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終活時に検討したい葬儀保険について解説

終活の普及に伴い、ご自身の老後のことや亡き後の備えについて考える方が増えています。
特に、亡くなった後のお葬式費用やお墓の購入費等、お金について不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?

そんな中「葬儀保険」と呼ばれる保険が注目を集めています。
葬儀保険とは、お葬式やお墓等のご自身が亡くなった後にかかる費用を賄うためのもので、加入しておくことにより、残された家族の経済的な負担を軽減できます。

ただ、死後にかかるお金を賄う方法には、生命保険や医療保険、貯蓄等もありますから「葬儀保険に加入する必要性はあるのだろうか」と疑問に思う方もいるでしょう。

そこで今回は、葬儀保険の特徴やメリット、加入の必要性、注意点について詳しくご紹介します。

葬儀保険とは?

葬儀保険とは、契約者が死亡した際にかかる「お葬式費用の負担軽減」を目的とした保険商品です。
掛け捨てタイプや一年更新型タイプがほとんどで、保障額はさほど多くありませんが、その分掛け金も低額に設定されています。

 

中には月々の保険料が数百円で済む保険商品も販売されており、一般的な生命保険や医療保険よりも、家計への負担を最小限に抑えることが可能です。
また、申込み時の健康告知や医師による診察が不要な商品も多く、持病がある方も加入しやすくなっています。

 

また、葬儀保険は申込みや更新の年齢上限が高く、80歳以上の方が加入できる商品が多いことも特徴です。
保険商品によっては、満89歳まで加入でき、満99歳まで更新可能となっているため、高齢者の方も申込みできます。

 

少額短期保険(ミニ保険)とは?

葬儀保険は、平成18年4月の保険業法の改正後に導入された「少額短期保険」の一種です。
シンプルな保障内容で、保険料が“少額”かつ保険期間が“短期”の商品のみを販売していることから「ミニ保険」と呼ばれることもあります。

 

少額短期保険は、保険期間、死亡保険金額、最大保障金額に制限が設けられています。具体的な内容は、以下の通りです。

 

・保険期間は1年以内、損害保険については2年以内
・死亡保険金額は、被保険者1人につき300万円まで
・複数の少額短期保険に加入していても、最大保障金額は被保険者1人につき1,000万円まで

 

このような制限があることから、葬儀保険で支払われる保険金額は「最大300万円まで」となっています。

 

葬儀保険は必要?亡くなった後にかかるお金から必要性を検討してみよう

葬儀保険では、死亡時に受け取れる保険金額は最大でも300万円とやや少なめです。
そうなると「葬儀保険に加入しておいた方が良いの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

 

結論から言うと、すでに加入している生命保険や医療保険、あるいは貯蓄でお葬式費用をすべて賄えるという方は、葬儀保険の必要性は低いと感じるかもしれません。

 

しかし、一口に「お葬式費用」と言っても、式の規模や依頼する葬儀会社などにより、金額は大きく変わります。
さらに、人が亡くなった後はお墓や遺品整理等、お葬式以外にもさまざまなお金が必要となることがほとんどです。

 

そのため、終活をするにあたって葬儀保険の加入を悩んでいる方は、亡くなった後にかかりそうなお金のおおよその金額を考えた上で、必要性を検討してみるのが良いでしょう。

 

では、お葬式やその他に費用にはいくらぐらいかかるものなのでしょうか?ここでは、項目ごとに目安となる金額をご紹介します。

 

1.葬儀一式費用

株式会社鎌倉新書の「第4回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀一式費用の全国平均は約120万円です。
葬儀一式費用とは、葬儀を執り行う上でかかるお金のことを指し、葬儀会場や霊柩車、棺の利用料、スタッフの人件費等がこの中に含まれます。

 

なお、葬儀一式費用はお葬式の形式によってかなり差があり、約120万円というのは全体の平均値です。
一般葬のみで見ると、葬儀一式費用の平均は約149万円と一番高く、家族葬の場合は約96万円、一日葬が約85万円、直葬(火葬式)が約44万円となっています。

 

2.飲食接待費

飲食接待費の平均額は、約65万円です。(株式会社鎌倉新書「第4回お葬式に関する全国調査」)より)

 

飲食接待費とは、お通夜や精進落としの料理代や、会葬返礼品、香典返しにかかるお金のことを指し、親族や参列者の人数によって大きく変動します。

 

