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2017.11.30 (2021.01.15 One's Ending編集部 加筆)

遺品整理士の資格とは?遺品整理士の仕事と資格取得までの流れ

家族や親族が亡くなると、遺品整理をする必要があります。
しかし、核家族化が進んだ現代では、実家が遠方だったり時間や人手が限られていたりして、遺族だけで遺品整理を行うことが困難な時代になってきました。
そんなときに頼りになるのが、遺品整理の専門的な知識を持った「遺品整理士」の存在です。

映画で注目されたこともあり、一般的になってきた「遺品整理士」ですが、どのような資格で、どうしたらと取得できるのか、具体的な仕事内容などを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、遺品整理士の仕事内容や資格取得までの流れ、必要とされる理由や背景について解説します。

遺品整理士とは

遺品整理とは、文字通り、故人の遺品を整理する作業のことをいいます。

そして、遺族や親族に代わって、遺品整理を代行するのが遺品整理会社の仕事です。

高齢化が進み、孤立死も増える中、遺品整理会社の需要は、今後も増え続けるであろうと予想されています。

 

遺品整理士とは「一般社団法人遺品整理士認定協会」が認定している民間資格です。

遺品整理に関連する法律や、遺品整理の正しい手順を習得し、協会が認定した人のみが資格を取得できます。

 

資格を取る目的は様々で、遺品整理士として働きたい方はもちろん、趣味や自己啓発のために取得する人も少なくありません。

2009年に出版されたさだまさしさんの小説で、2011年に映画化された「アントキノイノチ」は、遺品整理業者で働く方が主人公でした。

この映画が注目を浴びたことで、遺品整理士の存在を知った方も多いのではないでしょうか。

 

遺品整理士認定協会とは

遺品整理士認定協会とは、故人やご遺族の想いに寄り添いながら業務に携わることができる「遺品整理の専門家」の養成に取り組んでいる団体です。

 

同協会のホームページでは、設立目的としてこのように書かれています。

遺品整理士認定協会は、遺品整理業の社会的役割と事業者の増大に伴う、モラルの低下を是正することを理念とし、業界の健全育成をはかるため、遺品整理士養成講座を運営するとともに、認定試験を実施することを目的として設立されています。

遺品整理業が注目されるとともに、遺品整理会社の数も年々増えています。

しかしその中には、残念ながら、遺品の不法投棄や高額な費用の請求など、不正を行う業者が存在し、依頼者との間でトラブルが発生していることも事実です。

 

このようなトラブルを防ぐために、同協会は、遺品整理士の資格の認定だけでなく、優良事業者の認定にも取り組んでいます。

また、消費者が安心して遺品整理サービスを受けられる環境を整備し、業界全体の健全な育成、発展のための「遺品整理サービスガイドライン」を定めています。

 

当社ワンズライフは毎年、遺品整理士認定協会より優良企業認定を受けています。

 

遺品整理士と遺品査定士の違いは?

遺品整理士と呼び方が似た民間資格に「遺品査定士」というものがあります。

遺品査定士は、遺品の査定と買取業に特化した専門家です。

遺品の査定や買取についてのノウハウと専門的な知識、法令を身につけ、故人の想いをご遺族につなぐことを目的として活動しています。

 

〈遺品整理士〉

・主な仕事内容……遺品の整理

・資格の発行元……遺品整理士認定協会

・資格の種類……民間資格

 

〈遺品査定士〉

・主な仕事内容……遺品の査定と買取

・資格の発行元……遺品整理認定協会

・資格の種類……民間資格

 

【関連記事】遺品査定士とは?資格の取得方法や役割、仕事を解説

 

中には、遺品査定士が在籍する会社で遺品整理サービスを提供していることもあります。

しかし、単に遺品査定士が在籍しているからといって、必ずしも遺品整理をしてくれるとは限りません。

 

遺品整理を専門の会社に依頼する際は、遺品整理士の資格を持ったスタッフが在籍しているかどうかを事前に確認しておくことが大切です。

 

遺品整理士の仕事内容とは?

