2018.04.24 (2021.06.25 One's Ending編集部 加筆)
空き家解体のメリット・デメリット 費用や助成金について解説
相続などで空き家を受け継いだ場合、リフォームして活用する、建物付きの状態で売る、解体して更地にして売るなど、様々な選択肢があります。
住む予定はないけれど、しかも人に貸そうにも、かなり傷んでいてリフォームにはお金がかかる。
では解体しようかと思うにも、解体費用のことや固定資産税などの税金が上がるのではないかと心配になっている方も多いのではないでしょうか?
また、平成27年に施工された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、特定空き家に認定される可能性もあります。
この記事では、空き家の解体に関するメリット・デメリット、解体の費用や助成金などについて解説します。
空き家の定義
空き家とは1年を通して人の出入りや電気・ガス・水道の使用がないことが、判断基準となっています。
空き家の中でも管理不良な状態にある空き家に対しては、「特定空き家」に認定されることがあります。
特定空き家は、平成27年に施工された「空家等対策の推進に関する特別措置法」がもとになっています。
空き家が倒壊の危険性や衛生上の問題がある場合、自治体が所有者に対し、撤去や修繕を指導、勧告、命令することができる法令です。
特定空き家に指定され、自治体から状況改善などの命令に従わない場合は、最大で50万円以下の過料に処される可能性があります。
さらに、行政の勧告や命令を無視して空き家を放置していると、行政代執行されることもあります。
実際に行われた空き家解体の行政代執行では、100~2000万円もの費用負担が発生しています。
具体的な特定空き家の状況は以下の4つが定義されています。
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態。
適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態。
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態。
特定空き家の詳細については下記の記事をご参照ください。
特定空き家とは?固定資産税に影響する空き家対策特別措置法の定義と判断基準
空き家解体を検討する基準
空き家を放置しておくと特定空き家への指定により、税金の負担増や過料などのリスクがあります。
金銭や労力、時間などの関係で空き家の維持管理が難しいのであれば、ペナルティを受ける前に空き家解体を検討したほうがいいかもしれません。
空き家の解体を検討したほうがいいと考えられる例をご紹介します。
今後も空き家を利用する予定がない。
遠方にあって自身では管理ができない。
管理業者にお金を払ってまで管理したくない。
不審者や、犯罪者が住みつくなどの防犯問題が起きても気づきにくい立地にある。
家屋が破損して風でトタンが飛ぶなど、周囲に危険をおよぼしている。
近隣から空き家に関しての苦情が来ている。
古すぎてリフォームしようにもお金がかかりすぎる。
自治体から特定空き家に指定されてしまった。
空き家を解体するメリット
ここからは、空き家を解体した場合のメリットを見ていきましょう。
空き家を管理する手間や費用負担がなくなる
空き家は適切な管理をしないと傷みが早くなります。
たとえば、小動物が住みついて糞尿などによって家が傷む、通風ができないことから湿気がこもって木材が腐る、などです。
その他にも郵便物がたまり、庭には雑草が生い茂ります。
その結果、空き家であるとわかる状況になり、不審者に侵入され犯罪の温床になったり、災害のときに倒壊したりして周囲に迷惑をかけてしまうことが心配されます。
そのようなことを防ぐために、自身で定期的に訪れて管理するか、空き家管理業者に委託する必要があり、手間やお金がかかります。
空き家を解体することで、そのような状況から解放されます。
土地を売却しやすくなる
空き家付きだと売却が難しい場合でも更地にすると買い手が付きやすくなる傾向があります。
更地にすることで土地の価値も上がるというメリットもあります。
シロアリ被害がひどい、梁が破損しているなど、リフォームもできない状況の家屋は解体した方がいいでしょう。
空き家を解体するデメリット
次に解体する場合のデメリットを見てみましょう。
解体費用がかかる
解体すべき建物が建っている状況でも購入してくれる業者がみつかるようであれば、解体費用がいくらかかるのかを考慮に入れて解体するかどうかを判断する必要があります。
解体して上がった価値より、解体費用の方が高くつけば意味がないからです。
固定資産税等の軽減措置がなくなる
土地、家屋には、都市計画税(一部地域除く)と固定資産税が毎年課税されます。
たとえ空き家であっても、家屋が建っていれば、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大で3分の1に軽減されます。
空き家を撤去した場合には、住宅があるからこそ受けられていた軽減措置がなくなってしまいます。その結果、税金が高くなってしまうのです。
