2018.03.23 (2023.07.06 One's Ending編集部 加筆)
実家をどうするか、親が元気なうちに話し合っておくべき理由
「子どもの頃の思い出が詰まった実家を簡単には手放せない」「でも、親にもしものことがあったら、実家はどうやって管理するのだろう」
両親と離れたところで暮らしていると、将来実家をどうするのかを親と話し合う機会はなかなかありません。また、話を切り出しにくいと考えている方も多いでしょう。しかし、いつまでも親が健康で、実家でずっと暮らせるわけではありません。早めに実家をどうするのかを話し合って、しかるべき対策を取る必要があります。
そこで、実家の処遇を早めに親と話し合わなければならない理由や、空き家を維持するためにかかるお金について解説します。
なぜ実家をどうするかを早めに話し合う必要があるの?
なかなか言い出しにくい、実家の将来のこと。
しかし、なるべく早く親に確認する必要があります。
話し合う必要性を知って、次に実家に行ったときに親に切り出してみましょう。
親が認知症になってからでは遅いから
高齢の親にとって、今後起こるかもしれない大きな問題が認知症です。
認知症とは、脳の病気や障害によって、判断力がなくなる状態をいいます。
厚生労働省によると、2025年には 65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症になると見込まれています。
認知症は誰にでも起こりうるので、親が認知症になる可能性も想定しておかなければなりません。
【出典】厚生労働省「認知症」
認知症になってからでは、自分の住んでいる家をどうするかを判断する力がなくなり、売買やリフォームなどもできなくなります。
認知症の方は判断能力に問題があるため、契約が無効になることがあるからです。
つまり、親が認知症になったら親名義の実家を売却したり生前贈与したりできなくなります。
成年後見人を選出すれば、売買などの契約は可能ですが、手続きにかなり時間がかかります。
相続の際に困る可能性があるから
実家をどうするかを決めていないと、親が亡くなった後の相続時に困る可能性があります。
親が亡くなると、子どもが親の財産を相続するのが基本です。
子どもが複数人いれば、法定相続分の考えでは均等に分けることになっています。
たとえば、きょうだいが複数人いて、そのうちの誰かが実家を継承することになったとき、現金や有価証券などほかの資産がなければ、均等に財産分与するのは難しいでしょう。
もし、親が実家を維持してほしいと考えているなら、きょうだいのうちの誰に継いでほしいのか、またほかのきょうだいにはどういった財産を承継させるのかという点も検討してもらうと、将来揉め事が起こりにくくなります。
空き家を所有するとかかるお金
両親が亡くなったり、施設や病院に長期間お世話になったりしたら、実家が空き家になる可能性があります。
親の思い出が詰まった実家をなかなか手放せないものの、自分は遠方に住んでいて頻繁に帰省ができない場合、空き家のまま実家を置いておくことになるかもしれません。
しかし、実は実家を維持するだけでもお金はかかります。具体的にかかる費用は次の通りです。
・火災保険料
・水道光熱費
・固定資産税
また、完全に実家を空き家のまま放置するわけにもいきません。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって、適切な管理がなされず周辺環境に悪影響を与える空き家は「特定空家等」として罰則の対象になりました。
空き家のまま実家を放置していると、いつの間にか不審者が住みついたり、害獣・白アリ・害虫によって家が急速に劣化したりする可能性があります。
風を通すことがなく湿気がこもると、押し入れにカビが生えたり床板が腐ったりなど、家屋が劣化して資産価値が下がる傾向にあります。
【参照】デジタル庁「空家等対策の推進に関する特別措置法」
【関連記事】特定空き家に指定されたらどうなる?空き家対策特別措置法とは
しかし、実家から離れたところに住んでいる場合、自分で管理しに行くのは時間的にも金銭的にも負担が大きくなります。
警備会社に防犯を、便利屋などに郵便物回収・雑草管理・害獣の除去・家屋の湿気対策・水道水の入れ替えなどを依頼することもできますが、やはり費用面の負担は覚悟しなければいけません。
実家をどうするかを悩んだときに考えられる選択肢
実家をどうするかを悩んだときに、考えられる選択肢をご紹介します。早めに親やきょうだいを話し合って、自分たちの最良の選択をできるようにしましょう。
自分たちが実家に住む
選択肢の1つとして、自分たちが実家に住むということが挙げられます。
現役世代だと、仕事や子どもの学校などの都合があり、急に地元に帰るという選択は難しいかもしれません。
しかし、定年退職や早期リタイアをして、地元に戻るというケースも多くあるでしょう。
自分たちが住んでしまえば、空き家になることもないので、さまざまな問題を解決できます。
空き家バンクに登録する
実家をどうするかを悩んだときに、考えられる選択肢をご紹介します。早めに親やきょうだいを話し合って、自分たちの最良の選択をできるようにしましょう。
自分たちが実家に住む
選択肢の1つとして、自分たちが実家に住むということが挙げられます。現役世代だと、仕事や子どもの学校などの都合があり、急に地元に帰るという選択は難しいかもしれません。しかし、定年退職や早期リタイアをして、地元に戻るというケースも多くあるでしょう。自分たちが住んでしまえば、空き家になることもないので、さまざまな問題を解決できます。
空き家バンクに登録する
実家を解体せずに有効活用するなら、自治体が主体で行っている「空き家バンク」を利用するのもよいでしょう。
空き家バンクとは、登録した空き家の一覧を見て、興味を持った人と売主・貸主を繋ぐ制度です。
売ったり貸したりするのが難しい家でも、情報を出せば買い手や借り手がつくことがあります。
売却する
誰も住まない実家なら、売却することを検討してもよいでしょう。
古い実家であれば、家屋の価値はほとんどなくなっています。
家屋付きか、それとも解体して更地にした状態で売却したほうがよいのかについては、仲介する不動産会社に確認をしましょう。
実家の売却を検討するときにやっておきたいことは、こちらの記事でまとめています。
知っておくとお得になる制度も紹介しているので、ぜひ一度ご覧ください。
【関連記事】実家の売却を考えたとき、やっておくこと、知っておくことまとめ
まとめ
実家の扱いは親が元気なうちに親が主体となって話し合うことがベストです。
親が認知症になってしまうと、親の意思を聞いたり、実際に売却や生前贈与したりするのが難しくなります。
また、将来の実家の処遇がどのような形であれ、空き家になったら実家の整理が必須です。
自分たちが住むにしても、人に貸したり売ったりするにしても、家の中は何もないきれいな状態にしなければなりません。
実家の片付けを上手に進めるコツは、こちらで詳しく解説しています。
【関連記事】実家の片付けが進まない!片付ける順番と成功のコツ
遠方から何度も通って実家の片付けをするのはかなり大変です。
負担を軽減するために、遺品整理や生前整理を業者に依頼するのもよいでしょう。
こちらで詳しく業者に依頼するメリットをご紹介しています。
【関連記事】実家の片付け・生前整理を業者に依頼するメリットとは?
実家を将来どのようにするのかについては、なかなか切り出しにくい話題ですが、後悔をしないように親としっかり話し合うことをおすすめします。
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