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2021.03.15

最期の装いに洋風の死装束、注目が集まるエンディングドレスとは

人が亡くなると、あの世へ旅立つ準備としてご遺体を清め、死装束を着せて身なりを整えます。仏教の教えでは、死者の魂は仏様のもとへ赴くために冥土の旅に出るとされており、亡くなった方が身に着ける白い装束は、修行僧や巡礼者の姿を意味しているといわれています。そういったことから、日本においては死装束というと白の着物が一般的でした。

しかし最近は、人生の終焉を考えることを通して、自分らしい生き方を考える「終活」の広まりととともに、最期の装いに「エンディングドレス」を選ぶ方が増えてきていることをご存知でしょうか?

そこで今回は、“現代の死装束”とも呼ばれるエンディングドレスの特徴や選択するメリット、準備する時のポイントなどを詳しくご紹介します。

洋風の死装束である「エンディングドレス」とは?

エンディングドレスは、日本で伝統的に用いられる白い着物とデザインは異なるものの、亡くなった方が着る「死装束」の一種です。
ここでは、死装束とはそもそもどういうものなのか、なぜ着るのかをご紹介したうえで、エンディングドレスについて解説していきます。

死装束の本来の意味

死装束とは、亡くなった方に着せる服のことです。死装束には「旅立ちの恰好をさせることで、故人が無事に浄土に旅立てるように」という願いが込められています。

 

仏教では、亡くなった方の魂は仏様のいる国に旅立つとされ、その装いには木綿の白い単衣に経文を書いた「経帷子(きょうかたびら)」が良いとされていました。

そのため、仏教徒が多い日本では、死装束には白い着物を着せる風習があります。

 

宗教や宗派によって違いはありますが、仏式の死装束は、経帷子を着せ、白い手甲、脚絆(きゃはん)、左右を逆さにした白足袋、わら草履をはかせて手には数珠を持たせます。

首には、三途の川を渡るためのわたし賃として、六文銭を入れた頭陀袋(ずだぶくろ)をかけるのが一般的です。

これは、僧侶の旅立ちに似せたものでもあり、巡礼者や修行僧の服装であるとされています。

 

死装束で白の着物を着る理由は「白は神聖な色」「死を意味する色」とされているからです。

何色にも汚されていない白には「汚れを洗い流し、無事に冥土へ旅立ってほしい」という願いが込められているのです。

 

なお、在来仏教の中でも、浄土真宗は「亡くなった方の魂は仏様の力によってすぐに成仏する」という考えがあるため経帷子が着せないことになっています。

 

死装束を着せるタイミングは?誰が着せるの?

死装束は、納棺の儀式の前に着せるのが一般的です。

ただし「湯灌(ゆかん)」を行うときは、着せるタイミングが異なる場合があります。湯灌とは、ご遺体をぬるま湯で清め、身体を拭くことです。湯灌は納棺の前に行うことが多いですが、明確な決まりがあるわけではありません。

そのため、湯灌のタイミングによっては、少し早めに死装束を着せることもあります。

 

死装束を着せる際はご遺体を動かす必要がありますが、亡くなった方の体は死後硬直によりかたくなっており、扱いが困難です。

ご遺族や親族の方が着せることもありますが、最近では、葬儀社の担当者や納棺師が行うことが多くなっています。

 

エンディングドレスとは

エンディングドレスは「亡くなった方が納棺の儀式の前に身に着ける死装束」ですが、仏式の着物とは違い、レースやオーガンジーをあしらったりギャザーが施されていたりしてデザイン性が高く、華やかなイメージの衣装が多いことが特徴です。

 

小物に関しても、レースのベールや手甲など、ドレスに合うデザインのものがセットで用意されています。

洋風のロングドレスもあれば、着物をエンディングドレス専用に仕立てたものなど、衣装の種類が豊富だということも、一般的な死装束と異なる部分です。

 

また、エンディングドレスは亡くなった方のお顔映りがよくなるように色や素材、装飾などが工夫されています。

開口部を大きく取り、ゆったりとしたシルエットに仕上げることによって死後硬直でかたくなったご遺体にも着せやすい設計になっているため、誤ってお身体を傷つけてしまう心配もありません。

 

人気の色は?

エンディングドレスは、白だけでなく、ピンクやブルーなど色のバリエーションも豊富です。

メーカーによっては、花柄のドレスも販売されています。

人気が高い色はピンクで、特にお顔映りが良くなる淡いピンクを選択される方が多いようです。

 

いくらぐらいから購入可能?