しかし、「特定空き家」に指定された所有者が、自治体の指導に基づいた改善を行わなかった場合、固定資産税の軽減措置対象から除外されて、大幅な増税となります。
【京都府福知山市の例】
区分 | 土地の利用状況と面積区分 | 本則課税標準額 | |||
---|---|---|---|---|---|
固定資産税 | 都市計画税 | ||||
住宅用地 | 小規模住宅用地 | 住宅やアパートなどの敷地 | 200㎡以下の部分 | 価格×1/6 | 価格×1/3 |
一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 価格×1/3 | 価格×2/3 | ||
非住宅用地 | 店舗、倉庫などの住宅以外の敷地や空地 | 価格と同じ額 |
空き家解体にかかる費用
関東地方の解体費用は、木造建築で平均すると1坪3万~4万円くらいといわれています。
では他県はどうかというと、安いところでは2万~3万円といわれています。
東京都では木造2階建て住宅(40坪)を解体する場合は140万円程度が費用相場です。
福井県越前市の相場は木造1坪あたり2.5万円程と言われているので、同じ規模の住宅で約100万円ということになります。
もちろんこの相場は地域によって、そして解体業者によっても差があるうえに、住宅の構造や、内部に残っている不用品の処分をどうするかによっても費用は変わってきます。
鉄骨造りであれば、解体費用は木造の2倍かかるといわれています。
できれば、何社かからの見積もりを取り比較する方がよいでしょう。
空き家の解体費用を軽減する4つのポイント
解体費用を軽減するポイントを、ご紹介します。
自分でできることはやる
空き家自体は業者でなければ解体が難しいですが現実ですが、空き家の中にある不用品の処分は空き家の所有者でもある程度対処できるのではないでしょうか。
家屋に残っている家具や、ごみなどは生活ゴミとして処分されます。
これは産業廃棄物の処分より高額になります。 また、ゴミの中に価値のあるものが残っている可能性もあります。
ご自身、または整理業者等に頼んでリサイクルできるものは買い取ってもらい、生活ゴミは自身で処分すれば費用を軽減できますし、不用品処分をしておくと、空き家解体費用を軽減できます。
地元の業者に依頼する
解体業者から解体現場までの移動時間も解体費用に上乗せされます。
同じような業者なら地元の業者に依頼する方がお得です。
また、空き家解体後に土地売却する場合などは、売却を相談している不動産会社に解体業者のことを確認する方法もあります。
空き家解体費用の見積もりを比較する
空き家解体業者はいきなり決めるのではなく、まずは見積もりを取ることが重要です。
空き家解体業者によって費用が異なるため、いくつかの業者から見積もりを取って費用を比較します。
空き家解体を依頼する時期を考慮する
建設業界の繁忙期は12月~3月で、閑散期は4月~6月です。
閑散期を狙うことで見積もりを安くしてもらえる可能性が高まります。
また、梅雨、台風、猛暑、降雪時期などは高くなる可能性があります。
台風、降雪などの時は養生しなくてはいけませんし、降雪があれば除雪作業も発生するからです。
その分時間もかかり、期間もかかってしまいます。
業者からは、その手間分を見越した費用の見積もりをあげられることもありますので、高めになってしまうことがあるわけです。
解体費用を調達する解決策
いろいろ検討した結果、空き家を解体したほうがいいという結論になったとしても、費用をどう捻出するか悩まれる方もいらっしゃると思います。
そのような時に考えてみたいのが助成金活用と、銀行などのローンの活用です。
自治体の補助金や助成金を活用する
自治体によっては、古くなった空き家等の解体費用の助成を行っています。
たとえば東京都江戸川区においては、昭和56年5月31日以前に建てられた木造建築物などの条件はありますが、解体費用の2分の1(限度額50万円)の助成があります。(令和2年6月1日現在。)
助成内容及び、助成を受けることができる条件は、各自治体により異なりますのでまずは、お住まいの役所に問い合わせてみましょう。
ローンを活用する
解体費用に金融機関のローン組む方法があります。
リフォームローン、解体ローンなど各種ありますので、いつも利用している金融機関に問い合わせてみることをお勧めします。
一般に解体費用ローンは金利が低く設定されていることが多く、担保、保証人不要のところもあります。
借り入れのハードルも低く設定されているようです。
参照URL: http://www.ja-nishitokyo.or.jp/_/ja/3biz/5sn/jaccs_loan/vacant_house.pdf
まとめ
将来において使用する可能性も低く、民泊のような使い方もしない、管理も自分ではできないなどの状況におきましては、空き家は解体した方がよいかもしれません。特に傷みが激しい空き家などは、周辺に被害が出てからでは遅いですし、特定空き家に指定される可能性もあります。しかし、デメリットもありますのでよく考えて判断することが大切です。
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