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2017.06.16 (2022.04.22 One's Ending編集部 加筆)

形見分けとは~必ず行う?時期は?方法は?などの疑問を解決します~

形見分けとは遺品を手元に残すことで、故人を偲ぶ習慣です。逝去後すぐは余裕がないものですが、葬儀や四十九日法要のあと、やっと遺品整理や形見分けについて考え始めるという方が多いでしょう。
しかし、実際に経験のある方は少数で、多くの方はどのように形見分けをしたらよいのかわからないという方が多いかもしれません。そこで、形見分けの贈り方や注意点などを詳しく解説します。

形見分けとは

形見分けとは、「形見」を近親者に分けることで故人を供養するという、日本独自の風習です。
形見は遺品のなかでも、とくに在りし日に愛着を持って大切にしていたものを指します。
形見分けは、「片身分け」や「袖分け」とも呼ばれることもあり、もともとは故人が袖を通した衣類を渡すものでした。かつて、形見分けとは亡くなった方の魂を継承する意味合いもあったため、霊魂がこもりやすいと考えられていた衣服を近しい方にわけたのです。
また、着物は丈を調整すれば誰でも着用できたので、形見分けの品物として適しているという実利も兼ね備えていました。
ほかには、かんざしや指輪を引き継ぐ地域もありました。

 

海外でも形見分けをするの?

形見分けは日本独自の文化ですが、亡くなった方の愛用品を継承することはほかの国でも広く行われています。
アメリカやヨーロッパでは、古くて価値のあるものを子孫に引き継ぐ文化があります。
指輪・ネックレス・食器・懐中時計が先祖代々引き継がれているものの代表例です。
お隣の国中国では、故人の愛用品は副葬品として葬儀の際に一緒に燃やすのが一般的であの世に行っても、遺品の持ち主が大切に使うと考えられているのでしょう。

遺品を引き継ぐことはあっても、それはあくまでも大事にしているのはモノとしてです。
海外では、遺品に故人の魂が宿るとは考えないため、形見の継承が供養に繋がるという意識はほとんどないようです。

 

現代の形見分け事情

現在では、形見分けは必ず行わなければならないものではありません。
しかし、亡くなった方をいつまでも記憶する方法として、大切にしていたものや愛用品を分ける習慣は今でも残っています。
とくに、年配の方々のなかには、形見分けを当たり前に行うという感覚が根付いていることが多いようです。

洋服を着る方が増えた現代では、形見分けの品は衣類だけでなく、アクセサリー・写真アルバム・腕時計・趣味のグッズと多岐にわたります。

 

 

形見分けの時期はいつ?

形見分けを行う時期に決まりはありません。
故人を偲ぶ時間が必要だったり、なかなか遺品整理が進まなかったりと、さまざまな事情で遅くなることがあります。
しかし、形見は基本的に直接手渡しするものなので、親族一同が集まる機会に行うのが一般的です。
このため、親族の集まる忌明けの四十九日法要の際に執り行うことが多い傾向にあります。

ただし、忌明けの時期は宗旨宗派によって異なります。仏教・神式・キリスト教は、以下の通りの考え方です。

 

仏教

逝去後49日で忌明けになるので、このタイミングで遺品整理や形見分けを行う方が多い傾向です。
遺品整理を四十九日法要後から行い、初盆供養や一周忌の法事からの流れで形見分けを行うこともあります。

 

神道

神道では、仏教でいうところの四十九日法要にあたるのが、「三十日祭」もしくは「五十日祭」です。これらの霊祭が終わったあとに形見分けをしましょう。

 

キリスト教

キリスト教には、形見分けのようなしきたりはありません。
日本の伝統に則って形見分けをする場合には、逝去から30日後の追悼ミサにて行うのが一般的です。

 

形見分けの仕方や手順

いざ形見分けを行おうとしても、やり方や手順がわからない方も多いでしょう。
形見分けの仕方を順に解説します。

 

形見は誰に贈るの?