3.寺院や僧侶へのお布施

寺院や僧侶へのお布施の平均額は、約47万円です。(一般社団法人日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査」より)
なお、この費用の中には僧侶の交通費である「お車代」も含まれています。

 

お布施は金額がはっきり決まっているわけではないため、宗教・宗派によって金額はかなり違ってくるでしょう。
戒名の位や、読経をお願いするかによってもお布施の費用は変動します。

 

【その他】墓地の購入費用・遺品整理費用等

上記の1~3はお葬式に関する費用ですが、人によってはその他にもさまざまなお金が必要となる可能性があります。
主な項目を以下にまとめました。

 

〈お葬式以外にかかるお金(一例)〉
・仏壇の購入費
・墓地の建立費用
・病院の医療費の支払い
・遺品整理費用
・初七日、四十九日等の法要の費用

 

これらを合計すると、先ほどご紹介した葬儀に関わる費用に加えて、100万円単位の出費が発生することもあります。
これらの費用を貯蓄から賄うのが経済的に負担となる方や、出費がかさむことが心配方は、あらかじめ葬儀保険に加入しておくのがおすすめです。

 

葬儀保険に加入するメリット

冒頭でもご説明した通り、葬儀保険は加入審査や年齢制限がさほど厳しくなく、少額な保険料でいざという時の備えができる点が魅力です。
その他にも、加入しておくことでさまざまなメリット得られます。
ここでは、葬儀保険のメリットについて詳しくご紹介します。

 

死亡保険金をすぐに受け取れる

葬儀保険の死亡保険金は、原則として請求してから翌営業日程度で支払われます。
また、故人の銀行口座は亡くなった直後に凍結されてしまい、所定の手続きを終えるまでは、一切入出金ができません。
そうすると、口座凍結が解除されるまで誰かが代金を立て替えることになり、親族間でトラブルになる可能性があります。

 

最近では、お葬式に関わる費用をクレジット決済できるところも増えていますが、お布施代など、現金で支払いが必要なケースも少なくありません。
保険会社に請求してすぐに現金が受け取ることができれば、立て替えの必要性もなくなり、よりスムーズに葬儀を執り行えるでしょう。

 

お葬式以外の費用にも利用できる

葬儀保険で受け取る死亡保険金は、医療費の清算や、墓地、仏壇の購入費等に使うことが可能です。
受取人が用途に合わせて使い道を決められるので「葬儀は予算内で済んだけれど、遺品整理に思ったよりお金がかかった」といった事態が発生しても、柔軟に対応できます。

 

予定外の出費にも備えられるという安心感は、大きなメリットといえるでしょう。

 

契約内容の見直しがしやすい

その他のメリットとしては、契約内容の見直しがしやすいという点が挙げられます。
生命保険でも契約内容の変更は可能ですが、保障額を減らした場合、各種特約の保障額まで減ってしまうことがあり、慎重に判断しないと損をしてしまうかもしれません。

 

一方、葬儀保険は一年更新型となっているので、更新のタイミングで気軽に契約内容を変更できます。
また、もともと保障内容が限定されているので、保険金を減額するとほかの補償まで一緒に減ってしまう可能性は低いでしょう。

 

葬儀保険に加入する際の注意点

このようにメリットが多い葬儀保険ですが、加入に際しては注意したいことがいくつかあります。

 

解約返礼金はなく、元本割れのリスクがある

葬儀保険は掛け捨て型のため、万が一途中で解約したとしても、それまで払った保険料は戻ってきません。
また、月々の保険料が少額でも、何年、何十年も加入していればそれなりの金額になります。
そのため、長期間加入していると、元本割れしてしまう可能性があります。

 

責任開始時期に注意

葬儀保険に加入する際は、契約書に書かれている「責任開始時期」にしっかり目を通しておきましょう。
責任開始時期とは、保険の契約が有効になる日のことです。
葬儀保険に関わらず、ほとんどの保険は「申込み月の翌々月〇日から」といった規定が設けられていて、契約日から一定の間、保険金が支払われない期間があります。

 

万が一責任開始日までに契約者がお亡くなりになってしまうと、せっかく加入していても保険金が支払われないため、注意が必要です。

 

保険会社が破綻した時の保証はない

生命保険や終身保険は「保険契約者保護機構」という機関に加入していて、もし会社が倒産しても、契約自体は保護される仕組みになっています。
しかし、少額短期保険は保険契約者保護機構の対象外ですので、破綻した時の保証はなく、契約は継続されません。
加入の際は、その事業者の経営状態を確認しておくことが大切です。

