2022.03.25
遺品整理・生前整理の現場から~認知症からゴミ屋敷へ
生前整理とは、自分が他界した後に残された家族に負担がかからないよう、本人が健在のうちに身の回り品や財産を整理することです。
しかし、生前整理の抱える問題として本人が認知症を患ってしまっているケースが多く、片付けようとすると本人に怒られてしまいなかなか作業を進められない場合があります。
今回は、認知症を患い施設に入られたお住まいの生前整理の事例とともに、認知症からゴミ屋敷になる背景とそれを防ぐための対処法をご紹介します。
生前整理の抱える問題
認知症を患ったお住まいの生前整理には以下の2パターンがあります。
2. 本人の認知症が進みご家族も面倒が見られず、施設に入ってもらっている場合
1つ目のパターンでは、家中に物が溢れても捨てられない・片付けられない状態になっています。
さらに大概のケースで本人としてはゴミをゴミとは思っていないため、どんどん不要な物がたまっていき、ゴミ屋敷のような状態になってしまうのです。
この場合、本人の状態が良くないとその日の作業はできないということもあり、時間と予算は余裕を持っておく必要があります。
2つ目のパターンは、片付けるお住まいに本人が住んでいない場合です。
本人の認知症が進むと、ご家族も仕事があって1日中は見ていられないため、施設に入ってもらう必要があります。
本人が費用を残しておかれていればよろしいのですが、それがない場合は施設の入居費用・生前整理の費用は全てご家族の負担になってしまいます。
【事例】 認知症が進んだお母様宅の生前整理
今回ご紹介する生前整理の事例は2つ目のパターンで、認知症を患い施設に入られたお母様宅を片付けたいというご依頼です。
お住まいには亡くなられたご家族の物も残されていたため、お母様の分は生前整理、他のご家族の分は遺品整理という形になります。
また、作業にかかる費用はご依頼者様が負担することとなりました。
ご依頼者様のお母様は豪傑な方だったそうで、亡くなられたご長男様の子供である孫たちを女手一つで育てられたとのことです。
しかし、心配の種だった孫たちが出て行ってしまってからは、魂が抜けたかのように急速に認知症が進んでしまわれたといいます。
遺品整理・生前整理の専門業者「ワンズライフ」では、片付けの際に一つ一つを手にとって丁寧に仕分けをしています。
今回の事例では気を付けていないと見逃してしまうような物を見つけ、「両親の若い頃の写真を探して欲しい」というご依頼者様からのご要望にもお応えさせていただきました。
認知症からゴミ屋敷になってしまう背景
認知症の主な症状としては、物忘れが激しくなる記憶障害や理解力・判断力の低下などがあります。
認知症を患うとゴミの収集日を忘れてしまい、決められた日にゴミを出すことができずためこんでしまいがちです。
また、これまでは不要な物=ゴミと判断できていても、認知症になると物事を適切に判断できなくなることがあります。
他人から見ると明らかなゴミであっても、本人にとっては「まだ使える物」「必要な物」であるため、処分できずにそのままためてしまうのです。
このように、認知症からゴミ屋敷になってしまう背景には、記憶障害によってゴミの収集日を忘れたり、理解力・判断力の低下によって「ゴミ」の認識が曖昧になったりすることが挙げられます。
この積み重ねで徐々に家の中に物がたまっていき、足の踏み場もないようなゴミ屋敷の状態になってしまうということです。
ゴミ屋敷化を防ぐための対処法
高齢化や核家族化が進み一人暮らしの高齢者が増える中、認知症が原因で自宅がゴミ屋敷化してしまうケースが増えています。
家族が生前整理を始めたくても、そこに住む本人が認知症を患ってしまうと、片付けを受け入れてくれないことも多々あります。
ゴミ屋敷化を防ぎ生前整理を進めるには、ご家族やケアマネージャーさん、整理業者などが強力に連携して本人を説得しながら作業することが大切です。
ご家族でコミュニケーションを取ることも必要ですが、認知症を患われた方はゴミの判断がつきにくく、何でもかんでもためこんでしまうため、ご家族だけでは対処できないケースも少なくありません。
本人の説得が難しい場合はプロの遺品整理・生前整理業者に相談し、周りと連携しながら少しずつ片付けを進めていきましょう。
まとめ
今回は、認知症を患われたお母様宅における生前整理の事例をご紹介しました。
認知症になるとゴミの収集日を忘れたり、いる物・いらない物の区別が付かなくなったりし、やがてゴミ屋敷のような状態になってしまうことがあります。
本人の意識ははっきりしているため、片付けようとしても拒まれてしまい、なかなか思うように作業を進められません。
ご家族だけで解決するのが難しい場合は、本格的にゴミ屋敷化してしまう前に、なるべく早くプロの業者に相談しましょう。
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