遺品整理士の仕事は、単なる片付けや不用品回収ではありません。

不用品を回収するだけではなく、遺品の仕分けや、貴重品・重要書類・探し物の捜索、遺品の供養、故人宅の清掃、賃貸物件の原状回復など、仕事内容は多岐に渡ります。

 

なお、事業者によってサービス内容が異なりますので、遺品整理を専門の会社の依頼する方は、事前の打ち合わせが必要です。

 

1.遺品を仕分ける

故人宅にある遺品を、必要な物、不要な物、処分する物に仕分けていきます。単に遺品を仕分けていくだけでなく、遺族の意向に沿って、残すべきものかどうかを慎重に判断していかないといけません。遺族の方が処分に迷う物に関しては、決断を急くのではなく、お気持ちを聞きながら一緒にどうするか判断して、仕分け作業を進めていきます。

 

2.探し物の捜索

遺族の方の要望があれば、貴重品や重要書類など、探し物の捜索を行うこともあります。人によっては、キッチン周りやカーペットの下、本の間など、家族でもわからないような場所に貴重品を隠しているケースも少なくありません。誤って捨ててしまうことがないよう、丁寧に捜索する必要があります。

 

3.不用品の処分・リユース・リサイクル

遺品の中には、残念ながら壊れてしまって使えなくなった物だけでなく、まだリサイクルできる物も含まれています。廃棄物は、法律にのっとって、適切な方法での処理が必要です。まだ使えるものに関しては、海外へのリユースや、リサイクルを行います。遺品をなるべくゴミにせず、できるだけ再利用することも、遺品整理士の大切な仕事です。

 

4.遺品の供養

故人宅には、仏壇や神棚、人形など、供養が必要な物が残されているかもしれません。そういった場合は、供養を行ってから片付けます。

 

5.故人宅の清掃

整理会社によっては、遺品の仕分けや搬出が終わったあとに、故人宅の清掃を行うこともあります。また、孤立死や事件、事故など、さまざまな事情で遺体の発見が遅れた現場は、特殊清掃が必要です。

 

遺品整理士の資格を取得するには

遺品整理士になるためには、法令順守の心を持ち、故人の想いの残る品々を取り扱う専門家としての心構えが必要です。

この資格を取得する過程で、遺品整理の取り扱い手順や、遺品整理に関する法規制等の知識を、正しく身に付けることができます。

では、実際に遺品整理士の資格を取得するための手順を見ていきましょう。

 

遺品整理士の資格を取得するまでの流れ

遺品整理士の資格取得までの流れ

①申し込み

はじめに、遺品整理士認定協会のホームページから遺品整理士認定講座の申し込みをします。

講義を受けるために必要な実務経験や資格は特にないため、誰でも受講可能です。

受講期間の目安は2カ月ですが、申告をすれば期間を延長することもできます。

手続きは、電話もしくは協会のホームページから可能で、認定講座の受講料は25,000円です。

 

②受講開始

講座の申し込みを行うと、教本・資料集・問題集・DVDがセットで届きます。

活字だけだとわかりにくい部分もあるかもしれませんが、DVD視聴もでき、視覚的に勉強できるため安心です。

講師は、大学教授・作家・有名会社の社長・弁護士と多岐にわたり、遺品整理業務の理解を深めるための手助けをしてくれます。

遺品整理士養成講座の内容は、高齢化社会をとりまく社会問題や法規制といった知識から、遺品整理を行う上での心構えや倫理観などです。

正しく業務を遂行するために、遺品整理士としての心構えや使命感、責任感といったプロ意識を育んでいきます。

 

③レポート提出

全講座を終了後、課題レポートを提出します。

時間制限はなく、問題集で調べながら答えを書いても大丈夫ですので、焦らずに1問1問丁寧に回答していきましょう。

レポートは、郵送もしくはwebで遺品整理士認定協会宛てに送ります。

 

④合格通知

遺品整理士認定協会が定める基準をクリアしていれば、合格となり、遺品整理士の資格が取得できます。

合格通知が届くまでは約2ヶ月かかりますので、申し込みから資格取得までは、最短でも4カ月程度の期間が必要です。

合格すると、認定手続き及び会費として、7,000円を遺品整理士認定協会に支払います。

 