 

葬儀保険(少額短期保険)の選び方のポイント

葬儀保険の契約条件、加入可能年齢の上限、保険金額の設定範囲などは、商品によって違います。
最近は多くの企業から葬儀保険が販売されているため、ご自身の要望に合った商品を見つけやすくなっています。

 

ただし、選択肢が増えたことで「種類が多すぎて何を基準に選べば良いかわからない」とお困りの方もいるのではないでしょうか?
そこでこの章では、葬儀保険の選び方のポイントを2つご紹介します。

 

保険の種類で選ぶ

葬儀保険には「保険金固定タイプ」と「保険料一定タイプ」の2種類があります。
まずは、それぞれの違いを詳しく見てみましょう。

 

・保険金固定タイプ
年齢に応じて掛け金は変動するが、死亡時に受け取る保険金額は変わらない。

 

〈例〉加入時の年齢が60歳、保険金額が100万円の場合
60~69歳までは月々1,000円、70~79歳までは月々2,000円といったように、掛け金は年齢が上がるにつれて高くなっていく。
ただし、80歳で亡くなっても、90歳で亡くなっても、受け取れる保険金は100万円となる。

 

・保険料一定タイプ
年齢が上がっても掛け金は加入時と変わらないが、受け取る保険金額が変動する。

 

〈例〉加入時の年齢が60歳、月々の掛け金が1,000円の場合
掛け金は1,000円のままで変化なし。ただし、80歳で亡くなると保険金が150万円、90歳で亡くなると100万円といったように、年齢が上がるにつれて受け取れる保険金額は減っていく。

 

掛け金は多少高くても構わないが、受け取る保険金額は減らしたくないという方は「保険金固定タイプ」がおすすめです。
反対に、すでに生命保険や預貯金で葬儀費用を賄えるので、月々の掛け金はできるだけ抑えたいという方は「保険料一定タイプ」を選ぶ方が良いでしょう。

 

付帯サービスや特約の有無を比較して選ぶ

葬儀保険を選ぶ際は、掛け金と死亡保険金額だけでなく、付帯サービスや特約の有無についても確認しておくのがおすすめです。

 

保険商品によっては、人間ドッグの受診料割引や弁護士への電話相談が初回無料といったサービスが付帯していることがあります。
また、特約の内容も保険商品によってさまざまです。
被保険者が存命中6カ月以内と診断されると、存命中でも保険金が受け取れる「リビングニーズ特約」が付加できる葬儀保険などもあります。

 

掛け金や保険金額がほぼ変わらない保険商品があって悩んだ時は、付帯サービスや特約の内容も比較して選んでみましょう。
保険商品の特徴については、お客様向けのホームページにわかりやすく掲載していることも多いので、まずはそちらを確認してみると良いでしょう。
パソコンやスマートフォンをお持ちでない方は、葬儀保険を扱っている会社に問い合せると、資料を送ってもらうことができます。

 

葬儀保険以外に終活で検討しておきたいこと

終活では「葬儀保険」以外にも検討しておきたいことはたくさんあります。
具体的には、どのようなことを準備しておくと良いのでしょうか?

 

そこでこの章では、終活に取り組む際にやっておきたいことをご紹介します。

 

【関連記事】終活にお金は必要?準備に費用が必要なものを解説

 

お葬式・お墓のこと

最近では、一般葬、家族葬、一日葬など、葬儀の形式も多様化しています。
終活を行う際に、ご自身がどのような葬儀を希望しているかということを考え、その内容を家族に伝えておくと良いでしょう。

 

また、お墓についての希望や要望もあらかじめ考えておくと、ご自身の身に何かあったときに家族がスムーズに供養の準備を進められます。
「家族にできるだけ負担をかけたくない」もしくは「霊園や墓石のことは、自分で決めておきたい」という方は、お墓を生前に購入しておくというのもひとつの手です。
その場合は、先祖のお墓をどうするのかという点についても家族で話し合っておくことが大切です。

 

医療・介護のこと

認知症を患ったり、持病が悪化してしまったりすると、ご自身の意思を伝えられない可能性もあります。
介護は誰に任せたいのか、どんな施設に入所したいのか、延命治療は希望するかなど、終末期医療や介護のことについても具体的な要望をまとめておきましょう。

