2021.05.19
クレジットカードの整理~終活で気をつけるべきポイント
終活でやりたいことのひとつに「お金の整理」があります。
お金の整理というと、現金や預貯金などを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は「クレジットカードの整理」をしておくことも、終活においては非常に大切です。
クレジットカードの整理をしておくと、ご自身が亡くなった後にご家族が解約手続きを行う手間を軽減できるほか、日々の資産管理がしやすくなるなど、多くのメリットを得られます。
そうはいっても「クレジットカードはどのように整理すれば良いのだろうか?」と整理の進め方がわからずお困りの方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、終活をお考えの方に向けて、クレジットカードの整理方法や、整理の時に気を付けたいポイントをご紹介します。
名義人が亡くなった後のクレジットカードはどうなる?
名義人が亡くなった後、利用していたクレジットカードの請求や残債はどうなるのでしょうか?
まずは、本人が亡くなった後のクレジットカードの扱いについて確認しておきましょう。
名義人が亡くなってもクレジットカードの請求は続く
クレジットカードは、銀行口座とは違って名義人が亡くなっても強制的に利用が停止されるわけではありませんが、クレジットカードで自動引き落としがかかっているものは、死亡後も請求が続きます。
ただし、クレジットカードの利用料金は原則銀行口座での支払いとなるため、口座が凍結されると、カード会社から請求があっても引き落としができなくなってしまい「未払い」の状態となります。
この場合、家族はカードの解約手続きに加えて「何にクレジットカードを利用していたのか」をひとつひとつ確認する手間が発生します。
そのため、終活を機に早めにクレジットカードの整理をしておくのがおすすめです。
クレジットカードの債務は相続人に返済義務が発生する
名義人が亡くなった時点でクレジットカードの支払いが残っていた場合、その残債は「債務」となり、相続人が返済の義務を負います。
名義人が亡くなると、家族はカードの解約手続きを行うことになりますが、解約にあたっては、残債の一括返済を求められることがほとんどです。
なお、負債の額によっては、相続人が3ヶ月以内に「相続放棄」を選択することで支払いを免除することもできます。
しかし、相続放棄をすると、預貯金などのほかの財産の相続権も放棄しなければならない可能性があります。
家族にできるだけ負債を残さないためにも、終活でクレジットカードの整理をして不要なカードを解約し、利用方法についても見直しておいた方が良いでしょう。
終活でクレジットカードを整理するメリット
先ほどご説明した通り、クレジットカードを整理しないまま名義人が亡くなってしまうと、家族が手続きを行う際に何かと手間がかかり、負債が残っていると相続人に支払い義務が発生するなど、多くのデメリットが生じます。
では反対に、終活でクレジットカードを整理しておくことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
①家族が解約手続きをする際の負担を軽減できる
クレジットカードは、本人以外が手続きをするとなると、解約申請書のほかに、家族関係を証明する書類や、死亡診断書の提出を求められることがあります。
複数枚のクレジットカードを所有していた場合、家族はこういった書類をカードの枚数分準備し、さらに、それぞれのカード会社に連絡する作業も必要です。
終活でクレジットカードを整理して必要最小限の枚数にしておけば、準備する書類やカード会社への連絡も少なくて済み、家族が解約手続きをする際の負担を軽減できるでしょう。
②お金の管理がしやすくなる
クレジットカードは、翌月、もしくは翌々月に口座引き落としになっていることがほとんどです。
そのため、お金を使ったという感覚が湧きにくく、予算以上の金額を使ってしまうことがあります。
さらに、複数枚のカードを持っていると、どのカードでいくらぐらい利用したかを把握しづらく「支払日に高額な請求が来て驚いてしまった」というケースも少なくありません。
しかし、クレジットカードを整理して本当に必要なカードだけを残しておけば、無駄な支出が減り、日々のお金の管理がしやすくなります。
②不正利用のリスクを軽減できる&管理がしやすくなる
インターネット上でクレジットカードを登録していると、スキミングなどによって不正利用の被害に遭うリスクがあります。
こういった犯罪を防ぐには、カードの利用状況をこまめに確認することが大切ですが、枚数が多いとチェックするのも大変です。
終活でクレジットカードを整理すると、不正利用のリスクも軽減でき、カードの管理も容易になります。
終活でのクレジットカードの整理方法
ここでは、クレジットカードの整理の手順と、終活でクレジットカードを整理する時に気を付けたいポイントをご紹介します。
①所有しているカードの枚数を把握する
まずは、現時点で所有しているカードの枚数を確認します。
持っていることを忘れているカードがある可能性もあるので、財布の中だけでなく、引き出しの中なども含めて家の中をくまなく探してみましょう。
【ポイント】念のためデビットカードも確認
デビットカードによっては、年会費の支払いが必要なものもあります。
もしも使っていないデビットカードがあって年会費が発生するものだと、本人が倒れてしまっても解約するまでは年会費がかかり続けてしまいます。
そのため、終活でクレジットカードの整理をする際は、年会費が発生するデビットカードを持っているかどうかも合わせて確認しておいた方が良いでしょう。
※デビットカードとは?
