフの電話の受け答え、メールの文面が丁寧かどうかも、信頼できる優良な企業であるか見極めるための大切なポイントといえるでしょう。

 

【関連記事】遺品整理の業者選び プロが教えるオススメの選び方

 

生前整理をしておいた方が良い理由

もし、生前整理を行わずに亡くなってしまったらどうなるのでしょうか?
ここでは、生前整理をしておいた方が良い理由について解説します。

 

子どもや遺族の精神的負担大きくなる

大切な方が亡くなった場合「未来を共に生きることができない」という事実と「それを認めたくない」と言う心の揺れが悲しみとなって現れます。
愛用していた物も、二度と使われることのない思い出の品に変わってしまい、こみ上げる寂しさに整理が妨げられてしまいます。

 

ただ、そのままにしていると永遠に整理は終わりません。
空き家となった家屋に遺品が放置されてしまうことを防ぐためにも片付けは必要ですが、悲しみや寂しさを抱えた状態で遺品の仕分けや整理をすることは、子どもや遺族にとって相当な精神的負担となるでしょう。

 

遺品整理の際に手間や費用がかか

コツコツと行う生前整理と異なり、遺品整理は短時間で大量の物を整理しなければならないことも少なくありません。
家の権利書、売買契約書がないと不動産関係の手続きが遅れてしまいますし、必要な書類を探す手間や翌年の固定資産税など、予定外の費用もかかります。

 

以上のことから、子どもや遺族の負担を減らし、またご自身の意思を反映するためにも、生前整理をしておくことをおすすめします。

 

生前整理(財産整理)の進め方

ここでは、生前整理を「財産整理」と「生活空間の整理(物の整理)」に分けて、具体的な進め方をご紹介します。
まずは、財産整理の進め方から見ていきましょう。

 

財産目録を作る

財産整理を行う時は、はじめに「財産目録」を作成して、どんな財産を所有しているか可視化します。
そうすることで、遺族が死後に財産を調べる手間が省けて、相続手続きをスムーズに進めることが可能です。
また、早めに財産の内容を棚卸ししておけば、相続税や贈与税の計算にも役立ち、生前贈与や税金対策にも役立ちます。

 

財産目録は家族にわかるように所定の場所に保管しておきましょう。

 

遺言書の作成

遺言については、エンディングノートを利用してご自身の意思を残しておくことも可能です。
しかし、エンディングノートには法的拘束力がないため、特定の方に財産を残すといった希望を書いてもその通りに実行されない可能性があります。
そのため、財産の分配を決めておきたい、寄付をしたいなど、財産の行く先についての意思がある場合は、遺言書を作成しておくことをおすすめします。

 

遺言書は公証役場で作成できますが、書き方や手続きが難しいと感じる方は、弁護士や司法書士などの専門家にサポートを依頼するのも良いでしょう。

 

生前整理(生活空間の整理)の進め方

次に、生前整理のもうひとつの大きな分野である「生活空間の整理(物の整理)」の進め方をご紹介します。

 

荷物を「必要な物」と「不要な物」に仕分けする

ご自身が亡くなった後に大量の遺品が残っていると、遺品整理に時間と手間がかかり、残された家族に負担をかけてしまいます。
生前整理を機に断捨離をして、できるだけ荷物の量を減らしておきましょう。

 

まずは、部屋の中の荷物をすべて出し「必要な物」と「不要な物」に仕分けていきます。
不要な物に関しては「まだ使えるが、もう今後使う予定がない物(不要品)」と「壊れていてもう使えない物(不用品)」の2種類に分類しておくと、その後の作業がよりスムーズに進みます。

 

処分に迷うものは?

処分した後で後悔することがありますので、迷った際はとりあえず保管しておくのがお勧めです。
ただし迷ってばかりいては処分が進みませんので、一定期間経ったら見直すために、猶予付きの保管としておきましょう。

 

【関連記事】生前整理とは?必要性はある?進め方を徹底解説

 

「不要な物」に仕分けた荷物を処分する

自分にとって不要な物でも、人によって価値があるものもたくさんあります。
処分にあたり捨てるだけでなく、価値がありそうなものは、お子さんや友人・知人に譲ったり、リサイクルショップやネットオークション、メルカリなどのフリマアプリを利用したりして売却するのもおすすめです。

 

不用品の処分方法

壊れた家具・家電などの不用品は、自治体のルールに従って適切に処理します。
回収費用がかかる品目やその費用については自治体ごとにルールが異なりますので、事前にホームページで確認するか、受付センターなどに連絡してから廃棄するようにしましょう。

 

【関連記事】遺品整理、生前整理で出た不用品の処分方法まとめ

 

まとめ~生前整理は少しずつ取り組んでいこう~

生前整理は、必要性を感じていても、なかなか行動に移せない方も多いものです。
しかし、先延ばしにすると、家に不要な物が増えていきますし、万が一そのまま亡くなってしまった場合は、遺族の遺品整理の負担が重くなってしまいます。
まずは少しずつ、できることから取り組んでみるのがおすすめです。

 

今の自分にとって必要なもの、不要なものを整理することで「自分がこれからどう生きたいか」ということや「何を大事にしていきたいか」がはっきりし、残りの人生を前向きに生きるきっかけにもなります。
これからの人生をより充実させるためにも、この機会に生前整理を始めてみてはいかがでしょうか。

 

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この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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