 

ただし、医療や介護についての希望は、その時の健康状態などによって変わることもあり得ます。
家族に口頭で伝えておくのも良いですが「エンディングノート」を活用して、情報を整理しておくのがおすすめです。

 

エンディングノートの活用方法や、具体的な書き方については、ワンズエンディングのこちらのコラムで詳しく解説しています。

 

【関連記事】エンディングノートとは何?メリットやオススメの選び方と書き方を解説

 

お金のこと

終活をする上で考えておきたいことのひとつが「お金のこと」です。
相続の準備をしないまま亡くなってしまうと、遺産相続の際に家族間でトラブルが起こるかもしれません。

 

お金の整理を行う時は、はじめに「財産目録」を作成して財産の全容を把握するのがおすすめです。
財産の把握は、亡くなった後だけでなく、今後の人生のマネープランを考える上でも役立つでしょう。

 

遺産相続の配分について希望がある方は、公証人に依頼して遺言書を作成しておくと、よりトラブルを防ぎやすくなります。

 

不動産を所有している人は「空き家整理」も忘れずに

不動産は預貯金や現金のように分配して相続することが難しいことから、遺産分割協議で話し合いが難航することも少なくありません。
不動産を所有している方は、終活を機に不動産の相続についても考えておくことをおすすめします。

 

また、親や親族から相続した不動産が空き家になっている方は、売却して現金化するのか、賃貸に出すのかなど、今後の活用方法を考えておくことも重要です。
空き家は放置すると倒壊や放火の危険性もありますし、相続放棄をすることができないため、相続人には管理義務が発生します。

 

もし、財産相続にあたって空き家を売却したい場合は、先に家の中の片付けが必要です。
しかし、遠方に住んでいると現地に出向くのが大変ですし、家が広いと荷物の量が多く、自分や家族だけで片付けるのが難しい場合もあります。
このような時は、整理専門会社の提供する「空き家整理サービス」を利用するのもおすすめです。

 

物の整理のこと

年を重ねると、体力や気力が低下してきて物の整理をすることが難しくなる可能性もあるので、元気なうちから終活の一環として、身の回りの物を整理しておくと良いでしょう。

 

生活導線が確保されて今後の生活が快適になるほか、災害が起こった時に物が落ちてきてケガをする危険性も減らせます。
また、人が亡くなった後は、遺品整理を行う必要性が出てきますが、生前にある程度物の整理を進めておけば、遺品整理の際の家族の負担も軽減できます。

 

終活に関する悩みは各分野の専門家に相談してみるのもおすすめ

このように、終活では検討しておきたいことが数多くありますが、税金や相続に関することは手続きが複雑な場合も多く「何をどう進めれば良いかわからない」という人もいるのではないでしょうか?

 

自分一人ですべての準備ができればベストかもしれませんが、わからないことをひとつひとつ調べていくと膨大な時間を要します。
もし準備ができないまま病気になったり亡くなったりしてしまうと、ご自身の要望や希望が家族に伝えられず、かえって迷惑を掛けてしまいます。

 

そのため、終活を進める上で疑問に思うことがあれば、周囲の手助けを借りることも重要です。
家族や友人に聞いてみるのも良いですし、身近に頼れる人がいないという場合は、各分野の専門家に相談して、終活をサポートしてもらうのもおすすめです。
以下に、それぞれの相談先についてまとめました。

 

・葬儀保険のこと…葬儀会社やファイナンシャルプランナー
・医療・介護のこと…病院や地域包括支援センター
・遺言や相続のこと…弁護士や司法書士
・お葬式に関すること……葬儀会社
・お墓に関すること……お寺や石材店
・空き家整理や生前整理、遺品整理等、家財の整理に関すること……整理専門会社

 

まとめ

葬儀保険は、持病がある方や高齢者の方でも入りやすい保険です。
月々の掛け金も少額に抑えやすく、保障内容もシンプルでわかりやすいので「亡くなった後のお金の備えに不安がある」という方は、加入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

当社ワンズライフでは、遺品整理のほか、家財整理のご依頼・ご相談も承っております。
また、当社では認知症や介護施設への入所などにより、ご自身で片付けが困難になった方の生前整理代行のお問い合わせも受け付けております。
家財の整理についての質問や疑問に思うことがある方は、ワンズライフまでお気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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