片付けられない親と喧嘩せずに生前整理をするコツ
「実家に一人で暮らす親の荷物を片付けて、すっきりした空間で安心して暮らして欲しい。」と思っている子供たちが、いざ片付けに取り掛かったところ親と喧嘩になってしまい、途中から進んでいない…というケースはよくあります。
“整理整頓された部屋で気分よく過ごしたい”という気持ちは、親も子も同じはずです。それなのに、なぜ子どもが片付けようとすると親は怒り、喧嘩になってしまうのでしょうか?
今回の記事では、「物を捨てられない世代」「嗜好性が高く貯蓄より消費のバブル世代」「自分にとって必要最低限の物だけで生きていくミニマリスト世代」等々、異なる価値観の親子が協力して生前整理をするコツをご紹介します。
時代背景で異なる、物に対しての価値観
「親に片付けようと声をかけても、何一つ物を捨てたがらない。」
「実家に物が溢れていて、ゴミ屋敷のような状態になり困っている。」
このようなお悩みを抱えている場合、両親の気持ちや考え方を理解するのに時間がかかるかもしれません。
しかし、シニア世代やシルバー世代にあたる高齢者の方は、日々物が不足していた時代を懸命に生きて今があるということを忘れてはいけません。
戦争の経験者でもある彼らは充分な食料品を確保することができず、「物が少なかった時代を必死に生き抜いてきた世代」です。
戦争を経験したことがない世代とは、価値観が大きく異なることをしっかりと理解し、また理解していることを伝えて安心してもらう必要があります。
そもそも生前整理とは?「断捨離」との違い
親子が喧嘩せずに生前整理を行うためには、親子の「物」への価値観の違いを理解するだけでなく、生前整理とは何かということを知っておくことが大切です。そもそも、生前整理は、物を処分して部屋を片付ける「断捨離」とは定義が異なります。
以下に、生前整理と断捨離の違いを簡単にまとめました。
・生前整理とは
自分が亡くなった後に家族が遺品整理や相続問題などでトラブルにならないよう、財産を整理しておくこと、という意味合いが強い
・断捨離とは
不要な物を捨てて、生活導線を確保すること
遺品整理のワンズライフに生前整理のご依頼をいただく場合は「物忘れが激しくなった」「高齢になったので、家族と同居する」「福祉施設や高齢者施設に入居予定」「長期入院予定」といったご事情が多数を占めています。
ですので、親が引き続きその家に住む場合は、生前整理ではなく、断捨離として生活導線を確保できる程度の片付けを少しずつ進めていくのが良いでしょう。
なお、生前整理は「いつ頃するのがベスト」といったタイミングは決まっていません。
親の健康状態やお互いの気持ちを確認しながら、タイミングをうかがうのがおすすめです。
生前整理の必要性や進め方については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ合わせてご参照ください。
【関連記事】生前整理とは?必要性はある?進め方を徹底解説
親と喧嘩せずに生前整理をするコツは?注意点を解説
親御さんと話し合っているけれど、ずっと意見がぶつかり合うため、精神的に辛くストレスがたまり、全く作業が進展せずに困っているという方はいませんか?
一概には断定できませんが、多くの高齢者はこれまでの生活スタイルを変えることに不安や恐れを感じています。
また、これまで何十年かけて築いてきた自分の価値観を、社会の変化に柔軟に合わせて変えていくという対応も心理的なハードルが高いものです。
親子で終活や生前整理をする時は、息子さん・娘さんがそういった親の気持ちを理解し、妥協することで喧嘩を防止できます。
ここでは、喧嘩を防止するために気を付けたいポイントを解説いたしますので、実家の片付けをする時の参考にされてみてはいかがでしょうか。
ここからは、財産の整理にとどまらず、ご両親が健康なうちに行う「断捨離(物の整理)」も含めて話を進めていきます。
➀ ポジティブな言葉をかける
親と喧嘩せずに生前整理を進めるコツは、相手の価値観を否定せず、話を聞いて、理解を示すことです。
そのうえで、生前整理を前向きな行為だと考えられるような、ポジティブな言葉をかけてみましょう。
たとえば「いらないものを片付けると転倒の危険が減る」「何がどこにあるかわかり、生活が便利になる」「部屋がきれいになれば、孫が遊びに来たときに広々と遊べる」といったような、”今後の生活が快適になる“ことをイメージできる言葉がおすすめです。
具体的なメリットがわかれば、生前整理が前向きな行為だと理解してもらいやすくなります。
②親子で協力して片付けを進める
親が乗り気でない場合は手伝いを申し出て、一緒に片付けを進めていくのもひとつの方法です。
「親の生前整理だから」と任せきりにするよりも、子どもが助けてくれた方が前向きになれます。
荷物の量が多い場合は「一度に作業を全部やらなくても良いので、今回はここまで一緒に片付けよう」というような“親に寄り添った言葉”をかけ、無理にすすめないことも大切です。
片付けることを重要視しすぎて、相手のことを考えず無理やり始めるのではなく、時間をかけて焦らずにゆっくりとコミュニケーションを取りましょう。
生前整理は、お互いに打ち解けてリラックスした状態で進める方が、精神的にも軽い気持ちで片づけを進められます。
また、遺産(財産)の分配、相続の手続きなどは時間もかかり大変なので、遺品整理時に困らないよう、遺言書やエンディングノートの作成を提案するのも良いでしょう。
「書く」「書かない」は個人の自由になりますが、子どもへ直接言いにくいこと等があれば、記録として書き残してもらうのがおすすめです。
②長期間に渡って使用されていない物から処分する
部屋の中を見てみると、長年使っていないものが溢れているという方がよくいらっしゃいます。
まずは優先順位を決め、その流れに沿って一つずつ捨てる方法がおすすめです。
ダンボール箱などに、カテゴリー別で収納するのも良いでしょう。
残しておきたい思い出の写真や日記などがある場合には、早めに別室へ移動させておくようにしてみてください。
また、ご家族だけでやるのが難しい時は、遺品整理会社の片付けサービスを依頼して、ご自宅まで手伝いに来てもらうとスムーズです。
大量の本や洋服など、数多くの不要品がある場合には、一括して見積もりがとれる遺品整理業者に来てもらいまとめて回収してもらいます。
電話予約をする際に、おおよその費用がいくらなのかは相談して聞いておきましょう。
まとめ
親と喧嘩せずに生前整理をするには、子ども側が世代間で異なる価値観と時代背景を理解し、親の気持ちに寄り添うことが大切です。
急いで進めようとするのではなく「親が老人ホームに入居するタイミングからでも構わない」「介護が必要な状態になってからでも良いだろう」と思うことで子どもの気持ちに余裕ができ、かえって生前整理が捗ることもあります。
そして、両親が元気で健康な場合など、必ずしも生前整理が必要でないこともあります。
生前整理のベストタイミングは一概にいつと決まっているわけではありません。その時々の状況やお互いの気持ちを考慮しながら、生前整理をしていきましょう。
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