・合格した場合……受講料25,000円+会費7,000円=合計32,000円必要

・不合格の場合……受講料25,000円のみ必要

 

⑤認定書発行

合格すると、認定証書と今後の活動に活かせる資料が届きます。

認定資格の有効期間は2年間ですが、更新料7,000円を支払えば引き続き継続可能です。

合格後は、定期的にセミナーや講習会のお知らせが届きます。

参加料がかかることもありますが、資格取得後も継続的に学び続けられるのは、大きなメリットといえるでしょう。

 

遺品整理士認定協会の会員数は、平成31年には会員数25,000人を超え、法人会員も1,000社を突破しました。

今後も、遺品整理業の需要の増加に伴い、会員数はさらに増えていくことが予想されます。

 

遺品整理士資格の難易度と合格率は?

遺品整理士資格の合格率は65%で、難易度はやや高めです。

平均すると、3人中1人くらいは不合格になっています。

遺品整理業では、遺品の取り扱い方法、廃棄物に関する法律、依頼者への心構えなど「遺品整理のプロ」として多くの知識を習得しないといけません。

受講すればだれもが合格できるという簡単な資格ではないため、集中して学習に取り組む必要があります。

 

遺品整理士に求められる姿勢

遺品整理士として仕事にあたる際は、故人やご遺族の気持ちに寄り添う姿勢が何よりも重要です。

遺品整理の現場には、故人の生活してきた証がそのまま残されています。

そして、遺品整理士は、それらの家財を仕分けし、必要なものと処分するものに仕分けていきます。

その中には、貴金属や骨とう品のような金銭的に価値が高いものでなくても、故人や遺族にとってはかけがえのない思い出の品も数多くあるでしょう。

 

遺品整理士は、遺品を単なる「物」ではなく、故人の生きた証として考え、ひとつひとつの遺品に遺された想いに真摯に向き合いながら、作業にあたる姿勢が求められます。

 

基本的に、ご遺族の方は「できれば自分たちで何とかしたいけれど、どうすることもできない」と困り果てて、遺品整理士に依頼されるのです。

ご遺族の方は、大切な肉親が亡くなって気が動転しているところで、大家から早急に部屋の明け渡しを求められたり、さまざまな手続きが必要だったりして、心の余裕がありません。

遺品整理士は、そういったご遺族の心情も理解したうえで、配慮を尽くして作業にあたらないといけません。

 

遺品整理士の仕事のやりがいとは

遺品整理士という言葉をインターネットで検索すると「きつい」「しんどい」といったネガティブな内容も数多く出てきます。

実際、遺品整理の現場は、ゴミ屋敷となってしまったお部屋や、孤立死して日数がたったことで臭いが残る部屋などもあり、体力的にも精神的にもきつい仕事であることは事実です。

 

しかし、実際に仕事にあたると、ご遺族から「ありがとう」「頼んで良かった」と感謝の言葉をいただくことも多々あります。

荒れたお部屋がきれいになったことで、生前過ごしていた頃の思い出がよみがえって感動される方も少なくありません。

また、捨てるしかないと思っていたものが、遺品整理士に依頼したことでリサイクルや寄付できるとわかり、喜んでいただけることもあります。

 

確かにきつい仕事ではありますが、依頼された方から「ありがとう」と感謝していただけることは、何事にも代えがたい大きなやりがいだといえるでしょう。

 

こちらの記事では、遺品整理の壮絶な現場で身を捧げるワンズライフ社員の想いをご紹介しています。

 

【関連記事】遺品整理士たちが語る想い~ご遺族様へお伝えしたいこと~

 

遺品整理士が必要とされる理由や社会背景

今後ますます、遺品整理の需要の増加が見込まれると同時に、正しい知識や心構えをもつ遺品整理士が求められています。

ここでは、その理由や背景を解説します。

 