形見を贈る相手は、故人の親族や友人といった近しい方です。
目上の方には形見分けしないのが古くからの風習で、故人よりも年長者や地位の高い方には贈りませんでした。
つまり、贈る相手は、故人の子どもや孫、甥や姪、部下や後輩が一般的だったのです。

 

しかし、現代は社会的な地位や年齢を問わず、故人と親しい方に形見分けをするケースが増えています。
ただし、失礼になる可能性もあるため、本人から申し出があった場合のみ形見の品を贈るのが無難でしょう。

 

形見分けの品の選び方

形見分けの品にとくに決まりはありません。
しかし、高価すぎるものは相続の対象になるため、ふさわしくないでしょう。
一般的な品としては、衣類(着物)・アクセサリー・写真アルバム・万年筆・趣味のグッズが挙げられます。
故人が愛用していた机やパソコンなどの家具や家電も、よく贈られる形見です。

 

贈る相手の趣味趣向を考慮して、大切に使ってもらえそうなものを選ぶのがポイント。
洋服はサイズや色合いが相手に合うのか考えましょう。
また、贈る際はすぐに使えるように、クリーニングに出したりキレイに磨いたりしておくのがマナーです。
破損していたり汚れが付いていたりするものは、欲しいという希望があった場合を除いて、贈らないほうが無難でしょう。

 

アクセサリー 時計

 

形見の品はそのまま渡すのが基本

形見は手渡しするのが基本です。
プレゼントではないので、包装せずそのまま渡します。
もしくは、半紙で軽く包んで渡すとよいでしょう。

 

形見分けをもらったらどうする?

ここまで形見を贈る側の話をしてきましたが、形見をもらった場合について解説します。
形見分けの品を贈られたら、特別な理由がない限り受け取るのが基本です。
また、一般的な贈り物とは異なり、お礼の品を贈り返す必要ありません。
ただし、受け取った形見を第三者に譲ったり売ったりするのはマナー違反です。
ご注意ください。

 

形見分けをする際の注意点

形見分けをする際に注意したいことがあります。
まずは、形見分けに関連する詐欺まがいの事例の存在を知っておきましょう。

 

まったく面識のない人物が突然現れ、形見分けと称して、高価な遺品を持ち去るような事例もあるのです。
家族であっても、故人の人間関係をすべて把握している訳ではありません。
本当に故人と親しかった人物だった可能性もあります。
しかし、突然の申し出に困らないように、あらかじめ断り方を決めておくのがおすすめです。
ほかにも、トラブルを避けるための具体的な注意点をご紹介いたします。

 

遺産分割は先に済ませておく

形見分けを行う際は、先に遺産分割を済ませ、価値のあるものが残っていない状態にしましょう。
遺産分割の前段階として、遺品整理を行います。
その際に、高価なものとそうではないものに分けておきましょう。
そして、高価なものに関してはあらかじめ鑑定をしてもらい、査定額を踏まえて遺産分割協議を行います。

 

価値のある宝飾品を形見分けするときは、あくまでも相続として、鑑定額も一緒に遺産分割協議書に記載するのがおすすめです。
形見の価値を相続人同士で共有し、記しておくことが、後々揉め事を防ぐことに繋がります。

 

相続放棄の場合

相続を放棄するなら注意が必要です。
形見分けは相続の一部にあたるので、場合によっては相続財産の隠匿とみなされて、相続放棄ができなくなる可能性があります。

 

相続放棄をする際は、基本的に形見分けはできないと考えたほうがよいでしょう。
相続放棄後に形見分けをする際は、専門家に相談すると安心です。

 

【関連記事】相続放棄とは?デメリットや注意点の解説

贈与税がかかる場合も

貴金属などの形見は遺産分割協議書に記載が必要です。
高価なものを形見分けすると、受ける側に贈与税がかかる場合もあります。
一般的に50,000円を超えるものは相続税の対象になるため、注意しましょう。
とくに親族以外の方へ形見分けするときは、あまり価値の高いものは贈らないようにしましょう。

