2020.11.09
実家の片付け・生前整理を業者に依頼するメリットとは?
生前整理とは、生きているうちに財産関係を整理することです。
親が介護施設に入居する際や、家族と同居することになって実家を離れる際は、財産だけでなく、家の中の物も整理する必要が出てきます。
親が高齢であったり認知症だったりする場合は、子どもが片付けを手伝うこともあるでしょう。
ただ、実家の片付けは手間と時間がかかり、想像以上に大変です。
そんな時は、プロの整理専門会社に依頼するという方法もありますが「どんなメリットがあるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、生前整理にともなう実家の片付けを業者に依頼するメリットについて詳しく解説します。
実家の片付け・生前整理が大変な理由
いざ子どもが実家を片付けようとしても、思うように進まず悩む方が多いようです。
なぜ、実家の片付けは大変なのでしょうか?
理由①親が物を捨てることに抵抗を持っている
物が少ない時代に生きた親世代は、捨てることは「もったいない」という意識を持っている方が多く、どうしても物をため込みがちです。
そのため、空き箱や紙袋など、子どもからすれば不要と感じるものを捨てようとすると親と喧嘩になってしまい、片付けが思うように進みません。
理由②荷物の量が多すぎる
何十年も住んでいた実家には、家財道具、生活用品、子どもの物、趣味で使用していた物など、膨大な荷物があります。
それなりに量があっても、すべての物がきれいに整理整頓されていれば、時間はかかるものの何とか片付けられるでしょう。
しかし、“とりあえず押し入れに詰め込まれている”といった状態だと、もはやどこから手を付けていいかわからず、自分たちだけで片付けるのはかなり大変です。
理由③実家のことは子どもが口出ししにくい
子ども実家を出て離れて暮らしている場合、実家は「親の家」です。
家の中にある荷物も大半は親の物になるため、子どもにあれこれと口を出されるのを嫌がる親もいるでしょう。
親が捨てようとしないからと、親の了承を得ずに勝手に荷物を処分すれば、あとで「どうして勝手に捨てたんだ」とトラブルになり、親子関係が悪化してしまうかもしれません。
このように、子どもが独立していると片付けに関して口出ししづらく、その間にもどんどん物は増えていきます。
【関連記事】実家の片付けが進まない!片付ける順番と成功のコツ
実家の片付け・生前整理をプロに依頼するメリット
さまざまな理由で親の実家を片づけるのが難しいと感じたときは、プロの整理専門会社に依頼するという選択肢もあります。
以下に、実家の片付けをプロに依頼するメリットを箇条書きでまとめました。
① 短時間で片付け終わる
② 貴重品の捜索を頼める
③ 実家が遠方でも依頼可能
④ 財産の整理に関する相談ができることも
⑤ プロ目線のアドバイスが受けられることも
次に、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット①短時間で片付けが終わる
家を一軒丸ごと片付けようとすると、かなりの時間がかかります。
片付けでは、荷物の仕分け、不用品の処分、重い家具・家電の運び出しなどやることも多く、普段仕事をしている人だと仕事を休まないといけない場合もあるでしょう。
しかし、プロの整理専門会社に依頼すれば、これらの作業が1日~数日で完了します。
有給を取って会社の人に気を遣うこともなく、重い荷物を運んで体力を消耗することもなく、退去日が決まっていて「引っ越しに間に合うだろうか……」と心配することもありません。
メリット②貴重品の捜索を頼める
生前整理で財産の整理する際は、資産を一覧表にまとめた「財産目録」の作成を行うことがあります。
しかし、家の中が整理整頓できていない状態だと、どこに何があるかわからず、資産の総額が把握できません。
プロの整理専門会社には、片付けだけでなく、貴重品の捜索もお願いできます。
整理の段階で見つかった貴重品は、しっかりと保管して渡してもらえるので安心です。
なお、より確実に見つけてもらうために、あらかじめ目録をある程度作成しておくことをおすすめします。
〈財産目録に書く内容の一例〉
・健康保険や年金手帳などの書類
・生命保険や医療保険など、加入している保険の証書
・不動産関係の権利書
・預金通帳やキャッシュカード
・有価証券
・骨董品、宝石、車などの資産価値が高い物
これらの項目を目録にして、見つからないものがあれば整理会社に捜索を頼むとスムーズです。
メリット③実家が遠方でも依頼可能
子どもが遠方に住んでいれば、片付けのたびに実家に通わないといけません。
荷物の量が多いと数か月以上かかることも珍しくないため、何回も通うとなれば、それなりに交通費もかさみます。