高齢者の孤立死が社会問題となったため


画像出典:内閣府 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_2_6.html


現在、我が国の65歳以上のひとり暮らし率は年々増加し続けており、それに伴い、孤立死の予想数値も増加しています。

また、核家族化によって、遺品を整理してくれる親族が近くおらず、相続人が遠い親族になってしまうことも、遺品整理士が必要とされ始めた大きな要因です。

 

亡くなっても、親族が駆けつけて遺品整理を行うことが困難な場合も多く、遠い親戚だと「故人のことをあまり知らないから片付けを行いたくない」といった理由で遺品整理士に依頼するケースが増えています。

核家族化と少子高齢化はますます進んでいくであろうと予想されていることから、今後も、遺品整理士の需要は増え続けていくでしょう。

 

参考:内閣府 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_2_6.html 

 

悪徳な業者による不正防止のため

遺品整理士が必要とされるもうひとつの理由は、悪質な業者による不正を防止するためです。

先日、中部地方で遺品整理を請け負った業者が、故人の口座からお金を引き出そうとして逮捕されるという事件がありました。

 

また、遺品整理を行って廃棄物が発生した際は「廃棄物処理法」に従って適切に処理しないといけません。

しかし、依頼した業者が、廃棄物をきちんと処理せず、山に不法投棄してしまったという事例もあります。

その場合、そのゴミから依頼者が特定され、業者に依頼した方が責任を負わされる可能性もあるのです。

 

産経新聞によると、

  • どんどん追加料金が発生して、見積もりよりかなりの高額になった。
  • 遺品を安く買いたたかれた。もしくは、そう感じて不安になった。
  • 貴重品を持ち去られた。もしくは、そう感じて不安になった。

などのトラブルも過去に発生しています。

 

このように、悪質な遺品整理業者による消費者トラブルは後を絶ちません。

 

この問題に対しては、国民生活センターでも消費者への注意喚起をしています。

※参考:独立行政法人国民生活センター

http://www.kokusen.go.jp/mimamori/pdf/shinsen276.pdf
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen276.html

 

こういった悪徳業者による不正と遺品整理業の信用失墜を防ぎ、消費者が安心して遺品整理サービスを利用できるように設立されたのが「遺品整理士認定協会」です。

資格制度の導入や優良企業の認定に取り組んだことで、依頼する人が優良な企業かどうかを判断しやすくなり、不正防止に役立っています。

 

まとめ

遺品整理会社が全国に数多く存在するため「何を基準に選べばいいのかわからない」という方も多いでしょう。

そのようなときには、遺品の取り扱い方法や、遺品整理に関する法令、業務にあたる上での心得を身につけた「遺品整理士」の資格を持つスタッフが在籍している会社を選ぶのがおすすめです。

 

最近では、少子高齢化や核家族化によって、遺族だけで遺品整理をするのが難しいケースも増えています。

自分たちだけ遺品整理をできればそれが一番良いのかもしれませんが、ゴミ屋敷になってしまった家や、孤立死されて日数が経ってしまったお部屋などを遺族だけで片付けるのは困難です。

資格持つ専門家に任せれば、片付けがスムーズに終わるだけでなく、第三者に相談しながら片付けを進められるという安心感も得られます。

 

 

当社ワンズライフにはベテランの遺品整理士が多数在籍しており「故人様とご遺族の心に寄り添った遺品整理」を基本理念としてスタッフ全員が業務にあたっています。

もちろん、資格を取って終わりということではなく、ノウハウや経験を共有しあう社内研修も充実させ、常に品質向上を図っています。

遺品整理士の資格は、遺品整理業を営む上では持っていて当然の資格ではありますが、そのあとの社内研修制度が整っているか、依頼者の気持ちを理解して、心を込めた遺品整理をしてくれるかということも、整理会社を選ぶときのひとつの判断基準にしてみてはいかがでしょうか。

 

遺品整理ワンズライフ

この記事を書いた人
One's Ending編集部
関東の遺品整理専門会社(株)ワンズライフのメディア編集部です。 遺品整理、生前整理、空家整理に関することから、終活、相続税に関することまで。人生のエンディングにまつわる、役に立つ情報やメッセージをお届けしていきます。
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