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2021.03.12

一日葬とは~実施の流れやポイント、家族葬との違いについて解説します

かつてのお葬式は、たくさんの方を招いて故人をお見送りし、1日目にお通夜、2日目に葬儀・告別式・火葬を行うという「一般葬」が主流でした。しかし近年は、宗教観の変化や核家族化などの影響もあって「一日葬」や「家族葬」といった葬儀形式を選ぶ人も増えつつあります。

では、一日葬とは一体どんなお葬式なのでしょうか?また、一日葬と家族葬はどのような点が異なるのでしょうか?

そこで今回は、一日葬の特徴や、家族葬との違い、実施の流れについて詳しくご紹介します。

一日葬とは「通夜を省略して1日で葬儀・告別式・火葬を行う葬儀形式」のこと

一日葬とは、1日で葬儀から火葬までを執り行う葬儀形式のことです。
ほかの葬儀形式では、1日目に通夜を行い、2日目に葬儀式や告別式、火葬を行う流れになっています。
一日葬では、お通夜を省略して、通常2日間かかる葬儀を1日で行います。

 

一日葬は、宗教形式に関わらず行うことが可能です。
たとえばキリスト教の場合、本来仏式でいう「通夜」はありませんが、日本の風習に添って「通夜の祈り(カトリック)」や「前夜式(プロテスタント)」という儀式を行うことがあります。
ですので、キリスト教徒の方が一日葬を希望されたときは、通夜にあたるこれらの儀式を省略して、葬儀と告別式・火葬を1日で行う流れになります。

 

一日葬と家族葬の違い

家族葬は、参列者を家族や親族といった親しい方に限定した葬儀形式のことで、少人数で執り行うという点では一日葬と同じです。
ただし、家族葬では、一般葬と同様にお通夜があり、合計2日間かけて葬儀を営みます。

 

一日葬と直葬(火葬式)の違い

直葬もしくは火葬式は、一日葬と同じく通夜を行わず、1日でお葬式を終了します。
ただし、火葬式では、お通夜だけでなく葬儀と告別式も省略して、火葬のみを行うことが特徴です。
そのため、多くの場合は遺族やごく近しい親族だけを招き、少人数で行います。

 

なお、直葬では、火葬の前に僧侶を招いて読経をしてもらうことも可能です。
一連のお別れの儀式を省略することにはなりますが、直葬であっても心を込めて故人をお見送りすることができます。

 

以下に、一日葬、家族葬、直葬(火葬式)のそれぞれの特徴を表にまとめました。

  お通夜 葬儀 告別式 火葬 かかる日数
一日葬 行わない  行う  行う  行う  1日
家族葬  行う  行う  行う  行う  2日

直葬
(火葬式)

行わない 行わない 行わない  行う  1日

 

一日葬のメリットについて

一日葬は比較的新しい葬儀スタイルですが、最近はさまざまな葬儀社で「一日葬プラン」が登場し、認知度も高まってきています。
また、実際の取り扱い件数は一般葬や家族葬よりは少ないものの、一日葬を選択する方は年々増加傾向にあるそうです。(参考:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」)

 

理由としては、核家族化によって親族が集まりにくくなったことや、少子高齢化で一家族あたりの人数が減り、葬儀に招く人数が減少したことなどが挙げられます。
もうひとつは、宗教観の変化です。お通夜・葬儀・告別式という従来の形式にこだわらず、これらの儀式を簡略化しても構わないと考える人が増えたことも、一日葬の増加に影響を与えています。

 

では、一日葬を選び、お葬式を1日で行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、一日葬のメリットをご紹介します。

 

 

①通夜を省略することで遺族の負担が軽減できる

お通夜では、集まった親族を食事でもてなしたり、故人とゆかりのある方が弔問に訪れたりします。
遺族はさまざまな場面で親族や弔問客の対応を行うため、ゆっくりと身体を休めることができず、疲れが残ったまま葬儀を迎えることになってしまいます。

 

しかし、お通夜を省略する一日葬なら、翌日に備えて体を休めることが可能です。
遺族の体力的な負担を軽減できるほか、葬儀の前日に故人と過ごす時間を確保できるというメリットもあります。

 