プロの整理専門会社による片付けは、子どもや家族が依頼することも可能です。
もちろん、業者に依頼するとある程度お金はかかります。
しかし、新幹線や飛行機を使って通うような距離であれば、結果的にプロに依頼したほうがコストを抑えられるかもしれません。
メリット④不用品を買い取ってもらえる場合もある
整理専門会社の中には、不用品の処分や家の掃除に加えて、不用品の買い取りサービスを行っているところもあります。
捨てようとしていた荷物の中に金銭的価値が高いものがあれば、買い取ってもらって依頼にかかる費用をまかなうことが可能です。
メリット④財産の整理に関する相談ができることも
片付けのあと親が別の場所で生活する場合は、実家の売却や相続についても考える必要があります。
ただ、売却や相続の手続きは簡単ではないため、自分たちだけですべて行うとなると大変です。
整理専門会社の中には、弁護士や司法書士などの専門家と提携しているところもあります。
安心して手続きを進められるだけでなく、自分で専門家を探したり情報を集めたりする手間も省けるので、時間短縮にもなるでしょう。
メリット⑤プロ目線のアドバイスが受けられることも
整理専門会社に依頼すると、これまでの豊富な経験と知識を生かして、プロ目線でのアドバイスを受けられることがあります。
賃貸住宅の場合は「この設備はもともと住宅に合った物だから捨てないほうが良い」、不要なものかそうか判断に迷ったときは「これは相続の際に必要かもしれないからまだ残しておいたほうが良い」など、自分で片付けているときには気付きにくい部分まで教えてもらえるのは大きなメリットといえるでしょう。
そのほか、荷物の仕分けに関するアドバイスや、荷物の仕分け方や整理整頓の方法などを相談することも可能です。
業者選びのポイント【プロに依頼する場合】
生前整理を進める中で、疑問に思うことや悩みはひとりひとり違います。
実家の片付け・生前整理をプロに依頼する際は、常に依頼者の気持ちに寄り添い、誠実に業務に取り組む会社を選ぶことが大切です。
片づけを代行してくれる業者は全国に数多く存在しますが、選び方に迷った際は、以下のポイントをひとつの判断基準にするのもよいでしょう。
〈信頼できる整理代行会社選びのポイント〉
・「遺品整理士」や「生前整理士認定作業士」「生前整理アドバイザー」など、遺品整理・生前整理に関する資格を持ったスタッフが在籍していること
・料金体系がわかりやすいこと
・実際にお部屋を見て見積もりを作成してくれること
・メールや電話の対応
・ホームページに「企業理念」や「代表挨拶」が公開されていること
・アウターサービスが充実していること
【関連記事】生前整理を業者に依頼するときの選び方
費用の相場は?【プロに依頼した場合】
料金設定は、整理会社によってさまざまです。
家の間取りや荷物の量、必要な作業スタッフなど、その時の現場の状況によって変わります。
そのため「この部屋の広さなら〇円」と明確に決まっているわけではありません。
正しい料金を知るには、事前に相見積もりを取って、現場を見て詳細な見積もり表を作成してもらうのがおすすめです。
今回ご紹介しているのは遺品整理ワンズライフのホームページに掲載している料金表ですが、費用は必ずしも下記の表の通りとは限りません。
荷物の量が多い場合は、片付けるお部屋の数が少なくてもスタッフの人数が必要となるため、料金も変わってきます。
そのほかにも、住宅の階層や車両までの距離などお住まいの環境によっても料金は変動しますので、あくまでも目安として、参考程度にご覧ください。
間取り | スタッフの人数 | 費用の目安 |
1K | 1名 | 35,000円~ |
1DK | 2名 | 60,000円~ |
1LDK | 3名 | 80,000円~ |
2DK | 3名 | 120,000円~ |
2LDK | 4名 | 150,000円~ |
3LDK | 5名 | 200,000円~ |
4LDK | 6名 | 260,000円~ |
片付け以外に、パソコンやスマートフォンのデータ移行、パスワードの調査など「デジタル資産」に関する作業を依頼すると、別途で費用がかかることもあります。
【関連記事】デジタル遺品とは?パソコンやスマホに残るデータの遺品整理・生前整理
実家の片付け・生前整理を成功させるコツ【自分でする場合】
子どもの判断で勝手に物を処分すると「大切な思い出の品を勝手に捨てられてしまった」と親がショックを受けたり、喧嘩になったりするかもしれません。
しかし、黙って見守っているだけだと、いつまで経っても片付けは終わりません。
親と揉めず、うまく片付けを進めるにはどうすればいいのでしょうか?