 

【関連記事】贈与税とは?生前贈与を上手に活用しよう

形見分けを実際に行った方のエピソード

実際に形見分けを行った方のエピソードを集めました。
思いがけないいざこざを経験した方も多いので、ぜひ参考にしてください。

 

保存状態が悪く、結局処分費用が高くなってしまった

・東京都在住 30代 女性
葬儀が終わって少し落ち着いた頃に、形見分けの準備をしていたら、遺品のなかから価値のありそうなものがたくさん出てきました。
しかし、祖父は高齢だったため、遺品は整理整頓されておらず保存状況が悪かったようです。
そうとは知らず、箱に入ったままの状態で形見分けをしましたが、カビや破損があったようで親戚から返却されてしまう始末。
泣く泣く処分しましたが、その費用が結構お高くなってしまいました。

 

友人が勝手に仕切り始め・・・

・岡山県在住 30代男性
家族が亡くなったときのこと。友人の男性が「俺が全部知っている」と勝手に仕切り始めました。
その友人が「『あんたらには何も分けない』と言っていた」と、言うので、「そんなことはないでしょ。証拠を出せ」と、こちらは要求したところ、本人が書いた遺書と本人の生前のビデオメッセージが出てきました。
内容を確認すると、友人の言う通りに話していて、私たちは何も言えず、。分け前は何もありませんでした。

 

前もって決めておけばよかった

・北海道在住 30代女性
今から約3年前に祖母が亡くなりました。
祖母は祖父と2人暮らしで、認知症を患っており、よく年金でいろいろなものを買っていたようです。
亡くなった後に形見分けを行いましたが、価値のわからないものも多く、苦労していました。
結局専門の業者さんに頼んで査定してもらったのですが、査定結果が予想以上に高額だったので、その分配に揉めてしまいました。
「誰に何を形見分けするのかを、前もって決めておけばよかった」と後悔しました。

 

娘たちが勝手に捨てて大揉めに

・北海道在住 40代男性
祖母の遺品を形見分けしたときの話です。
物や資産はそれ程なくあっさり終わるかと思われましたが、娘たち(私からみると伯母)が現れて勝手に遺品を次々捨てたため、あとから大揉めになってしまいました。
「形見として大事に保管しておこう」と話していたものも捨てられていて、親族一同大激怒!結局、荒らすだけ荒らして娘たちは退散。
私は何とか祖母の直筆の書物を分けてもらいました。
今でも供養として大事に飾っていますが、見るたびに形見分け時の騒動を思い出してしまいます。

 

本当に大事なものかわからずに苦労

・40代女性
故人が大事に保管していた宝石や着物などの価値がわからず困りました。
故人は普段から価値を問わずいろいろなものをすべて箪笥にしまい込んでいたので、どれを優先して形見分けすればいいのかがわかりませんでした。
ちゃんとした遺言でなくても、物の処分に関するメモを残してほしかったです。

 

このほかにも、形見分けに関するコラムはこちらでご紹介しています。
形見分けを行うかどうかを悩んでいる方は、よろしければこちらのコラムをご覧ください。

 

【コラム】あの人に、こころ寄せるひとときVol3. ~母親の形見分けに集まった、あるきょうだい達の話~

 

エピソード

 

 

まとめ

家族を亡くしたとき、在りし日に愛用していたものを手元に残しておきたいと思う方は多いでしょう。
故人の供養にもなるので、形見分けは大事にしたい風習です。

 

しかし、形見分けは揉め事の原因になることが多いのも事実です。
とくに高価なものは親族内で不公平感を生じさせますし、相続税の対象にもなってしまいます。
亡くなった方も、自分の遺品がもとで親族が揉めていると知ったら、とても残念な気持ちになるはずです。
無用な争いを避けるために、市場価値は低くても故人が偲ばれるものを形見分けするのがよいでしょう。

 

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この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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