エンディングドレスは、シルクやサテンといった上質な素材が使われることが多いため、白の仏衣よりも価格は高くなる傾向があります。

購入するお店によっても価格設定は異なるため一概には言えませんが、金額の相場は、4~30万円程度です。

 

終活の普及とともに高まるエンディングドレスの人気

エンディングドレスの人気が高まってきているひとつの理由としては「終活」の普及が挙げられます。

終活とは「人生の終焉に向けての活動」を省略した言葉で、当初は“死ぬための準備”といったネガティブなイメージがありました。

しかし、最近では「自分の終焉を考えることを通して、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動(一般社団法人終活カウンセラー協会)」と定義が見直され、終活は前向きな活動と考えられています。

 

そして、終活に取り組む中で、葬儀社が用意した死装束ではなく「最期は自分が用意した、自分らしい衣装で見送ってほしい」と考える方も増えてきました。

白一色の経帷子を着た故人のお姿は、どこか寂し気に感じたり、さらに悲しい気持ちになったりする方も多いのではないでしょうか。

死装束を着た姿を見て「最期は好きな服を着せてあげたかった」とおっしゃるご家族も少なくないようです。

 

そういったこともあり「自分のためだけでなく、家族のためにも選んでおきたい」という方も増え、エンディングドレスの人気は年々高まってきています。

 

エンディングドレスを選択するメリット

白の仏衣ではなく、エンディングドレスを選択することで、華やかな姿でお見送りしてもらえるというメリットがあります。

エンディングドレスはお顔映りが良くなるように工夫されているので、ご家族やご友人にきれいな姿を覚えておいてもらうことができます。

 

その他には、レースやオーガンジーなどの装飾を施すことで点滴や手術痕を目立ちにくくできたり、袖やスカート部分にボリュームがあることで、闘病によって痩せてしまった身体を豊かに見せたりすることも可能です。

このように、エンディングドレスは、見た目の華やかさだけでなく、機能性も兼ね備えています。

 

エンディングドレスの準備方法

ここまで、エンディングドレスの特徴や選択するメリットについてお伝えしてきました。

ただ、実際にエンディングドレスを扱うお店に行ってどんな衣装があるか見てみようと思っても、ドレスの専門店や喪服店では販売していない場合も多く「どこで購入できるのだろうか」と悩む方も多いのではないでしょうか?

 

そこでこの章では、エンディングドレスの準備方法についてご紹介します。

 

①通販サイトで商品を購入する

2021年時点では、エンディングドレスを販売している実店舗はまだそこまで多くありません。

まずはドレスのデザインを見てみたいという方は、インターネットで「エンディングドレス メーカー」「エンディングドレス 販売」「死装束 ドレス」と検索をかけてみるのもおすすめです。

すると、エンディングドレスを扱うメーカーや通販サイトが多数ヒットします。

商品写真と一緒に価格を掲載しているメーカーも多く、予算を考える上でも役立つでしょう。

 

無料で生地サンプルを届けてくれるメーカーも

通販サイトは自宅から商品を注文できるという手軽さが魅力ですが、実物を見ることができないというデメリットもあります。

そういった点に配慮して、送料無料で生地サンプルを届けてくれるメーカーもあるようです。

 

たとえば、エンディングドレスの通販サイトである「さくらさくら」や「PETIT CRANE(プチクレーン)」では、お問い合わせページから電話やメールで連絡をすると、生地サンプルを無料で配送してもらえます。

通販サイトで購入を検討される方は、こういったサービスを利用するのもおすすめです。

 

②手作りするor手持ちの服をリメイクすることも可能

ポプラ社から販売されている「エンディングドレス」(著者:蛭田亜沙子さん)という書籍をご存知でしょうか?

32歳の若さで夫に先立たれてしまった女性が、洋裁教室に通ってエンディングドレスを自分で縫うというストーリーなのですが、死装束を作ることや周囲の人とのかかわりを通して自分自身と向き合い、前に進んでいくという内容の作品です。

 

この本の感想はここでは控えますが、このように、エンディングドレスは商品化されたものを注文する以外にも、自分で手作りするという方法もあります。

また、エンディングドレスは色や形に決まりはないため、お気に入りの服をエンディングドレス用にリメイクすることも可能です。

ただし、ご自身で手作りするときや、手持ちの服をリメイクする場合は、いくつか注意が必要です。

この点については、次の章で詳しくご紹介します。

 

エンディングドレスを準備する時のポイント

ご自身で好きな色やデザインを選べるエンディングドレスですが、亡くなった時に着る衣装ということもあり、準備に際してはいくつか気を付けたいことがあります。

ここでは、エンディングドレスを準備する時に確認しておきたいポイントを3つまとめました。

 

金属や革素材は避ける

エンディングドレスを着たままで火葬を行うため、金属製の金具やビーズが付いた衣装だと燃え残ってしまう可能性があります。

また、小物を含め、牛革や豚革、爬虫類の革など、生き物の革を使用したドレスは避けた方が良いでしょう。

革は火葬で燃えにくいということもありますが、仏教では、生き物への殺生を禁じているため、身に着けると縁起が良くないとされています。

 

