田村淳さんの死生観を変えた母との別離のイメージ画像

2021.08.17

田村淳さんの死生観を変えた母との別離

コロナ禍の2020年8月、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんは、がんの闘病中だった母・久仁子さんをお見送りしました。
久仁子さんは、田村さんが子どもの頃にいじめにあったときや反抗期のときも、しっかりと向き合ってくれる”自慢の母ちゃん”でした。
そんな最愛のお母様との別れは、田村さんの死生観を変えたといいます。

今回は、田村さんの死生観は母との別離によってどう変わったのか、前もって本人の意思を家族と共有しておく終活の大切さも交えながらご紹介します。

コロナ禍と重なった母との別れ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で各地の病院で面会制限が設けられ、大切な人に会いたくても思うように会いに行けない状況になりました。
最期の日々をともに過ごせないままお別れを迎え、ご遺体に対面できなかった方もいらっしゃいます。

 

お笑いタレントや司会者として活躍する田村淳さんも、コロナ禍で大切な家族をお見送りしたひとりです。
田村さんの母・久仁子さんは2015年に最初の肺がんが見つかり、手術を受けたものの2017年に再発、その後は延命治療をしない選択をしました。

 

コロナ前だった2017年の再発時、田村さんは頻繁にお母様に会いに行けていたといいます。
しかし、闘病がコロナ禍と重なってからはなかなか会いに行けない、行ったとしても面会できるのは家族ひとりだけという状況になりました。
田村さんは行ける限りは会いに行ったそうですが、やはりもう少し会いたかった、もっと話をすればよかったという思いはあったといいます。

 

故人の意思の尊重は送る側の使命である

田村さんの母・久仁子さんは、田村さんが20歳になったときから「延命治療をしないでほしい」という意思表示をし、毎年誕生日に確認をしていたそうです。
がんの再発時、田村さんは体に負担をかけない治療があることを説明しましたが、もうこれ以上の治療はしたくない、がんとともに生きていく方法を支援してほしいというお母様の意思を尊重することにしました。
すでにお母様の中ではどう生きてどう死んでいくかはっきりとした理想像があったため、延命治療をしないという選択は家族会議でもすっと決まったといいます。

 

故人の意思表示を聞いていなかった、あるいは家族間でしっかりと共有ができていなかった場合、故人の意思とは反する行動をとってしまう可能性があります。
田村さんはお母様に意思確認ができるうちに本人の希望を聞き、家族で話し合っていたため、闘病中からお別れまで迷うことが少なかったそうです。
また、もしお母様の意思を聞けていなかったとしたら、延命にいかざるを得ない状況下におかれたのではないかとも話しています。

 

最愛のお母様とのお別れの中で、田村さんは故人の意思をどうやって尊重するかというのが送る側の使命であり、そのためには本人の尊厳を前もって家族で共有しておくことが大切だと痛感したそうです。
生きているうちに、自分の意思を伝えられるうちに、家族間で話し合う機会を持つ。
看護師として働き、たくさんのお別れを見てきたお母様だからこそ、自分の思いを家族に伝えておくことの大切さを知っていたのでしょう。

 

終活はおおらかにとらえることも大切

田村さんはお母様の闘病中、お母様が大量にストックしていた写真を一枚一枚めくっては、当時の思い出話に花を咲かせていたそうです。
父方の実家にある綺麗な海で海水浴をしたこと、縁側でスイカを食べたこと、弟が高崎山の猿に襲われたこと。
写真を通して日常の些細な出来事が鮮明によみがえり、病床のお母様の笑顔もたくさん見られたといいます。

 

終活を進めていくうえでは、自分が生きているうちに身の回りの物をできる限り片付けておきたいと考えるでしょう。
それは家族に迷惑をかけたくないという気持ち、残される家族への思いやりからきているものです。

 

しかし、遺品整理を専門とする「株式会社ワンズライフ」の代表であり、自らも「一般社団法人終活カウンセラー協会」の協会認定終活講師として活動する上野貴子代表は「人は人の手を借りて生まれてきて、人の手を借りて死んでいくものです。
子供たちに迷惑をかけたくないと思う気持ちが強いと思いますが、何でもかんでも終活で捨ててしまうのではなく、おおらかにとらえることも大切です。」と話しています。

 

終活は自分ひとりで進めるよりも、家族とともにお互いの思いを確認し合いながら進めていくのが最善です。
自分が良かれと思ってしたことも、家族がそれを望んでいるとは限りません。
家族間で話し合う時間を持つこと、さらには終活をもっとおおらかにとらえることで、何か見えてくるものがあるのではないでしょうか。

 

まとめ

コロナ禍に最愛のお母様とのお別れを経験した田村淳さん。
思うように動けない中でもできる限り会いに行き、お母様がストックした写真を手にとりながら親子で笑い合う時間が持てたといいます。

 

田村さんのお母様は意識がはっきりとしている中で「延命治療はしない」という意思を持ち、それを家族に伝えていました。
お母様の意思表示を家族間で共有できたことで、家族会議もスムーズに進み、ほとんど迷うことがなかったそうです。

 

終活を進めるうえで大切なことは、自分の意思を家族に伝え、その思いを家族間で共有する時間をつくることです。
そうすることで自分自身はもちろん、家族にとっても後悔が残らない終活ができるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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