2021.07.12
終活で住まいや不動産について考えることが大切な理由
「終活」という言葉を聞くと、真っ先に葬儀やお墓のことを思い浮かべる方が多いかもしれません。
たしかに葬儀やお墓の準備は大切ですが、住まいについては自分の希望を明らかにして、周囲の人に話すことが終活の第一歩となります。
70代・80代になったときに今の住まいに住み続けるか、それとも終の棲家を別に考えるか。
どこでどのように暮らすのかについて、今から選択肢を準備しておくと安心につながるかもしれません。
また、住まいの終活を進めておくと、もしものときに残されたご家族が困らないというメリットもあります。
そこで、この記事では賃貸や持ち家など今の住まいをどのようにしたらよいのか、住まいの終活を考えるヒントをご紹介します。
お住いの問題はご自身だけでなくご家族にもかかわる問題ですので、ご家族と話し合うときの参考にしてください。
終活で不動産や住まいについて考えることが大切な理由
終活で不動産や住まいについて考えることは、とても重要です。
どうして重要なのか、理由を見ていきましょう。
不動産は財産のうちの大部分を占める
土地や建物といった不動産は財産の大部分を占めます。
しかも、不動産は簡単に分割することができません。
相続する方が複数人いる場合に、均等に財産を分けようとすると問題が発生することがあります。
実は、相続問題のこじれの6~7割は不動産が原因になっているというデータがあります。
今住んでいる家にずっと住み続のかという問題
年齢を重ねたあと、現在住まいの家に住み続けられるのかについても考えておきましょう。
足腰が不自由になった場合、住宅改修をする必要があるかもしれません。
配偶者に先立たれて一人になったとき、子どもと同居したり、高齢者施設に入居したりという選択肢もあるでしょう。
どのような選択をするにしても、お金が必要になります。
持ち家が空き家になった場合の問題
相続で揉めることがなくても、持ち家が空き家になってしまったとき誰が管理するのかという問題が出てくるケースもあります。
平成26年に成立した「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、管理が行き届いておらず周囲に害をもたらす空き家に対して、行政が指導や命令を出せるようになりました。
改善が見られなかった場合には、罰金や強制執行の対象になることもあります。
何も決めずに持ち家をそのままにしておくと、子どもに迷惑をかける結果になってしまいます。
高齢になったときのご自身とご家族の暮らし方を具体的に考える
余生をどこで誰と暮らすのかというのはご家族もかかわるテーマです。
高齢になったときのご自身とご家族の暮らし方を具体的に考えましょう。
しかし、現在の住まいが持ち家なのか賃貸なのかによって考え方は異なります。
持ち家に住んでいる場合に検討するポイント
持ち家に住まいの方は、今後も自宅に住み続けられるかを考えてみましょう。
選択肢としては次の3つが挙げられます。
・リフォームなどをしながら住み続ける
・子どもと同居する(二世帯住宅を建てるか子どもの家に入るか)
・自宅を賃貸もしくは売却して、暮らしやすいマンションや高齢者施設に住み替える
賃貸に住んでいる場合に検討するポイント
賃貸にお住いの方も、現在住んでいる部屋に住み続けられるか考える必要があります。
たとえば、エレベーターのないマンションの3~4階に住んでいる場合、高齢になっても生活できるか考えてみましょう。
買い物やかかりつけ医までのアクセスなども、高齢になってからの住まい選びで考慮したいポイントです。
また、今後も同額の家賃を支払えるかも考えなければなりません。
賃貸暮らしの方の選択肢は次の4つが挙げられます。
・今の住まいに住み続ける
・子どもと同居する
・家賃の安い場所や暮らしやすい場所に住み替える
・高齢者施設に入居する
持ち家のある方が早いうちに準備しておくとよいこと
先ほども、特に持ち家のある方は相続や空き家問題など亡くなったあとのことまで考える必要があることをお伝えました。
終活を行うにあたり、準備しておくとよいことをご紹介します。
不動産評価額を調べはじめる
はじめに、不動産評価額を調べることをおすすめします。
リフォームや住み替えをする場合もお金が必要になります。
自宅の価値がどのくらいあるのかを知ることで、今後できることやしておくべきことがわかってきます。
不動産評価額を知ったうえで、必要であれば持ち家を売却して老後資金にすることや、生前贈与を行うことなどを検討してみましょう。
自分の希望をご家族に伝える
ご自身の人生の最後や亡くなったあとのことなどをご家族に話すのは躊躇する、という方は多いでしょう。しかし、終活はご家族にもかかわる問題です。
たとえば、余生をどこでどのように暮らしたいか、亡きあとに自宅を誰に管理してほしいかなど希望があればご家族に伝えましょう。
必要に応じて遺言書を作成する
ご自身が亡くなったあと、持ち家の相続に関して希望がある場合には遺言書を作成するのも大切です。
ただし、遺言書は法的な拘束力を持つため、場合によっては残されたご家族を混乱させる可能性もあります。
このため、ご自身の希望は事前にご家族に伝えておき、了承を取っておいた方がよいでしょう。
エンディングノートを書くメリット
エンディングノートとは、ご自身の状況を記入しておくノートのことです。
ご自身のご家族や友人関係・財産のこと・介護や葬儀に関する希望など、さまざまなことを書き留められるため、終活の第一歩としてエンディングノートを作成する方が増えています。
エンディングノートは住まいの終活にも有効ですので、まだ書いていない方は準備してみてはいかがでしょうか。
エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートは遺言書とは異なり、法的な拘束力がありません。
相続や持ち家の管理や処分についてご自身の希望を書いても、ご家族が実行しないこともあります。
けれども、その分柔らかくご家族に希望を伝えられるので、絶対に実現させたいわけではないが希望を伝えたい要件は、エンディングノートに書くとよいでしょう。
賃貸暮らしの方の終活にもエンディングノートはおすすめ
エンディングノートをおすすめしたいのは持ち家のある方だけではありません。
賃貸暮らしの方は、もしものときに退去の手続きや部屋の片付けをご家族にお願いすることになるからです。
賃貸契約書などをまとめ、遺品整理についての希望などもエンディングノートに記入しておくとよいでしょう。
エンディングノート作成したりなるべく身の回りのものを整理したりしておくことで、ご家族の負担を軽減できるかもしれません。
まとめ
人生の最後をどこでどのように暮らすかなど、終活で考えるべき住まいのことを解説してきました。持ち家に住まいの方はずっと住み続けられる場所があるので安心ですが、相続や空き家問題なども考える必要があります。
一方、賃貸に住まいの方は身軽なので亡くなったあとに、ご家族間での問題は残りにくいのですが、収入が少なくなっても家賃を払い続けなければなりません。
早いうちに余生の過ごし方や、持ち家の処分、管理について考え、ご家族と相談しておきましょう。
まずは自分の考えをまとめたいという方にはエンディングノートへの記入がおすすめです。
今後の住まいについて、どのような選択肢があるのか考えてみてはいかがでしょうか。
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