②葬儀時間が短くなることで遠方に住む親族や参列者の負担が軽減できる

葬儀が2日間の日程で執り行われ、葬儀の前日に通夜があるとなれば、遠方に住む親族や参列者は泊まる必要性が出てきます。
宿泊場所を探す手間もありますし、仕事の都合で何日も休めない人や小さなお子さんがいる家庭だと、日程を調整するのはなかなか大変です。
さらに、拘束時間が長いことから、高齢者の方は体力的な負担も大きいでしょう。

 

その点、一日葬は拘束時間が従来の葬儀の半分程度で済みます。
日帰りでも対応できるため、親族や参列者側の負担も軽減できます。

 

③お葬式にかかる費用を安く抑えられることがある

一日葬は、お通夜を行わない分、葬儀費用を抑えやすいというメリットもあります。

 

一日葬では、参列者を親族のみや故人と親しい方のみに限定する場合も多く、人数が少なければ、そこまで広い式場を借りなくても葬儀を行えます。
全行程も1日で終わるため、式場利用料を抑えることが可能です。
会場スペースに合わせたコンパクトな花祭壇を用意している葬儀社もあり、祭壇費用も大規模なお葬式より抑えやすくなっています。

 

また、お通夜がないことで飲食代や返礼品の費用はかかりません。
そのほか、遠方に住む親族や参列者の宿泊場所を確保する必要がなくなれば、宿泊代もカットできます。

 

ただし、一日葬だからいって必ずしも費用が安くなるとは限りません。
葬儀社によっては、ご遺体を会場に安置する場合は、お通夜をしていなくても式場使用料がかかることがあります。
どこまで基本プランに含まれるかは葬儀社ごとに異なるため、打ち合わせの際は見積書をしっかりといしておきましょう。

 

一日葬の流れを紹介【仏式の場合】

一日葬は、通夜を省略するということ以外、基本的な流れは一般葬や家族葬と同じです。
ここでは、仏式の場合を例に挙げ、ご逝去から火葬後の精進落としまでの一日葬の流れを詳しくご紹介します。

 

①ご逝去~ご遺体の搬送、安置

逝去後は、医師による死亡確認が行われ、死亡診断書を受け取ります。
法律では、24時間以上経過しないと火葬を行うことができない決まりです。
また、病院には霊安室がありますが、ご遺体を長時間安置することはできません。そのため、逝去後は葬儀社に連絡をして、ご自宅にご遺体を安置するか、斎場・葬儀社の専用施設で安置してもらうかを伝え、寝台車に迎えに来てもらいます。

 

②葬儀社との打ち合わせ

葬儀社との打ち合わせでは、葬儀の日程や、会場、喪主、葬儀形式などを決めます。
後で「思った以上にお金がかかった」ということがないよう、提示された見積書にはしっかりと目を通し、おおよその請求額を把握しておきましょう。
葬儀の詳細が決まったら、参列者に連絡をします。

 

③納棺

一日葬ではお通夜を省略するため、葬儀と告別式の前日に納棺を行います。
納棺とは、ご遺体の身なりを整え、故人が愛用していた品物とともに、亡くなった方を棺に納める儀式です。
ご遺体の扱いは難しいため、納棺については、葬儀社側に準備をしてもらうケースが多いようです。

 

④葬儀・告別式

葬儀は、故人の冥福を祈って成仏を祈願する宗教儀礼で、遺族や近親者が営むものです。
告別式は、生前に故人と交流があった人が、故人に最後の別れを告げる儀式のことをいいます。

 

かつては、葬儀と告別式は別のもので、分けておこなわれていました。
しかし、現在は近親者による焼香が終わったあと、引き続いて告別式に入り、参列者が焼香をして閉式となるのが一般的です。

 

⑤火葬

葬儀と告別式が終了したら、出棺となり、火葬場に移動します。
火葬が終わると、一同は遺骨を骨壺に入れる「骨あげ」を行います。

 

⑥精進落とし

一連の儀式が終了すると、僧侶やお世話になった方々をねぎらう意味で、精進落としの宴を設けます。
なお、地域によっては、火葬の間に精進落としを行う場合もあるようです。
精進落としの席では、喪主や遺族は末席に座り、宴に参加された方々にお酌をして回り、故人の想い出を語りながら感謝の気持ちを述べます。

 

全員が疲れていることに配慮して、精進落としは1~2時間でお開きにするのがマナーです。

 

