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2021.12.06

相続放棄をしたら何が起きる?〜トラブルを防ぐためにできること

家族や身内が亡くなったときに考えなければならない「相続」。
相続放棄をするにしても手続きには期限があり、なるべく早めに決断しなければなりません。
さらに、相続放棄はきちんとした手順をふまなければ受理されない可能性も。相続放棄の手続きは失敗のないように、慎重に進めていく必要があります。

今回は、実際にあった相続問題の事例とともに、相続放棄をするとどんなことが起きるのか、手続きをするうえで注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の財産に対する相続権を放棄することをいいます。
簡単に言うと、亡くなった方が持っていた財産を一切受け取らないということ。
財産には不動産や預貯金など「プラスの財産」はもちろん、借金などの「マイナスの財産」も含みます。
相続放棄をするとすべての財産が受け取れなくなるため、故人に借金があった場合は相続人が借金を返済する義務はなくなることになります。

 

相続放棄は相続の方法のひとつ

相続には以下の3つの方法があります。

 

●単純承認:被相続人の財産をすべて受け継ぐこと
●限定承認:プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を受け継ぐこと
●相続放棄:被相続人の財産を一切受け継がないこと

 

相続放棄は相続の方法のひとつであり、プラス・マイナスにかかわらずすべての財産を放棄することです。プラスよりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄という選択をする遺族も少なくありません。

 

相続放棄のメリット・デメリット

相続放棄をする最大のメリットは、故人の債務を一切負わなくて済むことです。
他の相続人との遺産分割協議に参加する必要もないため、遺産分割にありがちな相続人同士の揉めごとに巻き込まれる心配もありません。

 

一方で、相続放棄をするとプラスの財産も一切受け継ぐことができません。
故人の財産状況が不透明な場合は限定承認の手続きをしておけば、マイナスの財産があったとしてもプラスの財産の範囲内で引き継ぐことができます。
ただし、限定承認の申述は相続人全員が共同でおこなう必要があります。

 

相続放棄の問題〜口頭だけで進めてしまってもよいのか?

ここからは、実際にあった相続問題の事例をご紹介します。
賃貸で借りていた部屋で孤独死された故人様のお話です。
こちらの故人様にはご遺族の方として、離婚された奥様やお子様がいらっしゃいました。

 

亡くなられた部屋の上の階や両脇に住まわれていた入居者さんも出て行かれたため、大家さんとしては1日でも早く片付けて入居者の募集を始めなければ損害が膨らむ一方となります。
しかし、故人様の部屋はいわゆる「ごみ屋敷」のような状態で、床から天井近くまでモノが溢れかえっていました。

 

このような状態になってしまっては部屋の片付け・清掃に多額の費用がかかるだろうこと、さらには故人様には借金の経験がおありだったことから、ご遺族の方は相続放棄をするお考えのようでした。
大家さんとしても早めに片付け始めたいところでしたし、ご遺族の方からも口頭で「片付け費用を大家さんが負担していただけるなら、遺留品についてのクレームは申しません」と言われていたそうです。

 

しかし、ここで問題なのは「口頭だけで進めてしまってもよいのか」ということ。
相続放棄は家庭裁判所への申述をもって成立するものであり、相続開始前に相続放棄を進めることはできません。
つまり、単に口頭で「相続しない」と意思表示するだけでは、相続放棄をしたことにはならないのです。

 

故人様を担当されていたケアマネさんも「長男さんにでも一筆もらってからじゃないと、問題になってからでは遅いですよ」と大家さんに言っておられましたが、至極もっともなことでした。
ただし、判例的にも相続放棄が受理される前に遺留物を放棄するというような書面を残してしまうと、いざ相続放棄をしようとしても受理されない可能性があるようです。

相続トラブルを防ぐためにできること

今回ご紹介したケースでは、法的に相続放棄の手続きを完了させてから片付けを進めていくのが最も安全かつ正論といえるでしょう。
相続放棄には期限があり、特別な事情がない限りは相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に手続きをしなければなりません。
期限を過ぎた場合は単純承認(すべての財産を相続)したことになるため、相続放棄をするならなるべく早めに申し立てをする必要があります。

 

また、相続放棄の申述にあたっては、他の相続人から同意を得る必要はありません。
とはいえ、誰にも相談せずにひとりで相続放棄を進めると、特にマイナスの財産がある場合は後々トラブルに発展してしまうおそれがあります。
相続トラブルを防ぐには、相続放棄をする際に権利者全員で話し合いの場を持ち、互いに相談しながら決めていくことが大切です。

まとめ

相続放棄とは亡くなった方の財産を受け継がずにすべて放棄することで、家庭裁判所への申述をもって成立します。
相続放棄をするなら法的に手続きを済ませておく必要があり、相続放棄が受理される前に口頭だけで進めることはできません。

 

相続放棄をする際には相続の権利者全員でよく話し合い、互いに納得したうえで手続きをおこなうことをおすすめします。
ひとりの判断で勝手に進めるのではなく、関係者全員で話し合いの場を設けること。それが相続トラブルを防ぐことにつながるでしょう。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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