【関連記事】片付けられない親と喧嘩せずに生前整理をするコツ
コツ①生活環境を変えないように注意する
親が認知症になっている、もしくは認知症が疑われる場合は、物事を順序立てて考える能力や記憶能力が衰えてしまっているので、急に生活環境を変えると頭が混乱してしまいます。
荷物の配置や保管場所はできるだけ変えずに片付けを進めていきましょう。
どこに何があるかラベルを貼っておくのもおすすめです。
【関連記事】親が片付けられない理由は認知症の初期症状かも?実家を片付けるときの注意点
コツ②ネガティブな言葉を使わない
若いときに比べて身体能力が落ちてしまった高齢者にとって、片付けは非常に労力を要する作業です。
それなのに「どうしてこんな物も持てないの」「不衛生でしょ」など、ネガティブな言葉をかけると親はショックを受け、機嫌を損ねてしまいます。
親の気持ちに寄り添って、ポジティブな言葉をかけるように心がけましょう。
以下に、実家を片付ける際のOKワードとNGワードをいくつかご紹介します。
〈OKワード〉
・地震があると危ないから一緒に片付けよう
・片付けたら孫が遊びに来た時に一緒に遊べるよ
・重たい物を持つのは大変だから手伝うよ
〈NGワード〉
・捨てようよ
・不衛生でしょ
・こんな物いつ使うの
【関連記事】親の家を片付けるときに気を付けたい、OKワードとNGワード
コツ③片付けは順番を決めて進める
片付けをするときは、一気にいろんな部屋の物を処分しようとするのではなく、まずどの部屋からキレイにするのか順番を決めて進めていきましょう。
そして、その場所が終わるまでは次の場所に手を付けないようにすることが大切です。
1箇所ずつ順番に取り組んでいくことで、片付けが中途半端になって途中で挫折するのを防げます。
スムーズに進むと親子ともにイライラせずに済むので「結局どこも終わってないじゃない」と喧嘩になることも減るでしょう。
〈片付けの順番〉
① 片づける場所(部屋)の順番を決める
② 財産目録の作成
③ 引き出しやタンスなど、片づける場所に入っている物を全部出す
④ 出した物を「必要」「不要」「保留」の3つに分類する
⑤ 不要な物を「捨てる物」「売れる物」に分けて処分していく
⑥ 残った荷物を収納していく
片付けの中で「整理整頓」は最後に行います。
まずはどれぐらいの量の荷物があるのかすべて出して把握し、いらない物を減らしていきます。
処分するときに貴重品まで誤って捨ててしまわないよう、財産目録を作成してから荷物の仕分けをするのがおすすめです。
処分に迷うものはいったん「保留」にして置いておき、本当に不要かどうかあとでもう一度考えるようにすると作業がスムーズに進みます。
【関連記事】生前整理とは?必要性はある?進め方を徹底解説
実家の片付け・生前整理が大変なときはプロに相談するのもおすすめ
実家の片付けは、親の説得に時間がかかったり、荷物が多すぎたりして処分に手間がかかるなど、想像以上に大変です。
私たちとってはゴミだと思う物でも、親にとっては思い出が詰まった大切な品かもしれません。
「片付けてキレイで清潔な部屋で過ごしたい」という気持ちは親も子も同じです。
しかし、両者の価値観の違いから親子喧嘩になってしまうことも多々あります。
このように、自分たちでやろうと思ったものの、どうしても片付けが進まないという場合は、プロの整理会社に相談してみるのもおすすめです。
プロに依頼すれば短期間で片付けが終わるので、時間をかけて実家に通う必要もなくなります。
財産の整理についても相談できるので、生前整理もスムーズに進むでしょう。確かに費用はかかりますが、メリットも数多くあります。
実家を片付ける際は、ひとつの選択肢として、プロへの依頼も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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