一日葬をする場合に注意したいポイント

一日葬は、近年登場した新しい葬儀形式です。
選ぶ方が増えてきているとはいえ、なかにはお通夜を省略することを良く思わない方もいるかもしれません。
そのため、一日葬を行う際は、遺族はもちろん親族や参列者にも、お通夜をしないことや1日で全行程を行うことなど葬儀の内容をしっかりと伝え、理解してもらう必要があります。

 

また、一日葬は基本的に少人数で執り行われることから、あまり親交がなかった方にはあえて葬儀の日程を知らせない場合もあるでしょう。
そうすると、葬儀に招かなかった方から「参列させてほしかった」「どうして知らせてくれなかった」とお叱りを受けるかもしれません。
葬儀に招かない方に訃報の連絡をするときは、故人や遺族の意思で一日葬を行うことを丁寧に伝え、誤解のないように会葬辞退をお願いしましょう。

 

葬儀の終了後に遺族がやること&遺品整理について

葬儀が終了しても、関係者への支払いやお世話になった方々への挨拶回りなど、遺族にはたくさんの仕事が待っています。

 

〈葬儀の終了後に遺族がやるべき主な仕事〉
【葬儀・告別式終了後すぐ】遺骨迎え、香典の整理、事務の引き継ぎ
【葬儀終了後~1週間以内】病院や葬儀社へのお金の支払い、挨拶回り
【死亡後2週間以内】年金や公共料金等の名義変更手続き
【忌明け頃】香典返し、四十九日法要、納骨

 

【関連記事】葬儀が終わってから忌明けまでの流れとは?

 

これらに加えて、もうひとつ忘れてはいけないのが、故人の遺品整理です。
遺品整理は「いつまでにやる」と明確な時期が決められているわけではありません。
そのため、法要の時期に行うこともあれば、葬儀後しばらくして、気持ちが落ち着いてから始める人もいます。

 

ただし、故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、月をまたぐと翌月の家賃が発生します。
また、遺産相続の額が一定額を超えるときは、亡くなった翌日から10ヶ月以内に相続税の申告・納付手続きが必要です。
遺品整理を始めるタイミングは特に決まっておらず、遺族によってさまざまですが、事情によっては早めに遺品整理が必要となるケースもあります。

 

遺品整理はプロに依頼するという選択肢もある

先ほどもご紹介したように、遺族には葬儀が終了してからもやるべきことがたくさんあります。
大切な家族を亡くし、悲しみに暮れる中、各種手続きや法要の準備などを進めていくことは、体力的にも精神的にも大きな負担となるでしょう。
さらに遺品整理もしないといけないとなれば、忙しい中で片付けにあてる時間も確保しないといけません。

 

しかし、亡くなった直後は悲しみも大きく、心の整理もできていない状態です。
「急がないと」とは思っていても、故人の遺品を見るだけで辛くなり、スムーズに片付けが進まないことも考えられます。

 

そういったときは、遺品整理会社を利用するのもひとつの手です。
荷物の量にもよりますが、プロに依頼すると基本的に1日~数日間程度で片付けが完了します。
本来整理に充てるはずだった時間を役所の手続きや法要の準備に充てるなど、その分の時間を有効活用できるというメリットもあります。
「自分たちでやろうと思ったものの、どうしても片付けが終わらない」という場合は、一度プロへの依頼を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

一日葬には、弔問客の対応や食事の用意といった遺族の負担を軽減できるほか、遠方に住む親族や参列者にとっても、日帰りが可能となることで日程調整がしやすくなるといったメリットがあります。
近年登場した新しい葬儀スタイルではありますが、今後も一日葬を検討される方は増えていくでしょう。

 

ただし、中に儀式を簡略化することに抵抗感を抱く方もいます。
後でトラブルにならないよう、事前に周囲の理解を得ておくことが大切です。

 

また、葬儀が終わっても遺族にはやるべきことがたくさんあります。
遺品整理はご遺族の気持ちが落ち着いてからゆっくり取り組むということもできますが、賃貸や相続の期限などの急ぎの事情があれば、そうはいきません。
そのような時は、遺品整理の専門会社への相談・依頼も選択肢に入れつつ、亡くなった方とご遺族にとってより良い方法を考えてみましょう。

 

当社ワンズライフでは「故人様・ご依頼者様のお気持ちに寄り添った遺品整理」を行っております。
故人様の想い出がつまった大切な遺品は、遺品整理士の資格を持ち、知識と経験豊富なスタッフが1点1点丁寧に仕分けを行いますので安心してお任せください。

 

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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