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2021.10.13

遺品整理の現場から~孤独死の第一発見者になったら

超高齢社会の日本では一人暮らしの高齢者が増加傾向にあり、孤独死を招く大きな要因となっています。
また、孤独死は高齢者に限らず、単身世帯の若者が誰にも看取られずに亡くなるケースも少なくありません。
もし孤独死が疑われるような場面に遭遇した場合は、どう対応していけばよいのでしょうか。

今回は、第三者が孤独死の第一発見者になった事例とともに、一人で第一発見者にならないためにできることをお伝えします。
孤独死が社会問題となっている今、いつ誰が第一発見者になるかわかりません。もしものときに備え、対応を考えておきましょう。

孤独死とは

内閣府の高齢社会白書によると、60歳以上で一人暮らしをしている方のうち、5割超が孤独死を身近な問題だと感じていることがわかりました。
孤独死とみられる事例が年々増加傾向にある中、一人暮らしの高齢者はもちろん、その家族や知人、賃貸の管理人など周りの人にとっても関心の高い問題といえるのではないでしょうか。

 

孤独死の定義

「孤独死」という言葉が広辞苑に初めて掲載されたのは2008年のことで、広辞苑では「看取る人もなく一人きりで死ぬこと」と載っています。
また、内閣府の高齢社会白書では「誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される死」とされています。

 

どちらも似たような意味合いですが、孤独死に明確な定義はありません。
そのため、「一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなった数」というように表現されることはありますが、孤独死による死者数を表す具体的な統計はないのです。

 

孤独死が起こる背景

孤独死が起こる背景には、第一に一人暮らしの高齢者が増えていることが挙げられます。
高齢化が加速する現代社会においては、高齢者の一人暮らし世帯が増えるのは当然の流れといえるでしょう。

 

また、核家族化が進んでいること、昔と比べ未婚者が増えていること、近所付き合いや地域コミュニティが希薄化していることなど、孤独死が増加傾向にある背景には高齢化以外にもさまざまな要因があると考えられます。
近くに頼れる人や気にかけてくれる人がいれば孤独死を防ぐことにつながりますが、家族や身内、地域との関わりがほとんどない場合、急に体調が悪くなったときや何らかの問題が発生したときに、誰にも気づいてもらうことができません。
その結果、誰にも看取られることなく、孤独死してしまうケースが増えているのです。

 

誰が第一発見者になるのか

孤独死の第一発見者になるのは、亡くなった方の家族や身内だけとは限りません。
アパートやマンションの管理人、定期的に自宅を訪問している福祉関係者や自治体関係者など、他人である第三者が第一発見者になるケースも多々あります。
連絡が途絶える、新聞や郵便物がポストに溜まっている、家賃の未払いが続くなど、普段とは違う行動を不審に思って自宅を訪問し、孤独死の発見につながるのが一般的です。

 

第三者が第一発見者になった事例

ここでは、実際に第三者が孤独死の第一発見者になった事例をご紹介します。

 

あるマンションで発見された孤独死では、定期的に通っていたケアマネージャーさんが第一発見者となりました。
そのケアマネージャーさんは多くの方によく働きかける方で、心配な方のご自宅には毎日のように通われていたそうです。
そのおかげもあり、故人様は自宅マンションの一室で孤独死をされていたにもかかわらず、亡くなってわずか数時間というところで発見できたのでした。

 

ケアマネージャーさんが孤独死の第一発見者になった経緯は次のとおりです。

 

1. 自宅の呼び鈴を鳴らしてもまったく応答がなく人の気配が感じられない
2. 不審に思い大家さんの元を訪れる(亡くなられた方は賃貸のマンション住まい)
3. 大家さんと一緒に合鍵を持って行き自宅の鍵を開ける
4. 横たわったまま動かない故人を見つける

 

この事例では、ケアマネージャーさんと大家さんが孤独死の第一発見者となりました。
基本的には第一発見者が警察に連絡することになるため、その後すぐに警察と消防に連絡し、現場に来てもらったとのことです。
孤独死と思われるような状況でも、素人ではその方が本当に亡くなっているか判断することは難しいでしょうから、生死を確認するためには消防も呼ぶことになるでしょう。

 

孤独死の第一発見者になると、警察の事情聴取で発見の経緯やそのときの状況などさまざまなことを聞かれます。
警察はまず事情聴取や現場検証をおこない、事件性の有無について判断する必要があるからです。
そのため、第一発見者となった人は警察が到着次第開放とはならず、しばらく警察からの事情聴取に対応することになるでしょう。

 

この事例の場合、ケアマネージャーさんは大家さんに鍵を借りに行くだけでなく、大家さんとともに自宅を訪れて孤独死された故人様を発見。
ケアマネージャーさんが一人で第一発見者になることはありませんでした。
警察からの事情聴取に応じなければならないことや、善意の第三者同士が第一発見者になると証拠能力が高くなることから、もしもの事態が想定される場合はなるべく一人で第一発見者にならないようにした方がよいでしょう。

 

一人で第一発見者にならないために

今回ご紹介した事例では、孤独死された方を担当していたケアマネージャーさんが最初に異変に気づきました。
賃貸マンションだったため大家さんに鍵を借りに行きましたが、ケアマネージャーさんはただ鍵を借りるだけではなく、大家さんにも一緒に来てもらうという冷静な行動をとりました。
警察が事件性を調べるときには第一発見者も疑われてしまいますから、ケアマネージャーさん一人ではなく大家さんと一緒に第一発見者となったのは、よい判断だったといえるでしょう。

 

一人で第一発見者になると警察への対応に疲弊するのもありますが、その現場を一人で見つけてしまうことにも精神的にかなり参ってしまうはずです。
「家主と音信不通になった」「毎日呼び鈴を鳴らしているが応答がない」というような理由から室内に入ることがあれば、孤独死を疑うまではいかなくても、念のため誰かと一緒に行動した方が賢明でしょう。
また、明らかに異臭がする場合は警察に連絡し、先に室内を確認してもらう方がよいでしょう。
このように何らかの異変を察知した場合は、無理に単独で行動することは避けるべきです。

 

家主と連絡がとれないからといって、すぐに「孤独死」を連想する方はそう多くはないかもしれません。
しかし、年々孤独死が増えている現状を考えると、その可能性がないとは言い切れないのです。
一人で第一発見者にならないためには、いかに「もしも」や「まさか」を想定した冷静な動きをとれるかが大切になるでしょう。

 

まとめ

高齢化が進み一人暮らしの高齢者が増えていること、地域とのつながりが希薄化していることなどから、誰にも看取られずにひっそりとお亡くなりになる「孤独死」が増えています。
孤独死の場合、アパートやマンションの管理人、隣人、福祉関係者など、身内ではなく第三者が第一発見者となるケースも多々あります。

 

第一発見者になると警察からの事情聴取で聞かれることがたくさんあるため、なるべくなら一人で第一発見者にならないようにしたいところです。
ドアをノックしても応答がない、電話をかけてもつながらないといったことからすぐに孤独死を疑うことは難しいでしょうが、何らかの異変を感じた場合は一人にならず、複数人で行動をとることを意識した方がよいでしょう。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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