使ったその場で口座からお金が引き出される仕組みのカードです。
クレジットカードと同様にキャッシュレス決済に使用できますが、クレジットカードが「後払い」なのに対して、デビットカードは「即時引き落とし」という違いがあります。
ちなみに、デビットカードは、カードの表面に「DEBIT」「〇〇デビット」と記載されていることがほとんどです。見分け方に困った際は、カード表面の記載をチェックしてみましょう。
②一覧表を作成する
所有しているカードをすべて集めたら、一覧表を作成し「どのカードを」「何に」「どれくらいの頻度で」使用しているかを確認して、必要なカードと、解約を検討するカードに仕分けていきます。
〈一覧表に書いておきたい内容〉
・引き落とし先に指定している銀行口座名
・発行元のカード会社
・使用用途(公共料金、携帯電話、ショッピングなど)
・年会費の有無
・使用頻度(月に1回、半年に1回など)
一覧表は、お手持ちのノートやExcelなどで作成されるのも良いですし、エンディングノートを利用するのもおすすめです。
【ポイント】作成した一覧表の保管場所は家族に伝えておく
一覧表に所有しているクレジットカードの情報を一通り記載しておくと、本人に代わってほかの人が手続きをする時に、解約が必要なカードを探す手間が省けます。
そのため、一覧表を作成したら、家族に保管場所を伝えておくことも大切です。
③不要なカードを解約する
所有しているカードの中で、ほとんど利用していないカードや、高額な年会費が発生するものがあれば、この機会に解約の必要性を検討してみましょう。
なお、家族カードやETCカードを発行している場合、解約するとこれらの付帯カードも利用停止となります。
付帯カードを発行している可能性がある方は、解約前に発行元のカード会社に問い合わせるか、家族に聞いてみた方が安心です。
クレジットカードの解約方法は会社によっても異なりますが、ここでは名義人本人が手続きを行う場合の大まかな手順をまとめました。
〈クレジットカードの解約方法〉
1. カード裏面に記載のインフォメーションセンターに連絡して、解約希望の旨を伝える
2. 電話で解約可能な場合は、本人情報を確認後、そのまま解約となる
(クレジットカードは切断して自分で破棄)
3. 書面での手続きが必要な場合は、後日カード会社から解約申請書が送られてくるので、必要事項を記入後、申請書と切断したクレジットカードを郵送する
【ポイント】必要なカードは残しておく
公共料金の支払いや、インターネットショッピングなどで日常的にクレジットカードを利用している場合、すべてのカードを解約すると支払い方法の変更が必要です。
また、クレジットカードの発行にあたっては「〇歳以下」「定期収入のある方」などの申し込み条件を設けている会社もあります。
高齢の方や退職されて年金で生活している方だと新規発行が難しいこともあるので、日常的にクレジットカードを利用する方は、必要最低限の枚数を手元に残しておいた方が良いでしょう。
④引き落とし口座をなるべく集約する
不要なクレジットカードの解約をしたら、手元に残したカードの引き落とし口座を、可能な限りひとつの口座にまとめましょう。
そうすることで、どのカードから毎月いくら引き落としされているのかの把握が容易となり、資産の管理もしやすくなります。
【ポイント】支払い方法を変更すべき契約があるか確認
たとえば、ある月額課金サービスにクレジットカード払い利用していて、支払い先に指定していたカードを解約したとします。
しかし、引き続きその月額課金サービスを使いたい場合、支払い方法を変更しないと毎月の料金が正しく引き落としされず、利用停止になってしまうかもしれません。
そのため、終活でクレジットカードを整理した際は、支払い方法を変更すべき契約があるか確認しておくことをおすすめします。
クレジットカードの整理以外に終活ですることには何がある?
ここまでは、終活の中の「お金の整理」の一環として、クレジットカードの整理について解説してきました。
しかし、終活の大きな目的である“ご自身の今後の人生をより良いものにし、自分らしい最期を迎える”、“万が一の時に家族に負担をかけない”ためには、ほかにもやっておきたい準備が数多くあります。
では、終活に取り組む時は、クレジットカードの整理以外にどんなことをしておくと良いのでしょうか?
