自然葬とは?散骨葬や樹木葬などの新しい葬送の形のイメージ画像

2017.09.27 (2022.09.21 One's Ending編集部 加筆)

自然葬とは?散骨葬や樹木葬などの新しい葬送の形

自然葬という言葉をよく耳にするようになりました。
これまでは、亡くなった後は荼毘に付され、お墓に入るのが一般的な流れでしたが、近年では自然回帰の概念や家族関係の変化、経済状況などから、自然葬を希望する人が少しずつ増えています。
お墓に限定しない「自然葬」とはどういう葬送なのかを詳しくご紹介します。

 

 

自然葬とは

自然葬は遺骨をお墓に納骨せずに自然の一部に還す葬送です。
散骨・風葬・鳥葬・水葬・火葬・土葬・植樹葬・冷凍葬など、さまざまな方式のある自然葬。
日本では、樹木葬の人気が高く、海洋葬(海洋散骨)・空中葬・宇宙葬なども広まりつつあります。

自然葬が指すのは葬儀ではなく、納骨方法です。
一般的には通常通り葬儀や火葬を行い、四十九日を過ぎたあと、納骨をする段階で自然葬を選択します。

基本的には、故人の希望によって自然葬を選択する方が多く、遺族が独断で選択するケースは少数です。

 

自然葬の歴史や世界の状況

日本では新しい葬送の方式として注目されている自然葬。
しかし、かつて日本では自然葬のほうが主流だった時代がありました。また、海外では現在も自然葬を一般的に行っている地域もあります。

日本における自然葬

新しい葬送の形として耳にすることが多くなった自然葬ですが、実は日本ではかつて自然葬のほうが一般的でした。 

古墳など古代のお墓は残っていますが、丁重に埋葬されるのは一部の有力者だけ。
庶民はあまり人の手をかけない自然葬が主流でした。
しかし、平安時代の前期に即位した淳和天皇は「骨を砕いて粉と為し、之を山中に散らすべし」と遺言し、実際に遺骨は京都大原野西山嶺に散骨されたと伝えられています。 

江戸時代中期以降、幕府が檀家制度を創設したことから、庶民もお墓を作るようになりました。
しかし、全員がお墓に入った訳ではなく、自然葬も続けられていました。 

現在も続く「先祖代々の墓」は明治時代に家制度ができて以降に浸透しました。
しかし、先祖代々の墓に入れるのは、家を継いだ長男家族だけ。
ほかの人は違う場所にお墓や納骨堂を準備する必要があります。

しかも、お墓や納骨堂は建立したり維持したりするのに高額な費用がかかります。
結婚しない人や子どものいない人も増え、管理できないお墓は増加傾向です。 

こういった背景のなか、「お墓に縛られない」自然葬が再び注目されるようになりました。

 

世界で行われる自然葬

日本ではまだまだ珍しい自然葬ですが、世界では自然葬のほうが当たり前という国が多くあります。 

たとえば、インドでは火葬された遺骨を海や川に流すのが一般的。
火葬代を支払えない人や赤ちゃん、妊婦さんなどのご遺体をそのままガンジス川に流す「水葬」も行われています。

 

自然葬を行うメリット・デメリット

自然葬にはメリットとデメリットの両方があります。
自然葬を検討する場合には、しっかりメリットとデメリットを理解しておきたいですね。

 

自然葬を行うメリット

自然葬を行うメリットは以下の通りです。

・亡くなったら自然に還るという希望を叶えられる
・お墓や納骨堂よりを契約するよりも安価に済ませられる
・維持する必要がなく継承者がいなくてもよい

自然葬は個別のお墓を持たずに、土や海に遺骨を還すため、自然の摂理に合った葬送の形でといえます。
従来通りのお墓や納骨堂を建てるには高額な初期費用が必要ですが、自然葬の費用はそこまで高くありません。
また、自然葬は葬送が終わったあとに管理する必要がないため、維持費がかからず、継承者がいない方でも安心です。

 

自然葬を行うデメリット

自然葬を行うデメリットは以下の通りです。

・自然葬をしたあとは遺骨を取り戻せない
・故人を偲ぶ場所がはっきりしない
・家族や親族などに理解してもらえない可能性がある 

自然葬は一度埋葬してしまうと、取り戻せないという特徴があります。
あとから「お墓に入れたい」と、思っても、納骨し直すことができません。
また、故人が眠っている明確な場所がないため、お墓参りがしにくいというデメリットがあります。
伝統を重んじ、故人を従来通り偲びたい方には、理解してもらえない可能性もあるでしょう。

 

自然葬の種類

自然葬にはさまざまな種類がありますが、とくに日本で普及しているのは以下の4つです。
それぞれの特徴をご紹介します。 

 

樹木葬

樹木葬は全国的に広く定着している自然葬の1つです。
樹木葬は人気が高く、さまざまな霊園や寺院で執り行っています。

サクラやハナミズキなどのシンボルツリーを墓標の代わりしていて、その木の下に納骨するというのが一般的な葬送方法。
ほかにも、土の中に遺灰と埋めたり木の根元に遺骨を撒いたりする方法があります。 