スムーズに着用できるドレスを選択する

エンディングドレスを準備する時は、死後硬直した身体に着せられるように製図・縫製されたものでないといけません。

サイズには少しゆとりを持たせ、スムーズに着付けができるよう、ファスナーや留め具ができるだけ少ないドレスを選ぶのがおすすめです。

 

生前に準備した場合は家族に伝えておく

生前にご自身でエンディングドレスを準備した場合は、ご家族に「衣装はすでに決めてあること」「どこに保管しているか」の2点を伝えておくことをおすすめします。

口頭で伝えるのも良いですし、エンディングノートなどに書き記しておくのも良いでしょう。

そうすることで、納棺の際にご家族が誤って別の衣装を選んでしまうという事態を防げます。

 

エンディングドレス以外にも終活で準備しておきたいことは多数ある

終活に取り組む際は、エンディングドレスの準備以外にもしておきたいことがたくさんあります。

具体的には、どんな準備しておくと良いのでしょうか?ここでは、終活を行う際にやっておきたい代表的な内容をまとめました。

 

【関連記事】終活の意味とは?いつから始める?おすすめのやり方とメリット

 

①エンディングノートの準備

エンディングノートとは、個人情報やこれまでの人生のこと、これからの目標、家族へのメッセージなど、自分自身に関することを自由に書き留めておけるノートです。

医療や介護についての希望やペットのお世話に関することなど、自分にもしものことがあった時に家族に伝えたいことも書いておくこともできます。

「終活といっても何から始めれば良いかわからない」という方は、はじめにエンディングノートを作成してみると良いでしょう。

 

②お葬式やお墓の準備

終活の一環として、お葬式やお墓の生前予約をする方もいます。

最近はお葬式の形式も多様化してきていますので、希望するお葬式の形式がある方は、エンディングノートなどを利用して、家族にわかるように書き記しておくのがおすすめです。

 

お墓を生前予約する方は、永代供養墓ならいくらぐらいかかるか、管理費は年間いくらかかかるかといった維持費についても調べておきましょう。

 

③持ち物の整理

生活をしていると、生活用品は知らず知らずのうちに増えていきます。終活を機に、断捨離をしていらない物を整理しておく方も多くいます。

物を整理しておくと、自分の身に何かあったときに家族が片付けをする手間も省けますし、生活空間がすっきりすることで、今後の生活もより快適になるでしょう。

 

④家やお金の整理

不動産を所有している人は、元気なうちに相続についても考えて意思を示しておくと、後で遺産分割協議の際や手続きがスムーズに進むでしょう。

もし所有している不動産が空き家の場合は、相続放棄をしても相続人に管理義務が残りますし、所有しているうちは固定資産税が発生します。

親や親族から受け継いだ空き家などがある場合は、売却や賃貸に出すなど、早めにその後の活用方法を考えておくのがおすすめです。

 

その他の財産についても、財産目録を作るなどして正確な金額を把握しておきましょう。

今後の資金計画を立てるときや「誰にどの財産をいくらぐらい相続するか」を考える上で役立ちます。

 

いざという時に頼れる「整理専門会社」について知っておこう

ご自身が健康で元気なうちは、終活の準備を自分ひとりですることもできるでしょう。

しかし、万が一入院してしまったり認知症を患ってしまったりすると、ご自身で終活準備を進めるのは難しくなることが予想されます。

そうなると家族や親族のサポートが必要になってきますが、近年は核家族化によって子世帯や兄弟と離れて暮らしているも多く、身近に頼れる親族がいないという方も増えてきているようです。

 

そのような背景もあり、ご本人や家族・親族に代わって家財整理を代行してくれる「整理専門会社」の需要が年々高まっています。

企業によってサービス内容は異なりますが、遺品整理、生前整理、空き家整理など、目的に合わせた整理を依頼することが可能です。

また、弁護士や司法書士といった専門家と提携して、相続や不動産売却についてのサポートを受けられる企業もあります。

 

まとめ

ひと昔前までは、亡くなった方は宗教・宗派にそった死装束を着ることが一般的でした。

しかし、終活の広まりにより、価値観に合った衣装で最期を迎えたいと考える方が増え「自分らしさ」を表現するひとつの手段としてエンディングドレスが注目されつつあります。

 

「最期はきれいな姿で見送ってほしい」というご本人の思いと「最期は好きな衣装で送り出したい」というご家族の思いを叶えるエンディングドレスは、今後も人気が高まっていくでしょう。

 

終活では、今回ご紹介したエンディングドレスの準備以外にも、お墓やお葬式の準備、お金や身の回りの物の整理など、することがたくさんあります。

終活に取り組む際は、これらに加えて、整理専門会社についての知識を深めておき、いざという時に頼れる信頼できる企業を見つけておくと、より安心して今後の生活を送ることができるでしょう。

 

当社ワンズライフでは、遺品整理のほか、認知症や長期入院によって片付けが困難な方の生前整理、空き家整理のご依頼・ご相談を受け付けております。

家財整理について気になることがある方は、ワンズライフにお気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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