クレジットカード以外の財産の終活
終活を取り組む時は、ご自身の財産の行き先について考えておくことも大切です。
生前に財産を整理しておくと、遺産分割協議の際に家族や親族間で相続トラブルが起きるのを防ぎやすくなります。
また「財産は全額寄付したい」「お世話になった〇〇さんに財産を譲りたい」といった希望がある方は、その意思を生前に遺言書で示しておけば、ご自身の方針に沿って財産を継承させることが可能です。
そのほか、記事内でもご紹介した通り、生前に財産整理をすることは、今後の人生のマネープランを考える上でも役立つでしょう。
なお「財産」とは、預貯金、骨とう品、不動産車、有価証券など、資産価値があるものすべてを指します。
終活で財産の整理を行う際は、はじめに財産に該当する資産をすべてリストアップし、相続の対象となる財産がいくらぐらいあるのかを“見える化”してみるのがおすすめです。
財産整理の進め方については、ワンズエンディングのほかのコラムで詳しく解説しています。
【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート1
【関連記事】生前整理はいつから始める?始める時期・タイミングと進め方を解説
なお、遺品整理のワンズライフでは、長期入院や介護施設への入所、うつや認知症などにより、ご自身で財産の整理をすることが困難な方を対象とした「家財整理代行サービス」を提供しております。
現在元気な方は、万が一ご自身で財産の整理ができなくなった際に備えて、こういった終活を手助けしてくれるサービスについての知識を身につけておき、いざという時に頼れる企業を探しておくのも終活のひとつです。
持ち物の終活
財産整理のほかに終活でやっておきたいのが、持ち物や住まいの整理です。
人が亡くなると、家族や身近な方は故人の遺品を片付ける「遺品整理」を行いますが、その際に荷物の量が多いと時間がかかり、家族への負担が大きくなってしまいます。
また、家の中に荷物が多いと、つまずいて転倒したり、災害時に物が落ちてきたりするかもしれません。
今後の生活のためにも、ご自身にとって必要性が低い荷物は処分し、生活空間を整理しておくのがおすすめです。
持ち物の整理の進め方については、ワンズエンディングのこちらのコラムで詳しく解説しています。
【関連記事】生前整理とは誰が誰のために何をやるのか?パート2
住まいの終活
住まいについては、自分が住まなくなった後に誰かに譲るのか、売却してほしいのか、賃貸の出すのか、解体するのかなど、今後の活用方法を考えておいた方がよいでしょう。
不動産相続は、預貯金や現金を分ける時と異なり、売ってから現金を分割する方法、複数名で共有名義とする方法など、手続きが少々複雑です。遺産分割協議でトラブルになりやすい項目でもありますので、早めの段階で家族と話し合っておくことをおすすめします。
【関連記事】実家の売却を考えたとき、やっておくこと、知っておくことまとめ
空き家整理
「相続した実家に誰も住んでおらず、今後も住む予定がない」など、所有している不動産が空き家になっている場合は「空き家整理」についても考えておきましょう。
空き家を売却したり賃貸に出したりする場合は、はじめに残っている荷物を片付ける必要がありますが、家の規模によっては、整理を終えるまでにかなりの時間を要することもあります。
また、空き家が遠方にあると、仕事で忙しい方や介護中の方は頻繁に現地に出向くのは難しいでしょう。
このように、空き家整理をご自身で進めるのが大変だと感じた時は、終活を効率よく進めるために、整理専門会社の提供する「空き家整理サービス」を利用するという方法もあります。
当社ワンズライフでも、空き家整理のご依頼やご相談を承っております。
整理後に売却や相続をご検討の方は、当社が業務提携している士業の先生方に引き継ぎ、手続きについてご相談いただくことも可能です。
「空き家の整理をしたいが、なかなか時間が取れない」「空き家が遠いため現地に行くのが難しい」などの事情で空き家整理が進まずお困りの方は、ワンズライフにお気軽にお問合せください。
医療・介護・葬儀・お墓の希望を考える
元気なうちに医療や介護、葬儀、お墓についての希望を考えておくことも、終活では大切なことです。
延命治療や臓器提供など、終末期医療の方針を固めておけば、万が一意思が伝えられない状況になったとしても、家族が判断に悩むことがなく、手続きもスムーズに進められます。
また、葬儀やお墓については、生前予約を受け付けている会社もあります。
「先祖のお墓ではなく自分のお墓を購入したい」「葬儀の内容を自分で決めておきたい」といった希望がある方は、終活を機に準備をしておくのも良いでしょう。
エンディングノートを作成しておくのもおすすめ
財産の情報、医療や介護、お墓や葬儀の希望などは「エンディングノート」を利用して1冊にまとめておくのもおすすめです。
エンディングノートには、終活で準備した内容はもちろん、これまでの人生の振り返りや今後の目標、家族へのメッセージなど、あらゆることを自由に書き記せます。
エンディングノートを書くメリットや、選び方、書き方については、ワンズエンディングのこちらのコラムで詳しく解説しています。
【関連記事】エンディングノートとは何?メリットやオススメの選び方と書き方を解説
まとめ
クレジットカードは、本人以外が解約手続きをするとなると、家族関係を証明する書類の準備が必要になることも多く、何かと手間がかかります。
ご自身が亡くなると、家族は葬儀の手配にはじまり、相続の話し合い、役所への各種手続き、遺品整理などやることが多いため、クレジットカードの整理もあるとなれば、さらに負担が増えてしまうでしょう。
終活でのクレジットカードの整理は、このような家族への負担を軽減し、ご自身の今後の資産管理にも役立つなど、多くのメリットがあります。
これから終活に取り組む方は、お金の整理の一環として、クレジットカードの整理も行っておくことをおすすめします。
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