樹木葬では永代供養が基本なので、継承者がいなくても心配いりません。
また、家族単位ではなく個人で契約でき、単身の方やペットと一緒に眠りたい方も申し込みできます。

近年、公営の樹林墓地も誕生し、かなりの人気です。
たとえば、都立霊園のなかでは多磨霊園と小平霊園に樹木葬の墓地があり、費用は粉末状遺骨で30,000円から、骨壺状態での納骨で91,000円からになっています。(※)
民営霊園では約30〜100万円ほどかかる場合が多く、墓地の運営母体や立地などによって費用は大きく異なります。

※参照:公益財団法人東京都公園協会「令和3年度東京都立霊園使用者の募集

 

百日紅

 

散骨葬(海洋散骨)

散骨葬とは、遺骨を粉末状にして、海や山、川などに還す葬送のことを言います。
誰かの所有地には散骨できないため、日本では海洋散骨が一般的です。 

散骨葬を行うためには、遺体遺棄と間違われないように、遺骨を2mm以下のパウダー状に砕く必要があります。
遺族で粉骨することも可能ですが、業者に依頼するのが基本です。
委託代金は1万円~3万円程度。
遺骨を送付すると粉骨して返却してくれたり、遺族の立ち会いができたりと、業者によってサービス内容は異なります。

費用は散骨する場所によって変わってきます。
また、散骨に遺族が立ち会う場合には、その分の交通費も必要です。

たとえば、海外で海洋散骨をする際は、往復の交通費だけでかなり高額になります。

国内で海洋散骨をする場合、ほかの方と一緒に行う「合同海洋散骨」の相場が約10万円。
遺族が船をチャーターすると、料金は30万円~50万円ほどになりますが、船上でセレモニーを行えるケースもあります。

 

日本の海

 

空中葬

空中葬は粉末状にした遺骨を空に撒くことです。

空中葬では、遺族がヘリコプターやセスナ機に搭乗し、上空高い場所から遺骨を撒きます。
周辺地域の環境保全のため、海上で撒くのが一般的です。
ヘリコプターやセスナ機をチャーターしなければならないため、費用は約30万円~60万円と高額です。

 

宇宙葬

空中葬よりも高い場所で散骨する宇宙葬も、自然葬の1つです。
宇宙葬には、バルーン式とロケット式があります。 

バルーン葬は、ヘリコプターの代わりに気球を使って散骨します。
粉末状の遺骨を気球に乗せて打ち上げると、約2時間後には成層圏まで到達。
気圧が下がり気球が破裂すると、遺骨が撒かれます。
費用は空中葬よりも安く、約20万円です。 

ロケット葬では、ロケットで遺灰を宇宙空間まで運び、永遠に漂わせます。
ロケットの打ち上げは海外で行われるため、見送りを希望する場合は、別途渡航費用が必要です。打ち上げのみの費用は約50万円かかります。

 

星空

 

自然葬を希望するときに準備すること

自然葬を希望する際は、生前の準備が大切です。
どのような準備が必要なのかを解説します。

 

生前のうちに家族の同意を得よう

自然葬はまだ特殊な葬送方法なので、故人が希望しなければ執り行われることがほとんどありません。
このため、生前のうちに家族に希望を話しておくことをおすすめします。

また、希望を伝えるだけでなく、家族の合意を得ておくのも確実に執り行うためのポイントです。

たとえば、宇宙葬を希望していてエンディングノートに書いていたとしても、あなたが亡くなったあとにその事実を知った家族は驚いてしまうでしょう。 

気になる葬送方法があるなら、元気なうちに家族と話し合うのをおすすめします。

 

希望する自然葬を実現できる葬儀社を探そう

希望する自然葬があるなら、それに対応している葬儀社を探しましょう。

樹木葬は全国さまざまな地域で行っていますが、場合によっては人気でなかなか納骨できないケースもあります。
また、公営墓地の場合はその土地に住所がある方や遺骨を持っている方のみが申し込みできるなど、利用条件はさまざまです。

散骨に対応できる葬儀社も限られていますので、散骨してほしい場所も含めて事前に検討しておきましょう。

 

まとめ

近年、少子高齢化を背景に、家族葬や直葬などのシンプルな葬儀が主流になりつつあります。
お墓に関しても、継承や維持が困難なケースが多く、今後も自然葬を選ぶ方が増えていくでしょう。

ただし、現在のところ遺族が自ら自然葬を選択するほど、メジャーな葬送方法ではありません。
もし、自然葬を希望する場合には、生前のうちに家族に話しておく必要があります。
先祖代々の墓がある場合には、墓じまいを検討しなければなりません。早めに情報収集をしておくと安心ですね。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
ワンズライフ公式サイトはこちら 無料見積もりはこちら

ワンズライフのサービス

  • 遺品整理
  • 生前整理
  • 空家整理
  • 無料見積り
  • 取材・講演会お問い合わせはこちら

SNSで記事更新や最新情報をチェック!

お役立ち情報を配信 人気記事をもれなくチェック

ワンズライフのサービス

  • 遺品整理
  • 生前整理
  • 空家整理
  • 無料見積り